26話 死出の旅路
サブタイのセンスが欲しいです。
鐘が鳴る。
若き2人の門出を祝う祝福の鐘。純白のドレスとスーツに身を包んだ花嫁と花婿。参加者達の盛大な拍手に包まれ、2人は向き合う。
「悩める時も、健やかなる時も、互いに支え合い、励まし合い、生涯を2人で共に過ごすと誓いますか?」
神父が問う。少しだけ間をおいて2人は答える。
「誓います」
「誓います」
2人は声を揃えて言った。そして誓いの証として、唇を重ねる。そして、重ねられた唇が離れ、もう一度、盛大な拍手が2人の新たな門出を祝って贈られた。
「ねぇ、デューク。私の事、幸せにしてくれる?」
花嫁が問う。花婿もその問いに笑顔で答える。
「あぁ、勿論。2人で幸せになろう。」
そうして、2人は結婚して、毎日を一緒に過ごした。その仲の良さは、周囲だけでなく国外にすら広まっている程だった。外交の為に他国を訪問した時、その事で知人にからかわれたりもした。
そして、子供が生まれた。男の子だった。2人は跡継ぎが生まれたことに大喜びした。
すくすくと成長し、ついに2人の息子は家督を継ぐことになった。2人は、立派に育った息子を見て、もう私たちの出番は終わったんだと隠居することにした。
そして、アリシアは老衰で寝たきりになってしまったが、デュークに、家族に見守られ、笑って天に召されてーーーーー
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「夢………………ね………」
また見てしまった。勇者に関わらなければあったはずの、なんの後ろめたい事も無い未来。どうしてだろう。もう、デュークは許してくれたのに。
きっと、私自身がまだ自分を許せていないのだろう。当たり前だ、国民が、被害者が許すことが出来ても、罪の意識はずっと続くのだから。
お母様が亡くなって、王位を継げる者が私とその息子2人、そして先先代の国王陛下の遠縁の者だけになった時、セネカルト様が騎士団を使って国民の意思を確かめてくれた。
「アリシア様はもう王になる資格を取り戻せている」
結果は、このような答えがほとんどだった。私はこの報告を聞いた時、泣き出してしまった。漸く信用を回復できた、と。
即位式の時にはもう一度デュークに私の髪を切らせた。今度はギルドの人達だけでなく、様々な人が見ていた。もう一度今度は皆の目の前で断髪した事で、納得できていなかった者達もいくらか黙らせることが出来た。
即位してからはもっと仕事に励んだ。私を王に相応しいと見てくれた者達皆の為に。そのお陰か、国は確実に強くなった。在位中はクーデターも起こらず、私は政務に全力を注ぐことが出来た。
息子に王位を譲り、隠居することになっても、それでも国のために働いた。息子も、デュークも、側近達も嗜めるくらい沢山働いたんだった。
そんなつもりは無かったけど、だいぶ無理をしていたみたいで今はベッドから出られないくらい弱ってしまっている。ホント、忠告をちゃんと聞いておけば良かった。そしたらこんなことにはならなかったのに。
「………やっと起きたな。よく眠れたか?」
「………ううん。ちょっと、変な夢を見ちゃって。」
デュークだ。扉から来たなら扉の開く音に気づいてただろうし、私が寝ていた時からずっといたのだろう。
「いつからいたの?」
「お前が起きる少し前からだな。」
デュークはちゃんとこっちの顔を見て話をしてくれる。私はもう老婆になってしまっているのに。あぁ、こういう時は昔から変わらないデュークの容姿がちょっと羨ましくなっちゃう。
「今、かなり不謹慎なことを考えてただろう?」
「そ、そんなことないわ。」
確かに、あの変わらない容姿は私のせいでそうなったんだ。私だけはあれを羨ましいなんて思っちゃいけないのに。
「………ごめんなさい、ちょっとだけ考えてたわ。」
「………はぁ。まぁいいがな。ところで、調子はどうだ?お前は、もう………」
デュークの顔が曇る。老衰は回復魔法ですら延命は出来ても完治させることはできない。私の体調がどうかというのはつまり、あとどのくらい「生きていられそうか」と聞いているということなのだろう。
「もう………余命なんて心配しなくて大丈夫よ、会える場所が現世から神世に変わるだけなんでしょ?」
「………それがな、神世再建の時に最高神と究極神に神世に関与しないと約束させられたし、私を入れないように結界が張られているんだ。だから、もう、お前とは一緒に居られなくなる。」
「………!?」
デュークとはもう、会えなくなる。私が死ぬから、もう。怖い。死ぬのが怖い。まだちゃんと償いきれてないのに。こんなところで死ぬなんて嫌だ。
「………うん、こんなところで死ぬのは嫌。けど、そうもいかないのよね。」
「………そうだな。」
「ねぇ、私はちゃんとあなたに償えたかしら?私がかつてあなたに与えた傷の償いはちゃんと出来てた?」
「………お前は、どう思っているんだ?」
私が、か。私は償い切ったとは思っていない。まだ、言えてない言葉がある。これをちゃんと言わないと、私のデュークへの償いは死んだって終わらない。
けど、言える勇気が、私には無い。
「………口を噤んで。何か、私に言いたいことでもあるのか?」
「………いつも、言おうとしてた。けど、言えなかった。私はあなたを傷つけたから。あなたに言う資格はないと思ってたの。否定されるのが怖かった。デューク………聞いて、くれる?」
「勿論。私が、お前の言うことを無視した事が一度でもあったか?」
ふふ、そう言えば、どんなどうでもいいような話でも、デュークは真面目に聞いてくれてたな。
……ここで言わなきゃ、もう機会は来ない。否定されたって、言っておかなきゃ。私の、デュークに伝える最期の言葉。
「デューク。愛してる。」
「………!あぁ、私もだ。」
やっと、言えた。受け入れてもらえた。もう、私に思い残すことはないわ。
「いつか、生まれ変わってまたあなたに会いに来る。その時は、迎え入れてくれる?」
「………あぁ。勿論。来世でまた、会おう。けどその前に、お前は残っている今を精一杯生きろ。まだ、お前と会いたい、話をしたい者はたくさんいるのだからな。」
「………そうね。来世の話をしちゃったけど、私、まだ生きるわ。」
「頑張ってくれよ、愛しの妻よ。」
デュークと話してるうちに死への恐怖は無くなっちゃって、私はまた眠りについた。
そして、その2日後に、私は亡くなった。バイバイ、みんな。悲しんでくれてありがとう。デューク、バイバイ。またいつか、会いましょう。
各キャラの享年
アリシア→76歳
グレイス→69歳
シャルロッテ→70歳
王様→67歳
だいたいこんな感じ。他にも知りたいキャラがいれば質問どーぞ。




