第027話 「廃人共、御鍛冶番と再会する」
リメイク予定なのでここで終わらせます。
オーミこと大海克弥は、「いつもの」集合場所である国内線到着ロビーから少しだけ離れた場所で立っていた。
何しろ、異常に目立つ6人組である。離れていようが近づいていようが、その集団に注目が集まるのは当然であるし、気づくのもまた当然。
それなら、彼もまた一種の元引きこもり。
無理に人の群がるロビー周りにいるほうが、精神衛生上よろしくない。
彼ら6人組が主人公と比喩されるなら、大海は鍛冶屋Aである。
最も、普通の鍛冶屋としてはオーバースペックすぎるが。
――待つこと十数分。
ロビーに人が排出されてきた中で、明らかな空気の変化を感じ取ったオーミは、ゆっくりとそちらに向かう。
「久しぶり、みんな。……春河はそうでもないけど」
オーミに気づいたネロが、頭を撫でられたそうにしているのを全力で気づかないようにしながら、彼は6人に挨拶をした。
6人6様。それぞれ異音同義に挨拶を返しながらも、春河は恥ずかしそうに頬を赤らめうつむいている。
ネロ、こと楓は悲しそうな顔で見つめ続けていたが、天晴に引き剥がされてしまった。
他の3人も、それぞれ頭を下げてオーミの言葉を待っている。
「みんな、先に荷物をおいてから食事でも行くか」
なぜこんなに静かなんだろうと若干訝しむように考えたあと、オーミは考えを放棄した。
考えても仕方のないことである。自身が年上、ということもあるのだろうと自分を納得させて、オーミは6人の先導をした。
「家の中ではもちろん、【Mythology-of-Legacy-Online】をするんだよね?」
「ちっとは他のこともした方がいいと思うが、なぁ……。いつもはほぼ24時間【あっち】で生活しているようなもんだし、せっかくここに来たんだしさ」
ネロは周りを見回し――、特に春河を見てどうも【Mythology-of-Legacy-Online】の気分ではないらしいことに気づく。
できれば24時間、ずっとあの世界に存在し続けたい生粋の廃人は、ネロだけだったようだ。
「そういうものなのかなぁ……あっちのほうが生きやすいや、僕は」
「たまには現実世界も、楽しみましょうよ」
草木のように沈黙を守っていたフェネアが一声、ネロに話しかけると、ネロは反抗する気も起きないようであった。
「でも僕達、外の世界を知らないんだよね」
「一番詳しいのは天晴でしょ?」
「5年もまともに外出てねえよ、しらん」
これグレた結果ではあるけどファッションだし、と天晴。
「あれだ。水族館とやらに行ってみたい」
そう要望を出したのは、ネロであった。
水族館くらいなら流石に行ったことくらいあるだろう、とオーミは思うが、どうもないらしい。
「家がアレだと息子も大変なんだよ」
「水族館は男女関係ないけどな」
「そういう意味じゃなくて、親の干渉が多いといろいろダメダメいわれるの」
学校以外は外に出ることも許されず、男であることも否定され続けた結果が今の水馬楓である。
そう、少々わがままに聞こえるこれもリバウンドなのだろうな、とオーミは理解することが出来た。
むしろ、自分自身が自由すぎただけなのだ、と。
「他のメンバーも、それでいいか?」
念のため、他のメンバーにも聞いておく。
天晴だけがツンデレっぽく「つ、ついて行ってやるよ」などと天邪鬼な態度を取っていたが、その目はキラキラと輝いていた。
ワンボックス型のタクシーを呼び、とりあえずはオーミの自宅へ。
オフ会はまだ始まったばかりだ。
次回作に期待ください。
申し訳ありません。




