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終世の復讐者  作者: 桐花・覇
18/47

33話 復讐の準備

もうすぐ物語も佳境です。

因みに、この作品のラスボスは最近出番の少ない

「あの人」

の予定です。

………あくまで予定です。

「礼儀がなっていない。おまえの御両親は目上の人には敬語を使うという当たり前のことすら教えてくれなかったのか?」

「何………だと!?ふざけ」


 アーノルドが喋ろうとしたが、顔を踏みつけられ口を塞がれる。


「口を閉じろ。誰が喋っていいと言った?」

「ぎゃっ!?」


 デュークの言葉に反論しようとしたアーノルドの顔面にもう一度蹴りが入る。起き上がらせた体がもう一度地面に倒れ伏すこととなった。


「私が戻ってきたことの意味。もう分かっているはずだ。喋ることを許可してやる。理由を述べてみろ。」

「僕への………復讐か………!」

「正解だ」


 アーノルドを三度蹴って今度は体を起き上がらせる。そして体制を立て直したところで言葉をまた続ける。


「復讐のために私は帰って来たが、あいにくまだ準備が終わっていなくてな。私はそれを終わらせなければならんし、お前も死ぬ前に愛人達と別れる時間くらい欲しいだろう。5日後だ。5日後にまた、決闘をしようじゃないか。」

「………分かった。だが、決闘には敗北した時に勝者に支払う対価が必要だ。君に何か僕に敗北した時に払える対価が有るのか?」

「私は貴族だ。平民のお前と違い、もともと生活の質が違う。お前の欲しいものはいくらでも手に入るはずだぞ?」

「………そうか。なら、勝った時に決めさせてもらおう。それでいいな?そっちが勝った時の条件は何だ?」

「それは当日に言おう。今ここで言うべきではないのでな。

 あと、こちらで場所は用意しておく。確保できたらそちらに伝えよう。」


 こうしてお互い歩き出す。

 その前に一度振り向き


「あぁ、もし逃げようとしても」

「………?」

「私はお前を終世の果てまで追ってやる。絶対に、報いは受けてもらうからな………?」

「………………!!!」




 ーーーーーーーーーー




 騒動の元凶を騎士団に引き渡し、アリシアとフェルトが医務室で休んでいるのを確認してから、あとを彼らに任せてデュークとセネカルトははギルドに向かう。三年前と変わらない姿、変わらない住所で、ギルドはその存在を主張していた。

 ノックしてドアを開け、中を見回す。

 中で襲撃があったのか器物が一部破壊されている。それを職員や冒険者達が修復していた。

 デューク達を見て皆が作業の手を止める。見た目はだいぶ変わってしまったが、どうやら皆、来客が誰だかすぐに理解したようだった。


「デューク………先輩………?」

「マジかよ………!」

「アンデットとかじゃ、ねぇんだよな………!」

「はい。これまでご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした。デューク=アグレシオン、ただいま戻りました。」


 その言葉と同時に、皆が作業を放り出してデュークに駆け寄る。あまりの人波に飲まれ、押し倒される。


「せんぱぁ〜〜い〜〜!よかっだでず〜〜〜!もうにどと、にどとあえないんじゃないかって〜〜!」

「まったくよぉ………3年も心配かけてよぉ………どんだけ探しても、見つからなかったのによぉ………」

「すみませんでした。私のせいでいらない心配をさせてしまって………」

「………おかえり、デューク。」

「………はい」

「俺たち、お前が帰って来た時のために、お前の好きだったミントティー淹れる練習したんだぜ。今から入れてやるから、飲めや。」

「では、お言葉に甘えて。」

「よっしゃ!めちゃくちゃうまいお茶を淹れてやらぁ!しばらく座って待ってな!あ、セネカルト様もな!」

「私もか。なら、ありがたく頂こう。」


 椅子に座り、しばらく待つ。


「デューク殿は、人望が厚いのだな。こうして多くの者があなたの無事と、再会を心から喜んでいるというのは、正直羨ましいよ。」

「私は、普通に生きて来ただけなのですがね。」

「普通に、か。その普通がどれだけ高潔な生き方ならこうまで慕われるのだろうな。」

「なんの話ですか?」

「あぁ、ゼロか。」

「おかえりなさい、先輩。私、あなたがいない間ずっと副長代理をしてたんですよ!お陰で私はすごい有能になれましたけどね!」

「そうだったのか、迷惑をかけてすまなかったな。そういえば、今ギルドで私の立場はどうなっているんだ?」

「確か、休職という扱いだったはずです。先輩が望むならすぐに復帰できるはずですよ!」

「そうか。なら、勇者への報復を果たして、さっさと戻るとするか。」

「それが良いです!あ、ところで先輩、その髪どうしたんですか?随分と長くなってますけど」

「これは願掛けだよ。なかなか似合っているだろ?」

「はい!とっても似合ってます!ずっとそのままでも良いくらいです!」

「確かに、女顔のあなたには長髪が似合う。もういっそ、ずっとその髪型でいても良いのではないか?」

「………考えておきましょう」

「「「「「おうおう!お茶が入ったぜ!ほらよ、たらふく飲みな!」」」」

「そんなたらふく飲むものでもないと思うんですが………まぁ、頂きましょう。」


 渡されたカップを掴み、ミントティーを啜る。淹れたてで熱いはずだが、気にしている様子はない。


「「「「どうよ!お味のほどはよ!?」」」」

「………不味いですね」

「「「「な、なんだってーーー!?」」」」

「茶葉の質が低い。蒸らしも弱い。ミントも少なく、香りが弱い。オマケに、カップに注ぐ時も適当にやったでしょう?口をつけていない部分まで濡れていますよ。」


 冒険者たちの淹れたお茶をこき下ろす。実際、あまり美味しくない、というか不味い。同じくお茶を貰ったセネカルトさえも小さな声で「あ、不味い」とか言う始末である。


「けど」

「………?けど、なんだよ。」

「3年、誰とも語らず、触れ合わず、孤独に終世を生き延びて来ました。その間私を支えていたのは勇者への復讐心でした。」

「………」

「負の感情は人を奮い立たせます。しかし、ずっとそんな感情のままでいると、心が荒んでいくんです。そんな心には、こんな優しさがとても染みるんです。拙い腕でも、酷い味でも、私の為に暖かい心を込めて淹れてくれたこのお茶は、素晴らしいご馳走です。

 皆さん、本当に、有難うございます。」


 そう言うデュークの顔には、皆の暖かい気持ちに対する感謝が見て取れた。目には涙が浮かんでいた。涙も笑顔も、久しぶりに他人に見せた。


「へへへ、良いってことよ。それよりも、色々積もる話があるだろ。セネカルト様もそれを聞きにお前について来たそうだし、どんどん話してくれや。」

「………はい、では。」


 こうして遅くまで語らい、1日目が終わった。



勇者のステータス


lv.99

体力:(106549)

魔力:(124509)

攻撃力:(107409)

防御力:(121111)

速力:(104097)

精神力:(16478)

≪スキル≫

「火属性魔法lv.10」「水属性魔法lv.10」

「土属性魔法lv.10」「風属性魔法lv.10」

「光属性魔法lv.10」「剣王lv.10」「神の加護」

「呪い耐性lv.10」

≪称号≫

「神を継ぐ者」「剣に選ばれし者」「無道」

「女の敵」「男の敵」「魔を滅す者」


こんな感じです。

洗脳や記憶の書き換えは「光属性魔法」の力です。

このステータスは完全武装時のものなので、素のステータスはもっと下がります。

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