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終世の復讐者  作者: 桐花・覇
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14話 神への報復

勇者の前世の話はヘイトを解消出来きそうにないから書くのやめた。身勝手ですいません。

 ある日の事。神世では最高神の代替わりという、一大行事があった。


「アストロ、これからはお前が私に変わって現世の人間達を導いていくのだ。期待しているぞ、若き最高神よ。」

「はい!お父様の期待に応えられるよう、このアストロ、全力でお役目を全うさせていただきます!」

「いい返事だ。頑張りなさい。」


 アストロは父に変わって神世のトップに就いた。最年少で最高神の座につくというのはとても名誉な事だ。まだ勝手は分からないが、それらは先輩である至高神と究極神に手ほどきをして貰えば問題ない。

 これからは誰かを導く立場になる。プレッシャーはとても強いが、自分の才能ならやり遂げられる。そう信じていた。



 しかし、現実はそう上手くはいかなかった。


「…………どうして、上手くいかないの………!?どうして素直に私の恩寵を受け入れようとしないの!?人間ってやつは何であんなに不合理なの!?何で私の思い通りにならないの!?」


 最高神となってから、全く思い通りに事が運ばない。何故こんなことになっているんだ?

 私のせいな訳がない。人間と、他の神々のせいに決まっている。

 自分が神を敬い敬虔に生きる人間に対してその対価たる奇跡を起こすと、やつらはそれを恐れ多い事だと拒否してしまう。

 部下の神達も自分が若いことを理由に命令を無視したり、拒否したりする。

 なにが「勝手も知らない青二才のくせに先輩のオレ達に偉そうに命令するな」だ。お前達がその程度の立場で止まっているのは才能も技量も足りていないからだろう。お前達こそ私のような天才の邪魔をしてなにを偉そうに足を引っ張ってるんだ。

 あぁ、忌々しい。そんなことを思っていると、右手でスパークが起きた。飛び散る火花が顔にかかり、一瞬怯む。


「…………もう放出の期間が来てたのね。大事な日なのに今まで忘れてただなんて、それもこれも全部、あいつらのせいよ。」


 神の力、雷。私の力は大き過ぎて定期的に放出しないと力がショートして暴走を起こしてしまう。だから、定期的に排出する必要があるのだ。

 しかし、神世でそのままやるわけにはいかない。他の神々や神世の楽園で暮らす生命達に迷惑がかかってしまうからだ。だから、普段は降り注ぐ天災として、現世に放出している。一応、犠牲者が出ないように気をつけてはいるが、正直なところ、面倒臭い。

 何故全ての存在の頂点である神の、そのトップである私が人間如きに気を使わねばならないのだ。


「今回は………この辺りにしようかしら。今なら台風がやってきてるし紛れさせればバレないでしょ。」


 独り言で身勝手な理屈を語り、現世に繋がる門の前に立つ。右手から力を放出する。強大なエネルギーを内包した雷が地上に突き刺さる。風と雨に乗じ、何度も、何度も落雷を落としていく。


「フゥ〜〜〜。もう少し吐き出しとこうかしら。また今回みたいに忘れちゃったら困るし。………あーらよっと!」


 最大の出力で雷が落ちる。地上の住宅街に落ちていった雷は、嵐にもかかわらず外を死に物狂いで走っていた傷だらけの人間に直撃し、その命を一瞬にして奪い去っていった。


「やっばぁ………!?どどど、どうしよ!?このままじゃ私の責任問題に、なっちゃ!」


 想定外の事態にアストロは狼狽えだす。

 取り敢えず、死者を連れ出す天使に気付かれる前にこちらに死体を取り寄せ魂ごと修復、生き返らせる。雷に打たれた男は修復後すぐに意識を取り戻した。


「…………ん、ここは、一体?」

「き、気付いたのね。良かった。あなたは死んでしまったのよ。落雷に打たれて、不幸にもね。」

「僕は、死んだ?何で………!?」


 彼の死はアストロ自身の過失によるもの。しかし、それを説明するのはプライドがどうしても邪魔をした。だから、すこーしだけ手を加えて状況を説明した。


「あなたを襲った雷は本来あなたに当たるはずのものではなかったの。つまり、あなたは本来ここで死ぬ予定ではなかったのよ。これは、流石に管理不行き届き。こちらの責任ね。ごめんなさい。」

「そんな………!何で僕が死ななきゃいけなかったんですか………!?まだやりたい事がたくさんあったのに………!」


 男は事態を知り、取り乱す。無理も無い。人間、生きているうちは誰も自分が死ぬなんて思わないのだから。

 涙目になっている男をなだめ、なんとかこのことを大事にしないよう説得を試みる。


「…………元いた世界に生き返らせることはできないけど、他の世界でならあなたを好きな条件で転生させることが出来るわ。せめてもの私の償いの気持ちよ。どうか受け取って欲しいの。」

「………本当ですか!?僕、生き返る事ができるんですか!?」

「え、ええ。さぁ、どんな条件で転生したいか望みを言ってちょうだい。あまりにも馬鹿げている事以外は叶えてあげるから。」


 こうして男は目に輝きを取り戻し、嬉々として転生の条件を告げた。


 一つ、その世界で最強にする事。これは元のステータスを弄れば良い。

 一つ、オンリーワンの特別な存在として転生させる事。転生先は魔族の奴らが幅を利かせてるし、勇者として奴らを滅ぼさせれば良いだろう。

 一つ、転生後の人生も終わったら神にすること。彼が善行を積めば普通にある程度神世で暮らしたあと神になれる。これは彼次第だがまぁ大丈夫か。

 一つ、自分が手を下すまでも無い相手はアストロが始末すること。……少し呑み込み難いが、神の使徒への反逆ということでやろう。


 これらの条件を私は全て呑み、彼を転生させた。ここまで誰にも見つからなかった。隠蔽はこれで完璧だろう。

 しかし、アストロはまだ知らない。

 後に、この行動が自身にとって最悪の結果を生むことを。自身の名が神世を滅ぼしかけた最悪の神として後世に知れ渡ることを。

 この時のアストロには、まだ知る由もない。


キャラクター紹介

「アストロ」

最高神。歴代最年少でこの座に就いた為、他の神々から舐められていた。勇者を前世で殺してしまった時彼らに失脚させられることを恐れて勇者を思い通りの条件で転生させることで隠蔽した。

後にこの行動によって、自身の身が破滅すると知らずに。

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