運動不足が響きます…?!
ー雪菜視点ー
うねる様に曲がりくねった木の根っこ。
みっちりと隙間なく枝を伸ばす大木たち。
それは、初めてこの世界に見たあの日の大森林より更に隙間無く見えた。
無理!!!
が、本音。
でも、少しだけ目に映る風景に希望があるから。
そう…。
樹々の間に見えたのは、湖。
コバルトブルーに輝く湖面が、微かに見えたのよ。
拓けた場所がある?!
そんな予感を胸に、金色になった碧の後を追う…(何か変な名前付けたのかしら?金色の碧…)
薄暗さは、変わらないのに先が見える。
その意味を今の状況で手一杯の私は、全く気づかずひたすら前進していた。
碧が導くその先に…。
忘れてました…。
山などで近くに見える場所って、意外に遠い事を。更に言えば、足場の悪さが先へ進むのをより困難にしてる!!
でも。
私だって、伊達に山育ちじゃないもの!!
やれるわ!!
やれるはず!
や、やれるよね?!
うーん。
キツさに思わず、息が切れる。
疲労感がこみ上げ、前進する速度が落ちてきた。
必死の形相で碧を追いかけつつも、汗が樹々に染みを作り続けて…。
コレ…
既に山登り!!
よね??
それも、結構な山…。
必死の私を他所に、それでも、全く止まらない碧を追いかけていたら…??
え??
なに、なに??
足元が急に軽くなったわよ?!
ん??
ええーー!!!
何が起きたの??
私が。
私が運ばれてる??
誰に?
えっ??
何か小さな生き物たちが、私を持ち上げている?!
リス?
。。
ううん。違うわ。
私が知っているリスじゃないモノ。
だって、あの筋肉隆々の腕。
ニヤリと笑って、任せとけってあの笑い方。
絶対、リスじゃないから!!!
その上…
やめてーーー!
暴走過ぎで怖いわーー!!
ギャアーーーー!!!
叫べど止まらないよーー!!
結局…
リスに担がれて、ただいま暴走中ーー!!
『ゆきな。
落ち着きなよ。
コレ、リスとかじゃないよ。
樹々の精。
ほら、皆んな張り切ってるじゃないか!!』
。。マジですか?
この可愛らしさを何処かへ置き忘れたリスが??
でも、
驚きはそれだけじゃすまなかったの。
あちらこちらの樹々に、筋肉リスが?!
更に…。
着いた場所は確かに見えていた場所なんだけど…。
あれ?
湖は、何処に行ったの??
そうなのよ。
湖は、単なる泉だった。
それも、ものすごーく小さな。
??
それにしても、オカシイわよ!
ちゃんと見たのに!!
『ゆきなが見たのは、本来の姿。そして今の姿がコレ…』と碧。
ま・さ・か。
本来の姿に戻すのを、ごく平凡な単なるOLの私に??
。。。
リス…そんな目力込めて見ないで!!
(うるうるの可愛い目じゃないわよ。
ほら、おっさんの必死の形相的な…あくまで、コレなのね)
無理だと、言おうと思ったその時!!
ぽこぽこ…。
とてもちっちゃい水音がしたので、振り返ったの。
あそこに見えるのは??
碧??
あ、違うわ。
肩にいるのが、碧ね。
じゃ、あの光ってるのは??




