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010:守るもの・守られるもの-A thing / the thing which is protected to protect-

前回までの神話…


とうとう二つ目の力を手に入れたシン。

しかしそんなこともつかの間、新たな敵が目の前に立ちはだかった。

彼の名は風壬。

どんな手でも使い、シンたちを倒そうと襲い掛かった来る!

デモックスのパンチがクリティカルヒットした。

俺はそのまま吹き飛ばされ、背中から木にぶつかった。

木はその衝撃に耐えきれず、ミシミシと音を立てて倒れていった。

すごい勢いのパンチ。

デモックスのパンチが俺の頭に当たっていたら、まず死ぬ。

それは確実。


デモックスはまた強烈なパンチを俺に食らわせようと腕を高く振りかぶっていた。

だが俺はデモックスのパンチを、火刀で斬った。

所詮は木、俺の火刀とは相性が悪い。

これなら簡単に勝てる。


「それで勝ったと思うなよ!この神力で死にな!」

デモックスの周りの土が浮上し始めた。

そのままデモックスにまとわりつくと、土はデモックスの鎧となった。

それに土で大鎌を作り、デモックスはそれを振り回していた。

大鎌は周りの木に当たってもいないのに、スパッ、スパッ、と切れている。


その時、背後から木の枝が伸びてきて、俺を締め付け始めた。

「油断大敵!これでお前も終わりだ!」

デモックスは大鎌を振り回し俺のほうに向かってきた。

「まだ終わらねぇーよっ!」

俺は火刀の火力を最大に上げた。

すると、木の枝に火が移り、俺を縛るものはなくなっていた。

「それが解けたところでどうなる!? お前はデモックスにやられるんだよ!!」

既にデモックスの大鎌はおれの目の前の数センチ先だった。

「所詮は木と土だろうが!!!」

俺は大鎌を一瞬にして斬った。


そしてそのまま、デモックスも滅多切りにしてやった。

デモックスは滅多切りにされると、体が細かくなり、大きな音を立てて崩れていった。

だがそんな時、風壬は卑怯なことにも人質を使ってきた。

「あの2人の女がどうなってもいいのか?あぁ?この俺様特製で作られた土木針(ドゲバリ)を、あいつらに飛ばして、

蜂の巣になるようにしたっていいんだぜ?」

風壬の周りに、先のとがった木と、それに土の塊が付いている棒が、浮遊していた。

風壬は強がっているようだが、きっと、デモックスが倒された今、内心はビクついているはず。

やるなら今しかない。


だが、俺が風壬に攻撃する前に、風壬は萩野たちの体にまとわりついている枝をきつく閉め、土木針を…

何百の数の土木針を、萩野たちに向かって飛ばした。

俺は急いで萩野たちのほうに向かった。

まるで神速のような速さで。

俺はひとつ残らず土木針を落とした。

一本だけ足に刺さったけどな。

そのまま俺は萩野たちの周りの木を一掃した。

これで近くに木がなくなった。

残りは風壬、ただ一人だけ。

「ゆっ、許してくれよ!俺だって負けたくなかったんだ!っな!だから許してくれよ!」

風壬は命ごいをしてきた、土下座をして両手を突いて許しを得ようとしていた。


その時、風壬は俺に向かって土木針を、俺の背後から飛ばしてきた。

だが俺はそうなることを予想していたため、未然に防ぐことができた。

しかしその裏をかかれた。

足元から木の根っこが現れたかと思うと、俺の体を縛り始めた。

俺はまた火刀でそれを、燃やし尽くそうとした。

だが無駄だった。

その根っこがメタル化し始めたのだ。

「お前って馬鹿か?俺に時間を与えたのが原因だよな!

これで何もできないだろう?このメタル化の神力を手に入れておいてよかったぜ!

…それじゃあ次は…デモックスのメタル版でいたぶってやるか。また倒してみろよ。」

デモックスのメタル版が現れてきた。

俺は身動きできず、強力な攻撃を何発もうけている。

意識がきえかけそうだった…

その時、萩野が最後の力を振り絞り、俺の足を掴むと、デモックスの後ろに移動させてくれた。

風壬は、萩野のことは既に見えてなかったらしい。

そして、デモックスは俺がいなくなったことに気づき、辺りを見回している。

「は…やく……あい…つ…を……」

萩野が作ってくれたチャンスを…最後の力を使い、火刀を一振りした。

火刀からかまいたちが放たれ、かまいたちに火が加わった。

そしてそのかまいたちが風壬を襲った。

風壬はかまいたちを受けると、そのまま吹き飛ばされ、木にぶつかり気絶した。

木と一緒に仲良く燃えている。


最後に、風壬から奪った木を操る神力で燃えている木の火を消し、風壬を安全な場所に移してやった。

よろよろになりながらも。

やっと、終わった…

そう思いかけた瞬間、俺は倒れた…


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


目が覚めると夜だった…

すぐ側では、萩野が火をおこし、ミクルちゃんが俺の看病をしていた。

既に痛みも、足の怪我も痛まない。

きっとミクルちゃんが俺を…神力でケアしたのだろう。

「…大丈夫ですか?」

ミクルちゃんの声が妙に暖かい感じがする。

だがそこに萩野が割り込んできた。

「やっと目が覚めたの!?っで、あいつの、あの巨大な奴は何だったの!?

あれ以外にどんな神力使ってきたの?ねぇねぇ、教えてよ!」

そんな質問が30分は続いた。

どうでもいいようなことまで聞いてきた。

ミクルちゃんは別に興味もないらしく、既に深い眠りに入っていた。


急に萩野の表情が変わった。

「…あのさ…さっきはミクルがいて、言いにくかったんだけど…助けてくれて…ありがとね…」

俺にはとても聞こえにくかった。

小声で言うし、火の音が邪魔をした。

それに、ボーっとしてたし…

「今聞こえなかったんだけど、もう一回言ってくれない?」

「早く寝ろって言ってんのよ!バカ!!」

何だよ急に……バカって…。

気のせいかもしれないけど、萩野の顔が赤くなってるように見えた…

ただ、火にあたって赤く見えてるだけかもしれないけど…

今日は何も食べるものがない…

俺は少しでも腹の空腹を抑えるために、早く寝ることにした。

その日の夜の空は、満天の星が光り輝いていた。

地球じゃ見れないような、満天の星空が…

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