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森に囲まれた!  作者: ちかず
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フローラの緑の手!


ー雪菜視点ー


音のする方を目を凝らして探して、だいぶジッと見つめたけど何も無い。


気のせいね…。


『馬鹿モノ!!

ワシが見えんとは、ボンクラが来たもんだわ。全く…』


悪態が聞こえてきたわ。

音のする方よね?


ん?


まさか…コレ?


長い髭のお爺さんが、座り込んでいた。

その横から、湧き水が湧いている。

この音ね?



た・だ・し!!


超ーーー、ミニマムサイズですけど。


小人と言うにも無理がある大きさは、そう!!


親指姫?かな…。

ま、お爺さんだけど。


『ふう。ワシが見える言う事はお前さんが約束の者か。

まあ、良い。

コレを何とかせい!!』


あのー。説明省きすぎでは?


あ、ソッポ向いた?!

短気なお爺さんね。


困っている私を助けてくれたのは、碧。

『ゆきな。

泉の本体は、この湧き水。

徐々に水が不足して今の姿なんだよ。

その理由は、うーん。上手く言えないけどこの場所が疲れ切っているって事かな?』


えーー!!

この公園の水飲み場の様なチョロチョロした水が泉だったの?

疲れ切っているって…。


ちょっと、あまりの力不足に逃げ出したいんだけど、私。


不安から下を向いていた私の目に、一つの薬草が目に入った。

それも、通常よりかなり小さくてヨロヨロしている草。


更に周りを見渡せばどの草花もぐったりしていたわ。


もしかして…疲労してるのはこの場所そのもの??


草花の様子は、私にも少しだけ希望が生まれる。

力になれるかも…そんな考えにファイトが湧いてくるもの。

やれる事がある。ソレは実は幸せな事。


さあ、

思い立ったら、すぐさま実行あるのみ!!

ソレが私。


お爺さんが、ブツブツと文句言ってるのを聞き流しながら這い蹲る。

まずは、土や草花の様子から。


土じゃないわね。じっくり観察してみれば黒々とした豊かな大地だと理解出来た。

栄養が豊富な土だわ。

なら、何故?


混乱しながらも、そっと葉っぱを一枚手に取る。


艶が無い。水不足は間違えない。

でも、それだけとは思えない。


そう。

樹々は健康的だから。


!!!!



あの草は?


もしかして…。


私は碧へ助けを求めた。


「お願い。私をフローラの姿に戻して。

緑の手を持つ彼女ならば…」


碧の力で、一瞬でフローラに戻った私は力の限り全力である薬草の成長を促した。


凄いわ、フローラ!!

手のひらから、力が放出される感じが自分にも理解出来る。

頑張り続ければ、だんだんと疲労が身体を覆う。

弱った薬草だから、目眩がするまで必死に注いでも足りないわ。


でも、あと少し…。


『ゆきな!!

緑の手を侮るな、このまま注ぎ続ければ…』


碧の叫びも無視。

お爺さんの文句もいつの間にかなくなり。


それでも、諦められない私は必死に力を注ぐ。

だって!!

この薬草の悲鳴が聞こえるから。

いえ、感じられるから。



限界が近いのか、視界が暗くなりだしたので、いよいよ難しいかと諦めかけたその時!!


薬草が突然、グングンと大きくなりだした。

え?

それは、さすがに大き過ぎない??


やがて、薬草は自分の持つ力を超えた大きさになった。


あれ?

やり過ぎたのかな??


フラフラしながら、薬草を見つめていたら湧き水もまるで無視して成長を続けやがて…。



天まで届いた。

そう。


見上げても、見えない程の大きな薬草は…。


沢山の種を落とし始めた。


!!!


出来たわ…


コレよ!!!



この薬草には、二つ名がある。


『水守り草。別名、水喰い』


水を守り、そして水を飲み干す。

その種は、大量の水を含む。

この薬草は、『種から海が生まれた』という伝説を持つわ。


この世界の伝説…。


ならば!!とやってみた訳なの。

上手くいったわ!!


だって。ほら。


種は、次々と落ちては割れ、水を噴き出す。

一つづつが、まるで噴水の様に。


それを見つめながら喜びに湧くけど、身体の無理には逆らえない。

ああ、目が…開けてられないわ…。



ごめん、碧の声は聞こえるけど。


種から溢れた水は辺りを水没させる。

もちろん、私も逃げなきゃいけないの。


でも…。


動けない。


目を閉じる寸前にお爺さんの声がした気がするわ。



『人間よ。

コレを想うお前さんに負けたよ。

泉は、再び力を取り戻した。


ならば、『大森林』の精霊樹も復活するだろう。


ワシも少しだけ待つとするか…』


目を閉じた私には、お爺さんの姿が変化したのを知らない。



目を覚ました私がいたのは、元の秘密の部屋。

皆んなが私を囲んで心配そうに覗き込んでいただけで…。




だから、

再び会う時にだから同一人物だと気づけず少し手こずる事になるの、まだ先の話…。


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