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どうか生き続けていますように

作者: 浦辺 京

 その日あなたは死にました。

 僕はその時あなたが死んだとは知りませんでした。

 ただ人生を漫然と生きているだけだったかもしれません。


 今日僕はそのしらせを知りました。

 僕はその時あなたのことを考えていませんでした。

 生きているのかどうかさえ頭の中になかったと思います。


 明日から僕はあなたの死を記憶に刻み付けることになりました。

 僕はその時あなたを思い出すことになるでしょう。

 しかしあなたの現在いまに思いを馳せることはこれから永遠にないのです。


 僕があなたと会わなくなってから、あなたは果たして一体どんな人生を送ったのでしょうか。

 短くも輝かしい充実した人生だったのでしょうか。

 それとも惨めだと思えるような辛い人生だったのでしょうか。

 なんであれ僕の目から見えたあなたは昔も今も、輝かしい人でした。

 そして今でもあなたの死を悔やむ人は沢山いるのです。


 僕は、ただ。

 あちらの世界でのあなたの幸せを願うばかりです。


 でももしそんな世界がないのであれば。

 あなたを知る僕が、あなたの記憶を持つ僕が。


 あなたの魂をずっと覚え続けましょう。


 どうか、どうか。

 僕の記憶の中のあなたが、僕が終わるその瞬間まで。


 どうか、どうか。

 生き続けていますように。








 僕は、今でも生きています。






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― 新着の感想 ―
[一言] 自分の体験を読まれているようで、 すごく切なく苦しくなりました。 そのくらい、こちらの詩と全く同じ思いでした。 やはり体験した者にしか分からない、 書けない文章というものがあるのですね。 そ…
2016/05/28 08:45 退会済み
管理
[良い点] 浦辺さん詩も書くんですね!凄く素敵でした。悲しいけれど、希望を持たなきゃいけないし、人の生死、その意味を深く考えなければこういう詩は書けないと思います。どうもありがとうございました!読み継…
[一言] 生きているもの=光 いなくなったもの=影 でもこの詩を読んで、二つとも光なんだと思いました。 生も死も輝いていくのですね。
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