011:発見-Discovery-
前回までの神話…
世界のことを腐りきった世界だと思う高校生。
通称シン。
彼は突如超能力のような力、神力に目覚めた。
その力を手に入れたせいか、数々の出来事に巻き込まれ、最終的にゼウス主催のゲームに参加させられることに。
目が覚めると朝だった。
朝日がとてもまぶしく、このゲームに参加していることを忘れそうになるほどだった…
だが、そんな気持ちでいると負ける…
…違う、この戦いでは気彌みたいな奴もいる…そうなれば死ぬことだって…
萩野とミクルちゃんを起こすと、まずは朝食になりそうな物を探すことにした。
かなり腹が減っていて、死にそうな時に、りんごの木を見つけた。
赤々としたりんごはまるで、誰かに手入れされているかのようだった。
俺達はそれを朝食にすることにした。
そのりんごの見た目は最高の色つや、形で、かじってみるとみずみずしく、甘さ加減も抜群だった。
食い終わると、またりんごの木からリンゴを何個か採った。
これからのこともあるし、用心に越したことはない。
またそれから歩き続けた。
ドアを探すがなかなか見つからず、敵にも会わず、今日一日を過ごした。
こんなことでいいのか、本当にドアなんてあるのか…
そもそもゲームはすでに終わったんじゃないかといやな事ばかりが脳裏をよぎった…
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その翌日、朝が来て目が覚めると、目の前にかわいらしい生き物がいた。
外見はハムスターのようで、でも体は通常のハムスターよりも少し大きく、体毛が青色だった。
大きさを具体的にいうと、高さ的に、紙で例えるとA4ぐらいで、横は少し手で掴んで完璧には握れないほど…
って言われてもわかんないよな…
俺には相手に伝える力がないことぐらいはわかってるんだよ〜〜!
その生き物は、俺の服を引っ張っていた。
必死に引っ張っていて、【チューチュー!】と言っていて、とてもかわいい。
どうやらついて来いと言っているようだった。
俺は2人を起こすと、その生き物の後を追った。
萩野は後ろでぶつぶつなんか言っていたような気がする。
まっ、気のせいだと思うけど。
気のせいじゃなくても無視無視。
そのままついていくと、その生き物の行く先にはドアがあった。
俺達が探しているドアだった。
萩野はさっきとうって変わって、喜んでいる。
でも、今まで探しても見つからなかったドアがこんなに簡単に見つかるものなのか?
そんなはずはない…もしかして罠か?
そんなことを考えている最中に萩野が一番にドアの鍵穴に鍵を入れた。
考え無しに動くとは、おろかだと思うよ萩野…
すると自動的にドアが開いた。
「罠かもしれないから用心しろよ!」
「わかってるわよ!」
萩野は用心深く入るから大丈夫と言っていたが、俺には楽しんでいるようにしか見えない。
萩野が入っていくと、ドアは大きな音をたてて閉まった。
次はミクルちゃんの番だ。
ミクルちゃんはいたって普通に入っていった。
次は俺の番と思った瞬間、目の前のドアが消えた。
あと数秒あれば、ドアの向こうにいくことができたのに、それなのにドアは消えた…
ヤッパリ罠だったのか!?
ゼウスの声が聞こえてきた。
「皆、楽しんでるか?俺は楽しませてもらってるぜ。
そろそろ第1ステージを終わらしたいんだが、そのためにもほとんどのドアは消させてもらった。
残りのドアは一つ!そして残りの定員は一人!
第1ステージを最後まで、楽しんでくれよ…」
かなりのありがた迷惑だ。
ここまで案内してくれた生き物が、また服を引っ張っている。
またついて来いとのことだ。
俺は走った、こいつにかけるしかない…
走って走りまくると、ドアが見えた。
だが、ドアの鍵穴に鍵をさそうとしている人物がいる。
それを阻止するべく、そいつの手に向かって火の神力で攻撃をした。
遠かったけど、何とか手に命中した。
「…なんやぁ?ワイの邪魔をする奴は!!」
そいつは、手に光を集めたかと思うと、その光が大剣へと変わった。
奴はそれを大きく振り回した。
すると周りの木々がきれいに斬られていく。
俺は間一髪のところでしゃがんでかわした。
「そこか〜、アンさんはどうやら死にたいようやなぁ〜!っと言っても、もう遅いけどなぁ!」
奴は俺にさっきの技で、攻撃の方に目を向けさせ、自分のほうは鍵穴に鍵をいれていた。
「覚えときぃ!ワイの名は白牙や!そう言っても、アンさん終わりやけどなぁ!」
ドアは終わりを告げるように音を立てて消えた。
第二ステージに進む道は途絶えた…
「まさに今、最後の1名がドアを通過した!残りのクリアできなかった奴らは…
この森に住む生物達の餌になってもらう!それじゃ、残り少ない命を大切にしろよ!」
ゼウスの声が聞こえなくなった。
もぉ、この声を聞くこともない…
あいつらと会うこともない…
家族にも、地球に帰ることすらできなくなった…
あっちこっちで何かが動く音が聞こえる…
きっとさっきゼウスが言っていた、この森に住む生物たちの動く音だろう。
近くにあのハムスターのような生き物の姿はなかった。
その時、背後から巨大なワームが口を大きく開き、俺を食べようと飛びかかって来た。
俺は火の神力でワームに攻撃すると、その場から逃げた。
小さな希望を持って。
途中何回も転んだ、途中いろんな生物にあった…
でも、くじけず、がむしゃらに走った。
そんな時、走っていると木に寄りかかって座り込んでいる奴がいた。
肩に大きな怪我を負っている。
ただなんとなく、そいつに近づいた。
髪が白髪でマントらしきものを羽織っており、ゲームに出てきそうな服を着ていて、なんかかっこよかった。
勘違いするなよ、かっこいいってのは服のほうじゃないから。
「大丈夫か?」
「…あぁ…」
俺の顔を見ると、少し驚いたような顔をした。
いや、俺が近づいたことに驚いたのかもしれない…
「…なぜ俺に声をかける?」
なんかムカツク。
「悪い奴には見えなかったから。それになんか俺とお前、似てるような気がするし。」
奴は黙った。
「そういえば名前は?俺は漸芽 信。お前は?」
少し奴は考えたような顔をすると、俺の質問に答えた。
「…俺の名は…クローウ…」
なんか変な名前。
そのあと少しの間沈黙が続いた。
気まずいのは苦手なんだよな、俺。




