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終世の復讐者  作者: 桐花・覇
21/47

39話 終の舞台の幕が開く

夏休み中にこの作品を完結させられたらいいなって思ってる。

 

 当日、朝。


 ゼロが舞台となる闘技場に着いた時、もう既にギルドのみんなは先に着いて決闘の開始を待っていた。


「みなさん、おはようございます!今日は張り切って先輩の応援しましょう!ところで、先輩は何処へ?」

「デュークならもう中に入って勇者が来るのを待ち構えているよ。まだ約束の時間まで30分くらいあるんだけどねぇ。」

「まぁ、いいんじゃないっすか?やる気十二分、てことで。」

「あ、そうそう。知ってる?今日は僕たちと同じ観戦フロアにデュークのお父さん、アグレシオン卿が来るんだってさ。ちょっと遅くなるって言ってたけど、来た時には失礼の無いようにね。」

「へぇ、親父さんまでくんのか。こりゃデュークの奴、負けらんなくなっちまったな!」


 その頃、デュークは自分以外誰も居ない闘技場の中で来た時に交わしたセネカルトとの会話を思い返していた。



 ーーーーーーーーーー



『さっき夜が明けるなりいきなり宿舎に勇者がやってきてな。アリシアを無理矢理連れて行こうとしたのだ。』

『強引な奴ですね。それで?一体どうなったんですか?まさか、そのまま連れていかれたわけでは無いですよね?』

『当たり前だ。騒ぎを聞いたのかフェルトが起きてきてな。アリシアそっちのけで自分が父親だと主張する勇者に対して、

 [お前みたいな母を連れ去ろうとする悪者が、自分の父親であるわけが無い]

 と、一喝してくれたのだ。あの時の勇者の狼狽よう、あなたにも見せてやりたかったよ。」

『それは、容易に想像できる光景ですね。奴も今頃、アリシアに自分を応援させて私にマウントを取ろうとと企んでいたのがおじゃんになって焦っているでしょうな。』

『そうだな。あ、それと一つ、気になることがあるのだが。』

『………何か?』

『アリシアのことだ。彼女の操る焔は蒼い焔だっただろう?あなたならわかるはずだ。』

『はい、そうでしたよ。ああなるまで時間はかかってましたがね。………そういえば、この前あいつと戦った時、アリシアが使っていたのは………』

『蒼ではなく、白。』

『いくら勇者でも、魔法の変質なんてことができるとは思えません。これは………』

『まだ、アリシアには何かがある、ということだろう。そっちに関しては騎士団で注意しておく。

 陛下の護衛のため、私は闘技場の方にいなければならない。

 しかし、私の部下は優秀だ。

 どうか安心して、勇者に引導を渡してやってくれ。』

『期待に、応えましょう。』



 ーーーーーーーーーー



 時間が近付く。席が戦いを見届けんとする見物客によって次第に埋められていく。


 残り五分、もう空いている席は見当たらない。

 勇者は、まだ姿を現さない。観客達がざわつき始める。


「どういうこと?」「なんで?」「勇者様はまだこないの?」


 残り二分、定位置についてから微動だにせず待っていたデュークが、おもむろに『黄昏ノ太刀』を取り出して、辺りを見回す。そして、ある方向を向いたまま止まる。


 定刻。勇者は来ない。

 剣を下ろし、地面に突き刺して両手の支えにして待つ。



「遅くなりましたな、だが、間に合った様で良かった。何かアクシデントでもあったのですか?」

「えぇ、どうやら対戦相手の勇者がまだ姿を現さない様でして。おかげでもう1時間近く待ち続けていますよ。」

「まぁ、早くきたからそんなに待つことになったんすけどね。」

「デュークをイラつかせて判断力を奪う作戦か?」

「あの卑怯者ならやりそうですね。」

「ははは、皆さん勇者様に対して手厳しいですな。」


 ターレス=アグレシオン伯爵が到着した後の観客席では、そんな会話が繰り広げられていた。



 そして、定刻から二十分。遂に勇者が姿を現した。

 その顔にはデュークに対する怒りが見えた。


「僕の娘を誑かして………愛人達を逮捕して………!一体どういうつもりだ!?僕への当てつけのつもりか!?」

「これまでただの一度も親子のふれあいをしなかったくせに、急に父親面したところで信じてもらえるわけが無いだろう。愛人達に関しては、彼女達の自業自得だ。お前が口を挟める問題ではない。」


 デュークは『黄昏ノ太刀』を使って勇者の動向を観察していた。約束の時間を過ぎているというのに昨晩捕縛された聖女達を解放しろと騎士団に対してごねていたのだ。諦めてこちらに向かってくるのを確認してからは待っていたが、まさかそこからここまで時間をかけるとは思わなかった。

 少しその気になれば二、三分程度で着いたはずなのだが。


「始める前に、あれを見ろ。」


 戦いを始める前に、デュークは前置きしてから観客席のある方向を指差し、勇者に確認を促す。そこには観客達の団体があった。年齢も性別もバラバラ、おそらく出身や職種なども違う。


「………?あれがなんだっていうんだ!?」

「はぁ。分からないか。彼らは皆、()()()()()()。」

「同じ………だからな………!!?」

「気付いたか。」


 彼らは、デュークと同じ。大切な女性を、勇者によって奪われた者達。


 恋人を、妻を、奪われた男。

 娘を奪われた父、母。

 孫を奪われた祖父、祖母。

 親友を奪われた女。

 姉妹を奪われた兄弟。


 デュークの指差した団体は、そんな勇者に憎悪を持った者達だった。


「開始前に一つ言っておこうか。」

「………」

()()()()()()()()()()()()()()()、と。」

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!」


『黄昏ノ太刀』をしまい、『奈落ノ太刀』を抜く。勇者を冷めた目で見据え、呟く。


「さぁ、始めようか。」

「あぁ、いつでも来い!」


 勇者も聖剣を抜き、構えて啖呵を斬る。

 そこに、


究極風属性魔法(ウルティマ・ストーム)


 暴風が勇者を襲う。

 ここに、復讐者と勇者の戦いが始まった。


用語紹介

「基本剣術」

剣を手に取った者はまずこれを学ぶ。

「究極剣術」

「基本剣術」をより高度に昇華させたもの。これが使えなければ剣士として認められない。

これと自身の魔法を組み合わせて新たなオリジナルを作ってから漸く剣を極めたと認められる。

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