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第021話 「廃人共、計画を確認する」

説明回。

「と、いうわけで。次回イベント【海底遺跡の咆哮アンダールインズ・リリードラゴン】に関しての作戦会議、するよー」


 オーミとの、普段より少々長い休憩を取った【欠けた虹】のメンバー6人は、武器店の3階に位置するギルド拠点でそれぞれ陣取っている。


 リーダーのネロは、立ってブラックボードを取り出し。

 テンパレは仮眠用のベッドの端に座り、その近くをルクスが取っている。

 

 フェネアは床に座り、ルーナとフィオネは椅子に座っていた。


「構成はまあ、いつもどおりで問題ないね」

「そうですね。でも、他に何を?」


 いつも通りなら、ほぼ話し合うことはないのではないか、そう考えたのはルクスである。

 が、ネロは肩をすくめて、「ちょっと聞いてよ」と彼を制止した。


「今回のイベントを、ルクスならどう思う?」

「どう思う? と言われても。ポイント勝負、なのでは?」

「……僕はそうは思わないけどね」


 肩をすくめたまま、ネロはブラックボードに6人の名前と、【宵闇騎士団】と書き記す。


「創立から2年、【宵闇騎士団】は幽霊団員が多いとは言え。数値上は100人を超えるそこそこ大きい戦闘職ギルドだよ。普通に競ったって、勝ち目はない」

「しかし、先程」

「今回は【PvP(たいじんせん)】として、イベントに臨もうと思う。僕達以外は全て敵と認識して欲しい」


 その言葉に、フィオネは違和感を覚えたがすぐに納得する。

 ……嗚呼、ネロは怒っている。


 理由は明確だろう。ネロたちは、【大海重工】の前で、リキュールというプレイヤーの言葉をずっと聞いていたのだから。

 フィオネが顔を見合わせている他のメンバーにアイコンタクトを送ると、全員が首をかしげる。

 彼女は一心不乱に計画を書きなぐっているネロ以外の、4人の注目を浴びながら下を指差すと全員がすぐに頷いた。


「まず、ルクス。……んーいつも通り?」

「それは、モンスターだけ? それとも、プレイヤーのヘイトも集めたほうが?」

「ううん、それはルーナに任せるよ」


 ルクスの役割は、純盾役フルタンクである。

 種族【光極精(モノリスィラフ)】の固有スキルによる、もともとの防御力と体力。

 習得した盾役の基本スキル、《ガード》による防御力増大、《パーマネンサ》による体力増大、《ヘイトハウリング》による敵の挑発――を、極限までレベルを上げたことによる異常なほどの耐久性は、一人で200体あまりの攻撃を受けても5分耐えることが出来るほどだ。


 それに、3分もあれば他のメンバー。とりわけテンパレが、有象無象は処理をしてくれる。

 残るはボスのみ、となれば。自己回復力も相まって1秒に1000喰らっても1200回復する――といったような現象が起こりうるため、彼が危険にさらされることはなく成るのである。


 次にネロはルーナの方を向いた。


「ルーナも、いつもどおりだね。だけど、今回は【宵闇騎士団】とその他をターゲットにヘイトを集めてほしいんだ。勿論、逆に倒してしまってもかまわない」

「……この脚があれば、出来ると思う」


 そう言って愛おしそうに【C(シー)-OverClock(オーバークロック)】――スラスター脚を撫でるルーナの姿に、戦闘欲が湧き上がったような気がして。

 フィオネは、正直ゾッとした。


 ルーナは遊撃担当だ。戦場を駆け回り、毒を散布して敵の阻害をする。彼女を仕留めなければ攻撃すらままならないが、彼女を追うといつの間にか体力が減り、瀕死状態になったところをモンスターや他のプレイヤーに横殴りにされ、死ぬ。

 種族【闇極精(エータレイヴン)】の機動力と手数で戦場をかき乱し、注目を集めるのが彼女の戦い方だ。上級魔法スキル《瘴気ミアズマ》は自身の後ろに向かってしか発動されないため、結局のところ標的をすり抜けるようにして動けるプレイヤーにしか使いこなすことは出来ない。


「ああ、避けるのが無理なら跳ね飛ばしてもいいよ」

「……リーダーは本当に容赦がない」


 いつもはネロに対しての扱いが酷いルーナも、それしか言うことが見つからないようであった。

 

「テンパレは、ルーナとルクスが引きつけた敵の一掃を。あと、自分の判断で要注意人物が見つかったなら攻撃してしまってもかまわない」

「了解。どのくらいまで叩きのしても?」

「石器時代に戻すまでなら」


 ネロの表情は、氷像の硬いそれに守られて見ることが出来ない。が、口調は冷たかった。


 テンパレは、フィオネと並んで【欠けた虹】のメイン火力である。範囲攻撃に特化したスキル構成と、彼の種族【雷極精(ヘクスリアニクス)】の変形による機動力・火力の共存。

 敵に殺到して殺して回る、無骨な機械人形は単純な魔法戦闘職よりも脅威である。


 彼に銃口を向けた機械人形プレイヤー達も、上空からの爆撃に依って為す術もなくやられていくのが現状だ。


「僕とフェネアは補助だね。僕は基本的に戦闘補助を、フェネアはHPとMPの回復、吸収を」


 はい、と。フェネアは微笑みながら頷いた。

 

 ネロは器用貧乏であったが、オーミの作った【A(エー)-gelmir(ゲルミル)】の活用により万能に近い場所まで到達する。数日間の訓練で、3対のユニットをそれぞれ・同時に・別々の行動をさせることによって攻撃も回復も防御も出来るようになったのである。

 まだまだぎこちない場所はあるものの、それは仲間がカバーすればよい。


 フェネアは回復・補助特化だ。

 種族【地極精(アルラグラン)】の固有スキルによって、周りの敵から少しずつ吸収したHP・MPを【実】にストックすることが出来る。【実】は敵に投げればHPを削る武器になり、味方に投げればポーションと同じ効果を持つという仕組みになっているのだ。


 代わりに【地極精(アルラグラン)】は吸収以外の攻撃スキルを持たない。


「……で、フィオネはトドメを。どれだけ相手が文句を言おうと、【海底遺跡の咆哮アンダールインズ・リリードラゴン】の体力を半分以上削れば、こちらの勝ちだ」





 今回は【極精】の逆襲、っていうテーマで行こうかと思ったけど、ちょっと狂っちゃったな。

 ネロはそう考えながらも、職人オーミの作品を「大したことない」と称したリキュールに、憎しみの念をぶつけていた。


次回更新予定は明後日です。

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