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005:神獣-An auspicious animal-

前回までの神話…


強力な神力の持ち主に突如襲われたシン。

彼らはシンも神力使いだというが、シンには全く神力というものを知らない…

本当にシンは神力を持っているのか。

彼らの目的とは…

全ては、神のみぞ知る。

蛾裡がりは腕を前に突き出すとにんまりと笑った。

これで終わりだといわんばかりに。

爆奇破(バクキハ)!」

ランダムに倉庫が爆発し始めた。

1つ!2つ!3つ!……

破壊される早さがだんだん早くなっている。

…15!16!17!18!19!

そしてとうとう最後の倉庫が爆発した……

最後の爆発はフィニッシュといわんばかりに大きな爆発が起こり、辺りには煙が充満し、倉庫があった場所は火の野原となった。

「蛾裡もういくぞ!ここには用がねえからな。」

気彌きびは後ろを振り向いた。

蛾裡は黙ったままで、後ろを振り向こうとした。

「おっと、1つ言い忘れてたな……そんなこと言うとでも思ったか?」

俺の目の前に大きな目が現れた。


俺は倉庫から抜け出し、海に飛び込んでいた。

だから爆発から逃れることはできた。

でも、奴の目から逃れることは無理だったようだ。

「言ったろ?俺は千の目の神力使いだとよ。でもお前はがんばったよ!褒美に俺の神獣じんじゅうをみしてやる。」

気彌は左目につけていた眼帯をはずした。

その時俺は、何か威圧的なものを感じた。

眼帯をしていた方の瞳の、目の奥に潜む何かに…


そこから、化け物が現れた。

体が白く幽霊のようで、目が3つ、口が3つ、そして手が体に幾つか生えた化け物だった。

「デイアス!!あいつを殺れ!」

デイアスと呼ばれる神獣は俺に向かって飛んできた。

俺は海に浮かんでいるだけだし、防御することさえできない。

体当たりを直接受けた。

見た目はやわらかそうなのに、デイアスの体は鉄のように硬い。

「……動け…ない……骨が……体…鍛え…ば……よかった…

俺…死ぬん…だ……展開…速い………よな…せめて…力があれば…」

その時、俺の右手が光った。

その光はまるで、闇を切り裂く凶器のようなまばゆさで。

夜の海にそれが映し出され、更にまぶしさを増していた。

光がやむと俺の右手には刀が、頭の中に伝わってくる、この刀の名が。

そして何故か、骨が折れているはずなのに体が動く。

まるで骨が治ったようだ。

それに不思議なことに、海の上に立っていた。

これでデイアスと対等に戦える気がしてきた。


まばゆい光により、動けなかったデイアスはまた動き出した。

次は俺を食そうと口を大きく開けて向かってきた。

すごいスピード、すごい生物だ…

でも…俺は生きてやる!

「見せてやるよ…俺の力…斬鉄剣ザンテツケンを!」

俺は斬鉄剣で、デイアスの軌道を変えた。

さすがにこの刀でデイアスを斬ることは無理なようだ。

それにしても、デイアスの力はすごい、もう少しで押しつぶされそうになった。

海の上なのにな…

あんな言葉を言ったのはいいものの、攻撃を防ぐだけで精一杯だ。

攻撃しようとしてもデイアスがその前にすごい速さで俺に向かってくる。

マンガや小説の主人公のようにうまくはいかないってか…

ふと気彌を見ると、気彌は興奮していた。

「一体何やってんだデイアス!それにさっきの光は…!?

なっ、いつの間に刀なんか…そうか…それが奴の…!!」


気彌はなにか考え事をした後、デイアスに向かって命令をした。

「デイアス、お前の技をみしてやれ。…アーイ・オブ・デス…」

デイアスは急に動きを変えた。

宙に止まったままデイアスは口に、黒き邪悪なエネルギーを溜めていた。

黒き邪悪なエネルギーは既に直径5m程の球体になっていた。

そこからデイアスは、俺に向かって、アーイ・オブ・デスを放ってきた。

だが俺はそれを、ジャンプし宙で…斬鉄剣で斬った。

斬られたアーイ・オブ・デスは、2つの半球になり、そのまま海に放たれた。

大きな水しぶきがあがった。

その後もすぐに、もう一発きた。

だけど防ぎきれない。

最初の一発目を宙で斬ったから、今も宙に浮いたままで、体制を崩してしまったせいもあり、どうも防ぎきれない。

アーイ・オブ・デスはそのまま、まっすぐ俺がいた所を通り海に落ちた。

それがあたった海の部分だけ海底の部分が見えている。

そして俺の姿も形もそこにはなかった。

俺は死んだ…この時に…

短い人生だった。

「終わったな…俺の神力で見ても、服の欠片も骨の欠片もねえ…さあ、行くぞ蛾裡!…日向ひなた!でてこい!!」

両開きの扉が現れた。

そこから、一人の少年が出てきた。

小5ぐらいの少年で、バッグを背中にからっていた。

その子が扉から出てくると、その扉は、スーッと消えていく。

「今日はもうおしまい?」

日向と呼ばれる少年はそう言った。

「今日は疲れた、だから帰るんだ!」

気彌が怒鳴ったように言うと、日向はやれやれというように、一言。

「…羅生門らしょうもん…」

日向がそういうと、また扉が現れた。

その中に、気彌と蛾裡と日向は入っていった。

そして扉が閉まると扉は消えていった。

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