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一話 クビ

バラバラに引き裂かれた原稿用紙が宙に舞った。

 もはや紙屑となってしまった白濁の紙片はもともと全て俺が某有名少年誌に掲載させるために丹精を込めた漫画の原稿用紙だった。

 これらは全て我が魂そのものといっても過言ではない。

 そして、その魂をズタズタ切り裂いた主は口を開いた。

「佐々木さんの漫画は過激すぎるわ!」

 こいつの名前は佐々木、某有名週刊少年誌の編集長であり我が妻である。

「し、しかし……」

 反論をしようとしたが佐々木の怒号に遮られた。

「佐々木さんの漫画は確かに読者アンケートでも評判がいいですし、実際に社内や漫画ファンの間でも評価は高いです」

 そうだ、俺の漫画はおもしろいんだ。

 なんでエロマンガの服みたいにビリビリにするんだ!

「ですが、エッチすぎます!」

 うっ……。

 別にイッたわけではなく、単純にその指摘が図星だったから。

 確かに俺の漫画は、エロい。

 例えばヒロインは常に半裸だし、主人公はフルチンだ。

 でもこれは別にヒロインの半裸で男性読者にサービスしてるとか主人公のフルチンで女性読者にセクハラしたいとかではなく、単純におもしろい漫画を書こうとした結果なんだ。

 おもしろい漫画を書こうとしたら、ヒロインがちょっとHになってしまっただけなんだ。


 これを体制側―編集長一派は理解してくれない。

 美しさを探求したかつての芸術家がダビデ像を作り出したように、おもしろさを探求した俺はちょっとHな漫画を描いているだけなのに。


「某有名週刊少年誌は表現の自由が侵される現代でもおもしろさ第一主義を失わいようにと、あなたの作品を尊重しある程度大目に見てきていましたが……」

 佐々木はすぅっと大きく息を溜めた。

「今回の作品であなたの作品を打ち切りにした後、今後一切の漫画を描く権利を奪う事にしました」

 俺は目の前が真っ暗になったような感じがした。


 「その言葉を待ってたぞおおおおおおおおお」


 突然、天上から魔王の声が響いた。

「佐々木編集長、ついに佐々木の作品を打ち切りにして、しかも漫画を描く権利まで奪ったな!」

 

「これによって界法69条『転生者の獲得権の放棄』第六項を参照して、エロマンガ家佐々木には異世界に転生してもらう」


「ついでに才能を絞り尽くす某有名出版社も爆破しといてやる、とある本社みたいな感じで!」


「そして佐々木、君には突然異世界に転生してもらう事になったので、いきなりは不便だろう、それはこちらとしても申し訳ないと思ってる、なのでチート能力を好きなだけあげるよ、さあおいで」


 こうして俺は某有名出版社の爆破に巻き込まれ、その拍子で異世界転生をして、チート能力をいくつかもらった。

 ちなみに爆破による死亡者は俺だけで、他にはけが人すらいなかったらしい。

 さらに爆破によって壊れた某有名出版社の建物は全て次の日に少し綺麗になって直った。

 そしてこの作品は全てフィクションで実際に存在する企業とはなんの関係もありません。

  

 

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