002:闇の世界-The world of darkness-
今日はだるい…
昨日翔太が、あんな映画を見せたせいだ!
自慢じゃないけど、俺の予想や勘はよく当たるんだよな…
それより、本当にきつい。
たとえるなら二日酔いぐらいのつらさ。
二日酔いがどんなのかは知らないけどな。
それと、それに加えて学校に行かなきゃいけないからさらにきつい。
何も学校ですることがないしな。
俺はそんなことを考えながら、学校まで登校している途中だった。
ふと気づくと、道路の真ん中で、若い高3ぐらいの背丈の奴が、白いコートを着て、フードで顔を隠していて、
車のボンネットの上に乗って、何か喋っていた。
その周りには野次馬が40人ぐらい、俺の通ってる高校の生徒もいた。
だが俺はそんなのに見とれているわけにはいかない!
何故かって?
今はすごくだるいからだよ…
それに…俺はその場にいたくなかった。
周りもうるさいしな…
だから俺はだるいと思いながらも、早歩きで学校へ向かうことにした。
10分程早歩きで歩くと学校に着いた。
ちょっと早く歩きすぎたかな…
それより、早速学校に着くと、校門横から翔太が現れ、うるさく喋りかけてくる。
たまに思うけど、こいつよりうるさい奴がいるのかと思うぐらいうるさい。
翔太から逃げ切り、やっと教室に入ると、俺はすることがなくなる。
高校に入ってから友達が少ないからな…
こういう性格上誰も寄り付かない。
寄り付いてきたとしても不快感が残るだけだ。
だから誰も俺とは…
でも別に、友達がいないからって不便でもなんでもない。
自分の時間が自由に使えるからな。
若干一名のせいで邪魔はされているけど、それは無視。
だけども…今日も暇だ…
暇つぶしの変わりに遊んでやっている奴がいる。
破間 仁と遊んでやろうかな…
破間 仁って名前の奴がいるとか言われたら、最初は強い奴を想像するだろ?
でも仁は、名前と正反対の奴だ。
弱すぎる!
だからいつもいじめにあってる。
でも、俺は暇な時、仁と遊んであげているので、その間だけは仁はいじめっ子から何もされない。
最近はみんな、俺のことを変な方向で勘違いをしてみていると、噂で聞いた。
そのおかげか、誰も俺に手を出す奴もいない、だからいじめっ子は何もしないんだと思う。
そしてそのせいで仁は俺のことを友達と勘違いしているらしいが、俺は翔太並の人間扱いをしている。
勘違いされちゃ困るけど、変な方向って不良とかヤクザみたいなモンのことだから。
そんなことを考えてるうちに、授業が始まりそうなんで、俺は仁で遊んでやるのをやめた。
なんかこんなことを言ってたら、嫌な奴と思われるかもしれない…
だけど人間ってそんなもんだろ?
本当の性格を隠し、悪い奴なのにいい奴の振りをする奴や、弱いのに悪い奴の振りをする奴。
誰かにいじめられ、その恨みを自分より弱い奴にはらす奴。
世の中そんな人間の集まりだ!
腐ってる!
そして俺もその一人というわけ・・・
今日の学校もつまらなかった。
勉強しなきゃいい学校に入れないかもしれないけど、勉強してる奴ほど悪い奴が多い。
テレビでもよく少年が犯罪を起こして、そのインタビューのときに【いい子だった】、
【勉強もしっかりやる子でした】とか、【そんなことするような子ではありませんでしたよ】なんて言ってるしさ。
学校が終わると、翔太に捕まる前に、さっさと家に帰ることにした。
家に帰る途中、今朝野次馬達がいたところにブルーシートの壁ができていた、
警察がうじゃうじゃいる、報道陣も今駆けつけたところのようだ。
どうせ、交通事故かなんかだろう。
それにしても、警察や報道陣が多いな…
俺は別に興味もなく、また家に帰るために、1歩1歩、歩み出した。
興味が全くないといったら嘘だが、いつかわかることだから、その時のために取っておく。
20分で家に着くと、2階の自分の部屋に向かった。
なんだか今日は本当に疲れた。
じっとしてるとだんだん睡魔が襲ってきた。
・・・・・・・・・・・・・
「目・・が・・・重い・・・」
俺は、制服を着たままベットインした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
何時間経ったか…
目を覚ますと、お腹がへっていることに気づいた。
だから、部屋のドアを開けて、廊下に出て一階に降り、
母さんになんか食べるものを用意してもらって、それを食べる。
そんな予定だった。
だが、おかしなことにドアを開けると全てが、暗かった……
例えるなら、まるで…闇の世界のように…
後ろを振り向くと、部屋のドアだけだった。
まだ寝ぼけているのかと思い、頬をつねってみた。
痛みは感じた。
寝ぼけてなんかいなかった。
本当に俺の目の前には闇の世界が広がっていたのだ。
ドアが傾きだし、宙で回転するとまるで光の欠片のように崩れ、天高く昇っていった。
するとどこからともなく笑い声が聞こえてきた。
「・・・・ヒョッ!ヒョッ!ヒョッ!ヒョッ!・・・・」
だんだん笑い声が近づいてくる。
何秒経ったかわかんないけど、俺の耳元で、笑い声が聞こえた。
ビックとした。
辺りを見回したが、誰もいない。
あるのは浮遊している光の玉だけだ。
さっきまではなかった光の玉がな…
よーく観察してみると光の中心には核となるなにか…宝石らしいものが見えた。
その光の玉から笑い声らしき声が聞こえていたようだ。
「脅かしやがって…」
急に光の玉が喋りだした。
「・・・・力・・・地・・力を覚醒・・・てやる・・・くれ・・」
声が途切れ途切れでしか聞こえてこなかった。
「てか、なに急に声が途切れ途切れになってんだよ!」
笑い声はスムーズだったに!
俺の言葉は無視して喋り続けている。
「・・選・・者・・・・・気・・・・・・」
「あぁ!もぉ知るか!!」
喋り終わると光の玉が、大きく光りだした。
一瞬の大きな光だった。
その直後、俺は頭が痛み出し、体が熱くなった。
俺はこの時、世界は終わったと思った。
「・・・・ヒョッ!ヒョッ!ヒョッ!ヒョッ!・・・・」
また光の玉が、笑い声を発していた。
不気味なほどにその笑い声は闇の中で響いていた。




