影の世界で…
ー雪菜視点ー
『ふふふ。悩んでいる様だな。
ならば、我の世界へ誘おうか。
そら!!』
え?
ええーー!!!
黒いモノがそう言うなり近づいて私に抱きつく?!
いえ。違うわ…。
黒いモノの中へと吸い込まれるが正しいかしら?
漆黒…。
そう、まさに何も見えないけど。
これが影の中?
でも、これじゃどうすれば?
『よーく目を凝らしてご覧』
優しい声が聞こえて、私は自分が随分と動揺してたと気づいたわ。
身体から震えが止まり、やっと闇に慣れた頃ようやく周りが少しづつ見えてきた。
それは暗いけれど、確かにモノクロの世界と言うモノで。
地面にどこまでも伸びる精霊樹の幹や葉が、どこまでも続いていた。
まるで水墨画の様に美しい世界。
でも、何か寂しさがある。
鳥の影。
樹の影。
雲の影…。
ん?
地平線まで影が伸びてるみたいに見えるわ!!
こんな風なのね。
。。。
違うわ。
この影、本体よりも広がってるから!!
本体を影が食い出しているって事?
もしかして、これが弱った原因?!
『ほお。よくぞ影の異変に気付いたな。だがこの状況は我ら影の世界からの影響ではない』
じゃあ何故?
観察をしようとするけど、モノクロの世界は見えにくいのよ。
原因を調べるのも難しいわ…。
影…ね。
もともと、影って光があってこその存在よね。
光と影か。
ん?
闇は?
闇は光りが無いこと…。
そうか。
影があるところに光もあるわ。
でも…闇の中には光りは存在しない。
『なんと人間よ…。
そこまで辿るとは、なかなかやるな。
では、最後のヒントをやろう』
声は、私を突然空高く持ち上げたわ。
グングンと空へと向かうと、突然モノクロから光り溢れる世界へ突入したの。
そう。
まさに、光りのみの世界!!
!!!
なるほど…そうね。
私は、ヒントのカケラを見つけた気がした。
『見つけたモノをどうするかは、其方次第。
この精霊樹を頼んだぞ…』
え?
その声と共に私の意識が突然遠のいた。
まるで…これが最初から夢で目が覚める時の様だった。
最後に…
ぼんやりとする意識の中で見たのは確かに。。。
「雪菜!!」
「雪菜殿!!」
アーノルドとエイダムさんの声と同時に私の意識が戻ってくる。
。。。
えーと…。
確かに冒険したつもりだけど…
最後意識を失う時に時に見たのは、なんだっけ?
思い出さない…。
でも、ヒントは掴んだわ!!
だから!!
目を覚ました私を覗き込むアーノルドの不安そうな顔に思わず微笑んだのよ!!




