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番外1514 専用装備完成に向けて

 さてさて。最後の解呪儀式という事で沢山の人が集まったという事もあり、そのまま街の巡回や宴会に入ってしまったが……その中でテスディロス自身の魔力の調子等を確認する、というのも予定に入っている。


 集まった人達にテスディロスの調子を見てもらう、というのもあるな。「余興も兼ねていて良いのではないだろうか」というのがテスディロスの意見だ。

 解呪によって魔力を操る部分を見てもらう、と。まあ、そんなところだ。

 食事をとってから演奏の頃合いも見て、テスディロスと循環錬気を行っていく。


「良いね。最後の解呪の影響で少し割増な気もするけど……これは他の解呪でもあった一時的なもので、魔力の調子も事前に予測していた範囲に収まる、と思う」


 テスディロスの調子を循環錬気で調べてからそう伝える。

 仮にこの増強が加護のような形で永続するとしても、それはそれで問題ないというか。

 装備品の補正は他の面々と同じ水準になるように調整しているが、そこに強化の加護が加わるようなものだし、結局瘴気が闘気や魔力に変化する事を考えると、装備品で補っても元と全く同じとはならないからな。永続的な加護があるならそれも含めての感覚に慣れる必要があるというのは同じだから。


「調子が良いというのは自覚があるな。気分も悪くない」

「正確なところを知るなら、少し時間を置いて落ち着いたらもう一度計測してみるというのが良さそうだね。装備品を含めてなら、どっちにしても慣れる必要があるから問題はないとは思うけれど」


 俺の言葉に落ち着いた様子で頷くテスディロスである。

 掌の上に魔力を集中させたり、覚醒能力を使って雷を纏ったり……その辺も健在である事を見せてくれて、広間でそれを見ている面々も笑顔を見せたりしていた。


「魔力の質も良いわね」

「うむ。良いようだな」


 そんなテスディロスの様子を見て、笑顔で頷くオーレリア女王とイグナード王である。


 魔力の質に関してはそうだな。清浄というか、テスディロス自身が魔人達の事を大事に思って元々研鑽を積んでいるから、解呪されてもその辺は反映されている。


 イグナード王は研鑽を積み重ねていくところを見るのも楽しみという性格だからか、解呪によってパワーダウンが起きるのは大変だと、心配してくれていたりするから、その辺が気になっていたようだ。

 まあ、装備品も含めてそこまで大きなパワーダウンにはならないし、魔力と闘気への変化で強さの質、形が変化するぐらいに収まると聞いて、イグナード王は「それは良かった」と喜んでくれていたが。


 調子を見るついでに装備品にも実際に着替えてみる。魔石が組みこまれていないので完成品ではないが見た目的にはこうなる、と言うのは見られるな。それに合わせてオルディアやオズグリーヴといった面々も揃って専用装備を装着した姿を見せてくれた。


「テスディロス殿達が装備品を身に着けると、映えるな」


 と、そう言って顎に手をやって頷き合う氏族長達である。全員が専用装備品を身に着けた姿は、かなり壮観というか。それで氏族達に限らず、会場もかなり盛り上がりを見せていた。


 ともあれ、テスディロスの体調や魔力に関しては問題無さそうというのも確認できた。装備品自体は殆ど出来上がっているので、明日、明後日あたりにアルバートと共に調整をしてやればテスディロス自身については一段落といったところだろうか。


 テスディロスの解呪後の魔力お披露目が終わったのを見計らってリン王女やユラ、ユイにリヴェイラといった面々が東国の楽器を使って一緒に演奏をして、列席しているみんなが異国情緒に浸っている様子が見受けられた。氏族の面々はリン王女の二胡であるとか、ハーピー達、セイレーン達の演奏は初めてという面々も多く、聞き惚れているという印象だ。感動した面持ちの者も多くて、楽しんでくれているようで何よりだな。


 楽師役を買って出てくれたみんなの演奏を聞いたり、果実ゼリーやプリンといったデザートをのんびり楽しんだりしつつも、やはり集まった面々が国王や大貴族といった顔触れなので王侯貴族の会合らしい挨拶回り等も行われていた。


 その中でも話題になるのは……やはりメルヴィン王の新居に関する事だろうか。


「……というわけで今現在、資材の準備が進められておってな」

「落成が楽しみだな。実際に越したら遊びにいきたい」

「うむ。歓迎するぞ」


 メルヴィン王とエベルバート王がそんなやり取りを交わす。二人は古くからの友人でもあるからな。一国の王が訪問してくる家というと、冷静になると結構すごい事ではあるが……。その際は俺の負担にはならないようにしたいと、そんな風に言って頷き合っているメルヴィン王とエベルバート王である。歓待などで気を遣わない方が気軽に遊びに来られるから、という事であるが。


「フォレスタニアに別荘というのは良い話ですね。お城の迎賓館も良いところですが」

「そうさな。公館や別荘に関して言うなら問題はないとは思う」

「陸上でも湖底でも用地の確保は問題ありませんから、お話を頂ければ対応はできますよ」


 メルヴィン王と共にそう答えると集まっている面々は割と真剣な表情で検討している様子であった。


 とは言え今はまだエリオットやアルバートの事もあるし子供達の事もあるからな。話を進めるにしても迎賓館もあるし、もう少し状況が落ち着いたら、という事になっていた。


 フォレスタニアの住民、居住区域に関する話題にもなったが、その辺は集合住宅と言う形式も考えている、という話をする。

 アパートやマンションといった形の住宅を作る事で、土地を有効利用する、というわけだ。構造についても幻影を交えて説明する。


「こういった形式の家々を同じ建物内に重ねて収める事で、沢山の家族が暮らせる、というわけですね」


 食堂、風呂、トイレ等もそれぞれの家々で個別に用意されるので、独立した生活空間を確保できる。一階部分にはエントランスと住民達同士で共有できるスペースを用意、といった具合だ。


 建物の強度等が重要になってくるので建築を職人に任せるにしても協力はする必要は出てくるだろうな。街中のどこに配置すれば景観が良くなるとか、そんな都市計画にも関わる話も交えつつ幻影を構築して話をすると、物珍しさもあってみんな話に耳を傾けている様子であった。


「シルヴァトリアの学連の塔に近いものがあるな」

「確かにそうですね」


 七家の住んでいる学連の塔も形式としては同じだな。お祖父さんの言葉に頷くと、母さんやヴァレンティナも笑顔で頷く。


 そうして宴席に顔を見せた面々での交流をしたり、お祝いで盛り上がっている街中の様子を見せてもらったりして、解呪のお祝いは賑やかに過ぎていくのであった。




 明くる日。各国の面々もフォレスタニアに滞在していたが、テスディロスのお祝いだからという事もあって、装備品の調整風景を見たいという話が出た。

 テスディロスやアルバートも乗り気で、そのままフォレスタニア城の設備を使って魔石に術式を刻んで装備品に組みこむ、といった作業が行われる。


 テスディロス解呪後のデータは昨日の時点である程度取っているし、装備品の調整に関してもオルディア達のデータが既に蓄積されているので大きな問題はない。

 一夜明けてのテスディロスの調子を見て、今までと同様の方法で装備品の調整が進められる事を確認。そのまま作業に移っていく。解呪儀式の影響も抜けて大体計算通りといったところだ。いよいよ全員の専用装備品も完成し、訓練も心置きなく進められるようになるな。

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― 新着の感想 ―
[一言] 取りは特別ということですね。
[良い点] 獣もステルス戦闘機に新幹線と重機、そして獣の着ぐるみイン妖精の最終融合果たす破壊の使者になろうとしていた
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