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森に囲まれた!  作者: ちかず
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あの子達か来てくれたーー!!


ー雪菜視点ー


『本来ならば、こんな手荒な真似はせん!!だかな、今が瀬戸際だ。

精霊樹の木の根に住む奴らを片付けるチャンスなんじゃ。


ん?

まさかお主まだワシが分からんとは…

えーい、もういいわ!!!


飛んでゆけーーー!!!』



その言葉を小さな男の子が叫んだ途端、精霊樹の根本に当てた鍬で出来た傷が強い光を発して目が開けられない?!


ん?


右手と左手に暖かさを感じる様な…と思った閉じた目でもはっきり分かる程視界が歪んだ…。


『ふむ。

我ながら上出来だな…。

しかし、お主らもよほど苦労が好きと見えるの。まぁ、良い。

早よ、木の中へ入って解決してこい。

それだけが『大森林』と『精霊樹』を守る方法さな…』



あのね、貴方誰なの〜!!

声が聞こえないのよ。


小さくなった私達は、そのまま木の中へ吸い込まれて…。

だから最後の言葉は聞こえなかった…。



『雪菜よ。この精霊樹を救えるのはお主のみ。最後の希望なのじゃ。だから。

ワシからの祝福を贈るぞ…』



ーアーノルド視点ー



急展開もここまで来れば焦りを覚えなくなるのだな。

悟りにも似た心持ちでいた我々の前に現れた小さな少年。


声を聞いてピンと来た。


あの泉の精霊だと。


若返っていると言う事は、時を遡ったと同義。


ならば、目の前の黒い沼も精霊樹も過去の姿か…。

今の危機的状態の理由が分かるかもしれない。


そんな考え事をしていたら、雪菜に異変が!!


精霊が精霊樹に何かを仕掛けたのを見た雪菜が近寄ると金色に光りが充満してゆく。


既視感…。



いや、まさに何度めかの体験の様な…。


それは、エイダム殿も同じだった様で逆の手を握っていた。

更に俺の手を握るゲルガー。


何か叫ぶ雪菜の声を聞きながら、我々が気づいた時には細いトンネルの中にいたのだ。


ここは?


エイダム殿の問いかけに雪菜が憤慨しながら


「ここは、精霊樹の根っこよ。

私達小さくなったのよ。

ねえ、それよりあの男の子って誰?」


ふぅ。

それよりって…。

相変わらず、気になる点がズレている。


我々が答えようとしたがゲルガーが止めた。


「近寄るモノがいる。

ガサガサ音がするぞ!!気を付けろよ!!」


俺とエバンス殿は武器を手に身構える。


と、雪菜が大声で我々を止めた。


「ダメよダメ。

ココは精霊樹の根っこよ。傷付けたらダメだから魔法とか武器とかは無理無理。


えーと。

コレかな?」


そんな事言われても、我々が反論する前に雪菜が差し出したのモノは…。


「コレは?」


変わったモノは、スコップとか言う名前で。


「小さいのしかないけど…。

要するに根っこはね。空気と水が丁度良く有れば元気なの。


このトンネル、元気がないもの。

空気の不足なのよ。

だから、コレ。

皆んなの力で根っこに程よい土を作るわよ!!」


全員が絶句した。

もし、ココが木の根だとして我々が小さくなっていたとして…。


根っこから出たら潰れるのでは?


は!とした顔の雪菜を見ればなるほど…。

あまり考えてなかったのだなと。


こんな表情がくるくる変わる彼女が可愛らしく見えるのに苦笑が浮かぶ。

そんな場合じゃないのに…。


「近寄るモノが攻撃的だぞ!!

それをどうする?!」

ゲルガーが告げる内容は切迫している。


武器も魔法も無しでは、太刀打ち出来るかどうか…。


「あー。ここにあの子達が居てくれれば…。

どうすれば…」

考え込む彼女を他所に我々は頷き合う。


彼女を背に庇い、出来る限り小さな武器で戦おうと。

小形なナイフをそれぞれに握りくるべき時を待つ。


やがて、我々にもその音が捉えられた。



ガサガサ…。


「あ、良かったわ。

あの子達が応えてくれた!!」


雪菜の叫び声と共に…。


大きな揺れが起こる。


じ、地震か?!



「ココよーー!!」

雪菜…いったい誰を呼んでるのか?


「え?ピテレの仲間よ?

土の妖精だもの。もっと小形な子がいたらなぁと思ってたら。

ほら、螻蛄(ケラ)



虫…だよな…。

ええーー!!!


まさかの大地の妖精?!


雪菜曰く。。。大量の小さなピテレの仲間たちがいつの間か穴の空いたトンネルにずらっーと並んでいた!!


「さあ、皆んなお仕事お願いします!!」


雪菜が胸元から取り出した笛の音と共にまたもや大揺れが起きた。


素晴らしい笛の音は、初めて聞く音で…。


いつの間にかガサガサしていた音も止んだ。。。




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