表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

【実習】看護学生の奮闘記

あの日に戻れるなら

作者: 菜須よつ葉

「ねぇねぇ、よつ葉ちゃん」


「なぁに?」


「神様がね『一度だけ時間を戻してあげるよ』って言ったらどうする?」


担当の女の子に言われた質問。


季節感のないこの病室でベッド安静を言い渡されている女の子は、空想のお話を書くことが大好きでよくノートに書いていて、たまに読ませてくれる。そして感想を求められている。


「戻りたいなぁって思ったこともあるよ。でもね、きっとまた看護師さんのお勉強していると思うからこのままで大丈夫って言うかな?」


正直、この女の子のように小説に残したこともあったことを思い出す。自分の心が生み出した心の声に葛藤したよつ葉だった。きっとこの子も今、辛いんだろうなと思いお話を続ける。


「あたしはね、未来に連れていってってお願いするんだぁ」


いつものように瞳をキラキラ輝かせて話をしてくれる担当の女の子。


「退院して思いっきり走り回っている元気な未来に行くんだぁ」


「ふぅちゃんと、かけっこするんだもんね」


「そうだよ!!」


「頑張るんだもんね」


「負けないもん!」



それぞれ、心が弱っているときって、こういう発想をすることってあるんだなぁと思いました。よつ葉自身も同じように時間を戻してあげようか?って心の声に呟かれた。


担当の女の子とのお話は続く


「病気の無い国の王子様がね、真夜中に馬車で迎えに来てくれるんだよ」


「真夜中なの?」


「そうだよ! 看護師さんに見つかっちゃうもん」


そこは現実的なのね。


「でも、朝になったら見つかっちゃうよ?」


「王子様がね、お指をパチンしたらみんな忘れちゃうんだよ」


「王子様すごいね」


「そうだよ!」


瞳をキラキラ輝かせて、色々お話をしてくれる。

『病気の無い国へ行く』現実には無いことも知っているかもしれないけど、楽しそうに話してくれるお話に付き合う事しかできないけど、学生だからこそできることもあるのかも知れないと思い、笑顔で今日も夢の国のお話に花を咲かせる。





よつ葉も、あの日に戻れるなら……

そう思ったことを懐かしく思い出していた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言]  何処かほっこりすると同時に切なくなる話です。「病気がない国」は実現不可能ですが、「病気があっても幸せを感じられる国」ではありたいものですね。  ……え~と戻りたいあの頃。 ………父の病…
2018/09/18 17:32 退会済み
管理
[良い点] とてもよつ葉ちゃんらしい作品だと思います。 病気のない国…あればいいのに(T . T) [気になる点] それぞれ、心が弱っているときって、こういう発想をすることってあるんだなぁと思いました…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ