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終世の復讐者  作者: 桐花・覇
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27話 無邪気な言葉

1話出すたびに3〜4通は感想が届くけどなんて返信すればいいのか迷う。ぽろっとネタバレしちゃいそうで怖いんですよ。

 

(まま………)


 フェルトは母が街に起きる問題を鎮めに行ってから今までずっと言いつけを守ってその身を隠していた。しかし、母親に会いたいという気持ちが隠れてる間に自然に強まり、今ではもうここを出て母に会いに行こうかなどと考え始めていた。


「わあっ!?」


 そんな矢先、隠れていた八百屋の商品台が突然揺れ、中にいたフェルトを押し出してしまった。その理由は直ぐにわかった。湧き出てくる屍鬼(グール)達に応戦していた騎士がグールを吹き飛ばしたことでそれが運悪くフェルト隠れていた台に当たってしまったのだ。


「ひゃぁぁぁ…………」


 起き上がり、体制を立て直した屍鬼(グール)がフェルトを視認し、襲いかかろうとする。台の中から押し出された時に足を怪我してしまってフェルトは這いずってでしか逃げる事ができない。そうこうしている間に屍鬼(グール)はどんどん近づいてくる。いつのまにか数も増えている。騎士がフェルトを助けようとして屍鬼(グール)の背後から何度も攻撃をしている。しかし、奴らはそんな攻撃を意にも介さずフェルトに向かって歩を進める。


「ひゃぁぁぁ…………!たすけてぇ!ままぁ!ぱぱぁ!ふーちゃんこんなのやじゃあ!」


 恐怖で目から大粒の涙がボロボロとこぼれ落ちる。この場にいない人間に助けを求める。自分を置いて何処かへ行った母に。産まれる前から出かけていて顔も知らない父親に。子供ながらに命への執着は凄まじいものであった。


刃裂風(ウィンド・ミキサー)!」


 助けは、やってきた。求めていた両親の助けではなかったが。

 無数の風の刃が屍鬼(グール)達の肉を引き裂く。あっという間に全員ひき肉となった。血が、肉が飛散する。だが、目の前の人間にはその煽りを受けた様子はなかった。


 デューク=アグレシオン。


 彼の風魔法は終世で過ごした3年の中で恐ろしく昇華されていた。元々火力も低く、燃費も悪く、レベルが早く上がる事だけが取り柄のような魔法だったが、今ではもうそんな欠点は消え失せていた。

 屍鬼(グール)たちが動かなくなったことを確認してからフェルトの方に向き直る。


「おちびちゃん、大丈夫?怪我はなかったかい?」

「うぅぅぅ………おじちゃん、ありがちょ………」

「こんなところで1人だなんて………お母さんとお父さんは?この場にいないのかい?」

「ままね、どっかいっちゃったの。ここでまっててっていってたの!ふーちゃんいいこだかりゃ、ずーーっとまってたの!」

「お父さんは?」

「しらない!」

「そうか………。なら、お母さんの用事が終わるまで誰かに守ってもらおう。丁度いい、そこのお方、騎士団の方と見た。この子を母親に安全に会えるようになるまで保護しておいてくれないか?」


 デュークに話しかけられた騎士は少しどもりながら言う。


「も、申し訳ありませんが、私つい先日騎士になったばかりの若輩者でして…………未だ子供1人守り切れるかも不安な程度の実力しかないのですよ………ははは………」

「あぁ………そうでしたか。お気の毒に。なら、この子は私が守っておきましょう。




 ……………『深淵ノ太刀』」


 そう唱えると右腰に下げられた漆黒の剣からデューク背丈を軽々と覆い隠すほどの巨大な大剣が吐き出された。大剣は地面に突き刺さり、その柄をデュークに向ける。


「おちびちゃん、私が君のお母さんのところまで連れて行こう。なに、問題ない。すぐに見つけて会わせてやるさ。」

「ほんと!?ままにあえるの!?」

「あぁ。私が責任持って連れて行く。さぁ、つかまって。落ちないように気をつけないとな。」

「うん!おじしゃんもきをちゅけてね!」

「おじさんじゃなくてお兄さん、だぞ。」


 フェルトを背中に抱え、左手に『深淵ノ太刀』を持って跳ぶ。風魔法が跳躍を補助する。忽ちどの建物よりも高くなった。

 高度を調節して街全体を見渡せるようにする。どこもかしこも阿鼻叫喚の騒ぎとなっているが騎士団や冒険者、自警団が対応していて少しずつ屍鬼(グール)の数を減らせている。これなら、自分が助太刀する必要は無いだろう。


「そういえば、まだおちびちゃんの名前を聞いていなかったな。君の名前を教えてくれないか?」

「ふーちゃんのおなまえはね、ふぇると=はるとまんっていうの!おじちゃんはなんておなまえなの?」

「………私はデューク。後、お兄さん、だ。おじさんじゃないぞ。」

(まさかこんな偶然があるとはな………)


 デュークは困惑した。ケリをつけるべき大きな問題の1つにいきなり遭遇してしまったからだ。

 だがまぁ、考えても仕方がない。今はフェルトとアリシアを引き合わせる事だけを考えよう。そう結論づけて、アリシアを探して加速した。

 一方で、フェルトは全く違うことを考えていた。

 初めて見る男。

 母のことを知っている。

 根拠はたったのそれだけだったが、彼女はデュークこそが家を離れていた自分の父なのではないかと思い始めていた。だから、聞いてみた。


「ねー、おじしゃんがふーちゃんのぱぱなの?」

「………え?」





アイテム紹介

「終世剣」

ひとたび手に入れれば

『奈落ノ太刀』はその身を不朽のモノとし、

『深淵ノ太刀』は全てをを守る不滅の盾となり、

『地獄ノ太刀』は困難を砕く導となり、

『黄昏ノ太刀』は真理を見渡す天眼を与え、

『根源ノ太刀』はその身を終世と繋げんとする。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 2歳の子供がこれだけ会話が出来るのに自分の父親を間違えるのですか? 設定に無理が有り過ぎです
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