私のプリンはどこ?
おかしいわ。
あきらかに変な場所にいるもの。
全然見覚えのない場所。
本棚らしきものがたくさん並び、その中には本ではなく大量の瓶詰めが並んでる。
私はどうしてこんな場所にいるのかしら?
ちょっと、落ち着こう。
えーと。確か今日はめっちゃついてない日だったわ。
朝一に私が指導を担当している新人の子がミスを連発してそのフォローに追われていて。
いや、ちゃんと説明はしたわよ。
なのに課長には「指導した君の責任だよ。」とか言われて結局叱られたのは私のみ。
まあ、いつもの事だけど。
ミスのフォローに追われて全部終わったのが10時。
疲れた肩を自分でもみほぐしながら立ち上がる。
ガランとした職場を見渡せばもう誰もいない。
もちろん彼女はサッサと定時退社していた。
はー、しんどい。
もう、こんな時はいつものプリン!
私の気持ちを慰めてくれるのは、プリンと漫画しかない!
私は憂さ晴らしをしようと自宅近くのコンビニに入る。
あっ!新発売のプリンを発見!
眉間に出来た皺も取れ、目尻も下がる。
ホクホク顔でプリンを3個も買ってビニール袋を下げて、いざ自宅へ。
ここから10分の場所ある自宅のアパートへは一本道の細道だけ。そこを歩いてたら…
そうだ!
ピカッと前から車のライトが当たって、思わず眩しくて目を閉じたわ。
あーー。待って。
あの道は確か一方通行なはず。
向こうから車が来るなんてあり得ないわよ。
え?
じゃあなぜ…
ドキドキする胸を押さえて更にドキッとする。
背中に冷たい汗が流れる。
下を見れば子供のような小さな手のひらが見える。
え?何で??
混乱する私が押さえた胸は小学生並みにペタンコ。
いやね、そりゃ私の胸は人様よりすこーし小さいわよ。
でも、これはないわ。
ん?
身体も何か縮んでるような…
。。。
小学生!間違いなく12歳くらいとかよ!
どうなってるの?
まさかのラノベ?
私?まさかの転生とかじゃないわよね?
だって大好きなラノベでも事故とか、裂け目に落ちるとかキッカケがあるもの。
転生なら赤ちゃんからが定番だし。
。。。
悩むのに向いてない短気な私は、3秒程悩んでえーいっと勢いよく部屋の扉を開けた!
行け〜雪菜!
(まあこれで良く失敗するけど、反省はあまりないのが欠点よね。)
ガチャ。
扉の向こうは、続き部屋だった。
異世界人との出会いもないし、小さなテーブルとこれまた小さな台所があるだけ。
その向こうには玄関らしき扉がひとつ見えただけだ。
中世くらいの雰囲気かしら?
このまま思い切って扉を開けると…
圧倒的な木々!!
何という迫力だろう。
これはもう森なんて生易しいものではない。
獣道すら全く見えない異常なほど重なり合う木々。
初めて見る光景に流石に能天気な私も迫り来る圧迫感に息も絶え絶えに家に逃げ帰るが。
え?
家の中には、ふわふわ浮かぶクリクリパーマの可愛い坊や発見!!
なんでいるの?どこから来たの?
さっきは確実にいなかったのに…
軽めのパニックを起こす私に頓着する事なく彼は話し始めた。
「やあ、初めまして。
地球からおいでのお嬢さん。やけに落ち着いてるね。
やっぱ、バイタリティで選んで正解だったかな?」
セリフはツッコミどころ満載だけどその前に今一番気になる事を聞かなくちゃ!!
「私のプリンどこーー!!!」