秘密の部屋にいたのは?
ー雪菜視点ー
太古の遺跡…。
そんな事を思わせる地下道は、ほんのりとした灯りがある以外全く光が無い。
真っ暗闇は、人の心を不安にさせる。
だからかな?
だからよね!!!
腰がね…。
(女は度胸…にも限界が!!)
またなのーー!!!
姫抱き。
三十路にそんな需要は無いわよ。
ドン引きしますから!!
王子様風のアーノルドに姫抱きとか…。
あー。それでもやっぱり抵抗出来ないままで…。
『アーノルド…ごめんね。重いでしょ!』と私が何度謝っても、超スルー。
アーノルドの絶品の笑顔に晒されて、より困難なミッションに変更されるだけ!!!
「雪菜殿。
アーノルド殿は、元々鍛えた身体をお持ちです。気になさる事はない。
それよりも、ブルーレル殿はこの事態を予測されて?」
エイダムさんがひたすら慰め役とは…。
私が、返事に迷ってるその間も…
エイダムさんの営業トークが炸裂してるけど、ブルーレルは愛想が無いまま。
うーん。あのブルーレルの、態度。。。
エイダムさんに対する好き嫌いと言うよりも、何か気掛かりがあるように思えるけど…。
「おぉ、いつものスーパー鈍感をこんな時に限って発揮させず、鋭くなるなんて!!
これだから、雪菜は…。
まぁ、良いや。
どうせいつか…分かるんだ。
精霊が大森林を閉じた…」
ん?
精霊が大森林を閉じた?!
今までだって、閉じてたよね?
「雪菜殿。
大森林が閉じると言うのは緊急事態です。
人間だけじゃ無い。妖精も精霊も全てが侵入出来ません。
例え…オゼルの大刀を使っても」
そんな深刻な話の最中に前方に見えて来たのは、一筋の光。
どうやら、部屋からの明かりが漏れて一条の光を通路へと放っているようね。
アレが秘密の部屋?
「そうだよ。ゲルガーが待ち兼ねているから!」
え?ええーー!?
ドアはどこいったの?
あれ?
。。。不思議なドアだったわ。
ドアを潜った途端に、周りの景色が部屋の景色に切り替わったから。
違うの!!
部屋に入ったなら当然でしょ!とかじゃなくて。
あのね、部屋「入ったのでは無く、まるで別空間に突入した感じ…。
ほら。ドア…無いじゃない?
「ブルル。。)
「ふーん。雪菜は本気になれば凄い勘だね。
そうだよ。
この秘密の部屋は、あの図書館の地下道にあるように見えて違うんだ。
アレは別空間への入り口。
そうだよ!!
ここは、もう『大森林』じゃないんだ。
場所は…まぁ秘密でね」
既に部屋どころじゃ無い!!だから、ちっともブルーレルの言葉が頭に入って来ない!!
だって…。
部屋は、ホテルのスイートルームのような豪華さで。
目の前に椅子に座ってる男性が一人。
ん?
んん?
アレってゲルガー?
まさか…あの渋いおじさんが??
落ち着いた雰囲気の豪華なこの椅子に座ってるのは、確かにゲルガー…。
よね??
んー。
あのおじさん、何処かで…。
「雪菜。
ゲルガーだ。分かるかな?」
私ってば、更にじーっと見ちゃった。
だって。
ゲルガーにしては、雰囲気がオカシイの。
混じり合っているみたいで…。
「まる闇の精霊王様…そう言う雰囲気よね?
。。。
え?
何で皆んな、ドン引きなの?」
「ゲルガーは、本来の姿になる所を何かが邪魔してるらしいんだ。
でも、面白い特性は増えたよね?」
ブルーレル…。
何て自由人なの。
ゲルガーの本当の姿は、この世界を司る精霊なのよね?
だとしたら、アレは無い。
小突くのはお辞めなさい!!
「雪菜。
確かバーラドに連絡したかったとか言ってたな。
よし。私の力を貸そう」
あのオドオドしたゲルガーは何処へ?
何となく寂しい気がしつつ、バーラドさんへの連絡をお願いしたわ。
そしたら、びっくり!!
テレビ電話。
その表現がぴったりなのよ!!
「我は空間と空間を繋げる能力を持つモノ。
この程度容易いわ!!
ほれ!」
ゲルガーが空中に描き出した映像は、間違いなくドルタ帝国のギャビンの部屋な訳で。
ゲルガーと相談してるギャビンと、目が合ったわ。
コレって双方向??
闇の精霊の力って、無尽蔵??
『雪菜か!!
無事なのか?そこにいるのは…アーノルドか?こちらは異常ないので、心配無用だ。
そちらはどうだ?側にいる大きな奴はまさか…ブルーレルか?
いったい…』
ゲルガーの無表情の顔に苦悩の表情が混じり出した。
長くは保たないのね?
急がなきゃ!!
「まず全員無事。
大森林は閉じたわ。
図書館の秘密の部屋にいます」
要点のみ!!
どうかな?
もう消えてた…。
最後まで聞こえたかしら?




