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番外1511 慰霊の神殿への道行き

 子供達を抱いたり髪や頬を撫でたりしながら循環錬気をして、と俺も子供達と穏やかで楽しい時間を過ごさせてもらった。ふんわりとした髪や頬の柔らかさや小さな手、軽く小さな身体と……こうして触れ合っているだけでも微笑ましくなってくるというか。


 オリヴィアは……そうだな。生命力や魔力は前より更に増しているが、まだそこまで腕力等は強くなっていないようだ。

 循環錬気で身体能力も把握している。生まれた時点での筋力は人より強いのは確かだが、そこまで大きくは変わらず。身体能力が発達するのも早い、という印象だ。


 この辺は種族特性的な部分か。封印の呪具に関してはもう少ししたら必要になってくるかなとは思う。迷宮核でのシミュレーションでも問題は出ないし、実際幼い頃から封印の呪具を付けて過ごしたグレイスも、解除前後で何ら支障がなかったし、迷宮核の検証でもグレイスやオリヴィア当人のデータがあるので正確な分析がしやすい。

 吸血の衝動が高まった後に封印した際の、その衝動が人としての物に変化する、ぐらいだろうか。


 呪具の作製については母さんの技術だし、それを引き継いだ部分もあるのでオリヴィアに使ってもらう準備はできている。


 ルフィナとアイオルトも順調に成長しているな。オリヴィアもエーデルワイスもそうだが、外出許可と共に母子共に沐浴しても問題ない頃合いとロゼッタやルシールからのお墨付きをもらっているので、最近は生活の中での子供達との触れ合いの場面がみんな更に増えている、という印象だ。


 外部刺激による笑顔も増えて、日々成長を実感できるし体調も安定してきて、触れ合える場面が増えていくというのが実感できるのは実に良いものだ。

 ルフィナとアイオルトは双子だからか、どちらかが笑うと一緒につられて笑ったりもするのが愛らしいというか。


 エーデルワイスはオリヴィアやルフィナ、アイオルトよりも少し大人しめ、という印象があるな。じっとこちらの顔を見詰めて不思議そうな表情をしていたり、物静かや大人しいというより思慮深い、なのかも知れない。

 今の段階で性格だとか将来像を予想しても意味がないとは思うが、こちらとしても色々想像してしまうのは致し方あるまい。うむ。

 ともあれ、成長に伴って笑顔を見せてくれる事も増えていて、喜ばしい事である。


 ロメリアは成長がやや早めで、身長と体重の伸びが良いが、そこは蛇の半身部分の成長が早いから、というのがあるようだ。人の上半身部分に限れば、成長速度はそう変わらないというのも記録から分かってきたので、ラミアに関しても理解度が深まりそうな気がしている。


 蛇部分の半身は滑らかな手触りなのだが……その辺が少し変わってくると脱皮の兆候だ。蛇の半身部分のみ脱皮する。野生では脱皮は無防備になるのでとかく大変というイメージがあるが、イルムヒルトやその両親のデルフィロとフラージアに言わせると「ラミアやナーガにとっては苦ではない」との事である。


 手が使えるというのはそれだけで脱皮も楽というわけだ。人の半身には脱皮が起こらないしな。まあ、脱皮に負担や苦痛がないのなら俺としても安心である。


 ヴィオレーネは……ロメリア共々まだ外出に気を遣う時期ではあるのだが、健康そのもので生命反応の力強さや成長速度等、安心できる部分が多い。獣人度の高い手足の柔らかな毛並みの感触であるとか、耳と尻尾の反応で快不快が分かりやすく見る事が出来て、接していて楽しいし、可愛らしいものだ。


 そうやって一人一人体調確認しながら循環錬気をしていると、みんなもそんな俺の様子に微笑んで。


「ふふ。こういう場面を見ると和みますね」

「本当、良いお父さんだわ」


 グレイスの言葉にイルムヒルトがくすくすと肩を震わせ、みんなも頷く。子供達との循環錬気も一段落していたので「ん」と小さく頷いたシーラに抱き寄せられ、そのまま頭を撫でられたりして。それを見たみんなも微笑んで、そのままみんなに抱きしめられたり髪や頬を撫でられたりしてしまった。

 子供達との時間もみんなとの時間も、たっぷりと過ごさせてもらって満足度が高いな。精神状態は結構魔力の調子に影響するので、明日の儀式も万全の状態で臨めそうである。




 そうして一夜が明けて――いよいよ最後の解呪儀式当日となる。各国からの面々は直接慰霊の神殿に向かうという事で、俺達も朝食をとったら動いていく事となる。

 儀式の後にも祝いを行うので、そこでもやる事はあるが……そちらはジョサイア王子がサポートしてくれているからな。まずは儀式をきっちりこなさなければなるまい。


 朝食の後に水を浴びて身体を清め、衣服を儀式用のものにする。と言ってもキマイラコートやウィズを変形させた祭司役仕様であるが浄化魔法も併用したり精霊達の加護も受けているので、清浄で霊験あらたかな衣服というのは間違いない。


 冥府にもこれから慰霊の神殿へと向かうと連絡を入れる。各所とも連絡を取り合い、各々状況を把握。通信室から出てから城の入口にあるホールに向かうとテスディロスや氏族の面々もやって来ていて。礼服に着替えて儀式の準備はできているといった様子だ。


「今日は――よろしく頼む」

「ああ。それじゃあヴァルロスやベリスティオとの約束を守りに行こう」


 あの約束はずっと続くものだからこそ、継続して守っていると言えるように。約束とは言っているが、今の方向でのその履行は、俺自身も望んでいる事だから。


 俺の言葉にテスディロスやウィンベルグ達……氏族の面々がこちらを真っ直ぐ見て頷く。


「シャルロッテとフォルセトさんも今日はよろしくお願いします」

「はい。テオドール様」

「こちらこそよろしくお願いします。どうかお力をお貸しください」


 巫女の衣服に身を包んだシャルロッテとフォルセトも真剣な表情で頷く。


 そうして、みんなで慰霊の神殿へと移動していく。俺を先頭に、シャルロッテとフォルセトが続き、その後を礼服に身を包んだ氏族の面々が列を組んで進んでいく。列の脇や殿を顕現した四大精霊王達や高位精霊の面々が務めてくれて……周囲の環境魔力も清浄なものになっている。


 フォレスタニアの街中でも最後の解呪儀式の事は告知されているので、沿道に人が集まって、俺達の姿を認めると敬礼や一礼で出迎えたりしてくれた。


 まだお祝いするタイミングではないからな。こちらも粛々と進んでいるし、雰囲気が雰囲気なのでそれに当てられて厳粛な空気になっているところはあるが……それでも集まってくれている人達は解呪を喜び、祝福をしてくれている人達だ。テスディロス達も目を閉じたり感じ入ったりしている様子であった。


 そうして俺達は慰霊の神殿へと到着する。参列者は既に神殿に到着していて、やはり俺達を儀礼作法に則った厳粛な空気で迎えてくれた。今日ここに来ていない面々も水晶板で中継映像を真剣な表情で見ていたりするな。

 一礼すると同行している皆もそれに倣う。


 祭壇の準備は既にできている。ヴァルロスとベリスティオの祭具については普段はフォレスタニアで保管しているので、俺が持ってきた形ではあるが。

 布の包から儀式用の祭具を取り出して身に付ける。それからテスディロスと共に祭壇の前までいって、同行してきた面々、先に神殿で待っていた面々を前に一礼し、挨拶をする。


「この度は――こうして解呪の儀式に合わせてお集まりいただき、感謝しております。和解と共存の道への賛同とご理解、ご協力を賜り、結集の呼び掛けと共に解呪の儀式を進めて参りましたが……こうして最後の1人の解呪儀式に至る事ができて、嬉しく思っております。一つの節目であり、今後も不断の努力をしていく必要のある事ではありますが……僕自身もこれまで以上に力を尽くしていく所存ですので、温かく見守って頂けたら望外に存じます」

「これほどまでに沢山の人達が解呪と平和を望んでくれている事に、感謝する」


 そう伝えると、神殿に居並ぶ面々から大きな拍手が起こる。温かな魔力が広がり、改めてテスディロスと共に一礼して暫く待っていると、やがてそれも収まってくる。頃合いだな。

 では――最後の解呪儀式を進めていくとしよう。顔を上げてテスディロスを見やり首肯すると、テスディロスもまた真剣な表情でこちらを見て頷き返すのであった。

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― 新着の感想 ―
[一言] ○「うらやましい、早く混ざりたい。よし今夜仕込もう」●を引きずって寝室に直撃 ●「え! あ、ちょっと! 私も!?」
[良い点] 獣もファンとの握手会で魔力を頂戴しながらその時を待ちわびている
[一言] 乳児たちは今日も元気なようですw 朗らか班と寡黙班に分かれそうな様子を見せてくれていますがw
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