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番外1484 狼達の新居

 アルファとラヴィーネの新居というか巣というか。それらは中庭の近くにある城の一角を利用して作らせてもらうことにした。


 温度管理や空気の浄化等は迷宮の領分だからな。アルファとラヴィーネの子供がどういう特性であれ対応できるようにするという事で。

 新居の空調を万全にするならば、この部分も迷宮核で管理しておいた方が良い。効率やメンテナンス等の面から見てもだ。


 というわけで早速迷宮核に向かい、一先ず準備する部分を構築していく。

 城の一角。目的の部屋を少し特別なエリアと位置付けて、フォレスタニアとは少し独立した温度、気温、湿度に変化させる。スノーウルフに適した温度から、フォレスタニアと同じ環境との間で任意に設定できるようにしておく、というわけだ。

 空気の浄化もな。小さな区画をエアロック式にして空調の効率を上げているから、予備のシステムや個別の魔道具も組みこんでおけば安心だ。片方が不調でも対応できるし。


 アルファとラヴィーネ。それに子供が生まれても一家で問題なく過ごせる程度の大きさだ。子供達が大きくなって来れば部屋の外にも出られるようになるだろうし、将来的にはフォレスタニア城に出入りする、という形になるのだろうが。


 こうして環境整備をしているが、四大精霊王の加護というのはアルファとラヴィーネの子にも及ぶだろうからな。その辺は安心できる部分もあるが、加護というのは常時頼みにするというものではない。

 こちらとしては……あくまで加護があるからもしもの事があっても凌げる、というような形にしておきたい。


 内装も少し手を加えよう。アルファは迷宮そのものが故郷のようなものだし、環境は気にならない。ラヴィーネにとってはできるだけ落ち着ける環境が良いという事なので、スノーウルフの元々の生息域に近い見た目、風景を内壁に投影するという事で話が纏まっている。


 こじんまりとして落ち着ける空間をという事で、遠景の見た目は針葉樹の森だ。室内という空間と整合性を取るために、入口以外の三方を囲まれた窪地といった風景を選ぶ。まあ、この辺の景色の投影は後で自由に変更もできるしな。空調と連動しているので、室温を寒くすれば針葉樹の風景も凍り付いたものになる、という仕様だ。


 満月の迷宮風の意匠を施した台座やシリウス号をモチーフにしたミニチュア像も構築し、それを環境調整させられる現場用の端末としておく。この意匠はアルファのテリトリーとしてのモチーフも組みこんでおく、という意味合いがあるな。


『出来上がりが楽しみですね』


 進捗を伝えると、アシュレイが笑みを見せ、アルファ、ラヴィーネとベリウスが揃って尻尾を振りつつ頷いていた。うむ。中々和む光景である。


『というわけで下準備はできたから、現場付近に立ち入らないように退避と監視をよろしく頼むね』

『承知しました。区画改造の通達は既に城内関係者には完了しています。今は――テスディロスさん達が現場の監視をしてくれていますね』


 俺の連絡にカドケウスの視界越しにセシリアが応じる。


『ありがとう。現場の様子もバロールの視界で見えてる』

『ああ。こっちでも室内や室外、廊下や周辺から人が退避している事は確認した』


 こちらのやり取りを受け、テスディロスがバロールと水晶板を運んでいるティアーズを見て応じる。

 よし。では、構築した設定を反映させる前に、魔法建築の予告として該当部分に光のフレームを展開しておこう。


 部屋の入口も少し拡張されるな。入口のエアロックは円筒型なので、室内外を跨いで廊下にも半円部分が迫り出すような形になる。柱等を立てて迫り出した部分の体裁を整え、柱の一部に月と狼の意匠を施したりしていく。アルファは迷宮の守護者だし、ラヴィーネも月女神の召喚儀式で俺達のところにやってきたからな。

 だからこの意匠はアルファとラヴィーネの双方に意味合いをかけた物であったりする。


『それじゃあ――人の退避も通達も済んだからね。このまま構築作業を進めていくよ』


 そう言うと五感リンクの視界や水晶板の向こうでみんなが頷く。では、始めよう。迷宮核で構築した部分を反映させるために実行に移すと、すぐに変化が生じた。フレーム内部が光で満ちて……輝くその中で設定した通りに構築が進んでいく。


 仮想訓練設備の更なる強化であるとか、幻影劇の素材作りとであるとか他にも色々と迷宮核で進めるべき仕事はあるのだが、今日のところはここまでにしておく。

 構築処理が終わったら数値や処理が正常かどうかを確認し、現地の状況も実際に見ておくというのが良いだろう。




「ただいま」

「お帰りなさい、テオ」

「ん。おかえり」


 迷宮核で仕事を終えて、護衛をしてくれていたヴィンクル、ユイと共にフォレスタニア城の中庭に戻ってくると、みんなも笑顔で迎えてくれた。フロートポッドに乗って、子供達も中庭でのんびりしているな。

 というわけで通達をしてくれたセシリアに礼を伝える。


「ん。セシリアもありがとう」


 そう言うと、セシリアは穏やかに笑って頷いていた。


 さてさて。当事者であるアルファとラヴィーネ、それにアルファ達を応援しているベリウスも、揃って尻尾を大きく振りつつ迎えてくれる。お座りして待機している様子は出来上がりを楽しみにしていたというのが目に見えるようで、中々に微笑ましい光景である。


「よし。それじゃあかなり期待してくれてるみたいだし、見に行こうか」


 そんな様子に少し笑いつつ言うと、アルファ達はこくんと頷いていた。

 監視していたテスディロスと顔を合わせると「中には入っていないが見ている限りでは処理も終わったようだ」と教えてくれた。


「うん。ありがとう。こっちで確認した限りでは正常に処理も完了していたからね。意図した通りに構築されているとは思う」


 テスディロス達にもお礼を言ってから、早速中を見ていく。

 円筒型のエアロックは――壁面に触れると壁の一部が溶けるように消える。まずは俺とアルファ、ラヴィーネがエアロックに入る。風魔法のスクリーンが展開されていて、エアロックが開いている時でも外の空気とは混じりにくい仕様だ。エアロックの開閉に巻き込まれないように契約魔法で条件付けをして安全対策もしている。


 とりあえず子供の性質が判明するまではラヴィーネにとっての居心地が良いように合わせておくのが良いだろう。エアロック内部の時点で既にひんやりとした空気が漂っているな。


 内部の広さはそれなりなので、みんなと一緒に内部に進む。


「おお……」


 内部に入ると、ウィンベルグから声が漏れた。内部は樹氷の森のような空間になっているからな。まだ凍り付いているわけではないが、ラヴィーネに合わせてあるので冷凍庫のような寒さだ。

 遠景の地形に合わせて室内にはちょっとした小山が用意されていて、そこに巣穴が掘ってある。見た目の上では斜面に穴が掘ってある感じだな。


「どうかな? 見た目や温度は大丈夫かな?」


 尋ねるとラヴィーネは環境を確かめるように部屋のあちこちを歩いてこくんと頷き、尻尾を大きく振っていた。


「アルファは? 内部の状態に問題はない?」


 部屋の中央に作られた台座を見て尻尾を大きく振っていたアルファであったが、そう尋ねると、こくんと頷く。寒さ等はやはり問題にならない、との事である。うむ。


 というわけで巣穴の内部や区画に備え付けた各種設備も見てもらう。アルファやラヴィーネと一緒にバロールも巣穴の中に入っていった。


 巣穴内部は……寝床、居住用のスペース、水飲みと食事用のスペース、浄化装置とトイレといった感じに幾つかの区画に分かれているな。

 暫く内部を見て回っていたアルファとラヴィーネだが、やがて問題ない、というように尻尾を振りつつ応じてきた。うん。とりあえず二人の新居に関しては問題なさそうだ。その事を伝えると、ベリウスも良かった、というように尻尾を振りつつ喉を鳴らし、みんなも笑顔を見せるのであった。

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― 新着の感想 ―
[一言] エアロックという単語を目にすると、どうしても宇宙空間を連想してしまいますw
[良い点] 獣も大量の干草をプレゼントしていた(寝床用
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