019:東京上空バイクレース-Tokyo sky motorcycle race-
前回までの神話…
世界のことを腐りきった世界だと思う高校生。
通称シン。
彼は突如超能力のような力、神力に目覚めた。
そしてゼウス主催のゲームに無理矢理参加させられることになった。
他のプレーヤーが続々と前に進む中、シン達はこのゲームをクリアすることが出来るのか?
目が覚めると、もうすぐ朝になろうとしているところだった。
いつも以上に朝日がまぶしい気がする…
そして俺は気づいてしまった。
ここは…東京上空だと。
俺の下にあるのは黒い布だけ。
「シン、いつまで寝てるのよ。」
萩野が俺に声をかけてきた。
萩野はなんかかっこいいバイクに乗っていた。
隣にいたミクルちゃんはなぜか宙に浮いていた。
後で聞くと見えないバイクに乗ってるらしい。
辺りを見回すとみんないろんなバイクに乗っている。
タイヤが火だったり氷だったり、バイク自体が生きていたりと種類はさまざまだった。
「俺のバイク布かよ!この先不安じゃん!風が吹いたりして乗り心地悪いし…」
ちょっと吐きそうになった。
何で俺は黒い布なんだよ!
しかもテルテル坊主のひもなし版というような形でなんか切ない…
ゼウスの声が聞こえてきた。
「皆、自分が乗ってるバイクは気に入ってくれたかな?
それじゃ今から東京上空でレースを行ってもらう。
ルールは簡単だ。
東京タワーに先に着いた奴が勝ち!
別にこれは人数制限はないが、邪魔はありだ!
今のうちにウザイ奴はやっておけよ!
それじゃあ、お前らに渡したポータブルTVが振動したときがスタートだ。
振動する前に動いた奴は即、死を意味するから。
それじゃあ第5ステージ…楽しんでくれよ。」
これは簡単だな。
萩野の力を使って一気にクリアすれば言いわけだし。
楽勝、楽勝!
俺はポータブルTVが振動するのを待った。
待ってる間に続々とスタートしたバカがいたが、バイクが爆発し転落していった。
バカな奴らだ、ポータブルTVを捨てたか売ったか知らないけど、ゼウスの言葉を信じなかったんだろう。
俺はただ、持ってること忘れてただけなんだけどね…
その時ポータブルTVが振動した。
スタートの合図だ。
だがそのと同時に、強風が吹いてきた。
「おいおい!マジかよ!!」
俺は一気に前進した。
萩野たちがもう見えない。
しかもバイクが自動運転で、敵を邪魔するようなら後ろに下がれたりもするんだけど、
それ以外のために後ろに下がろうとしても下がれない。
そしてバイクを止める方法もない。
萩野の力を使うにも、萩野に俺が見えてなきゃ意味がない。
と言うことは、どうやら自分の力で進むしかないようだ。
東京タワーまで…
俺のバイク、っと言うより黒い布は、風にあおられバタバタとうるさい音がする。
寝起きなのだから、さらにこの音がつらい。
後ろのほうのバイクが爆発し始めた。
どうやら誰かが邪魔しているようだ。
上を向くと天候が悪くなってきた。
後ろのほうでは雷が鳴りまくっている。
あたったら死ぬだろうな…
とうとう雨が降ってきた。
視界が悪く、自動運転で助かったが、そうじゃなければ俺は絶対道を迷っている。
道と言っても空なんだけどな。
後ろからすごいスピードで誰かが来た。
あの時の白いコートを来た奴らだった。
しかも6人もいる。
こいつらもコートについているフードを使って顔を隠している。
「お前か…モントゥとやりあって生きていられた奴は。」
「こんな奴がねぇー、この地球に俺達とやりあえる奴がいるとは、しかも本当にあいつの気と似ている…」
白いコートを着た奴らは次々に喋っていた。
どうやらあの時のモントゥもいる。
顔がわからないからどいつがどいつかわかんないんだけどな。
服の模様が独特的だから、なんとなくわかった。
「お前ら何なんだよ!」
試しに聞いてみた。
だがすんなり無視された。
「こいつ殺しといたほうがよくない?もしもあいつのあれだったら。」
「その可能性は高いな…だが殺すのはどうかと…」
白いコートを着たやつらは、話し終えると、手に不思議な剣を出し、向かってきた。
俺はとっさに火の神力を上に向けて放射し、自分の位置をずらし、攻撃をかわすことに成功した。
「俺達の攻撃を避けるなんて結構やるじゃん!でも次はそうは行かないんだけどね!」
6人全員がいっせいに喋った。
「鎖・六重剣!」
6人全員が天の黒雲の中に剣を投げた。
すると、俺の頭上の半径20mぐらいの雲が晴れ渡った。
そこから東京タワーよりも、大きそうな鎖に巻かれた大剣が出てきた。
その鎖が剣からはずれたと思うと、見る見る落ちてくるスピードを上げ、俺の体に鎖が巻きつき始める。
そしてその端を白きコートの奴らが、しっかりと手に握っていた。
東京タワーよりも大きそうな剣は、ゆっくりと俺の頭上めがけ落ちてきていた。




