リアルクトゥルフ神話 一
今回の物語は一部、こちらの動画様を参考にしています。
http://sp.nicovideo.jp/mylist/30194712
いつもと変わらない朝、妹がバイオレンスな寝技で僕をお越しに来る前に自分から起きて、朝食の用意をしよう。
「おはよー、お兄ちゃん朝食の用意できてるよ」
「そうかい、ありがとう」
「ところで、お兄ちゃん幸村さん達の件は?」
「ああ、無事解決だよ、大半はお前のおかげって感じだな」
「そう、それは良かった さてと今日はせっかくの土曜日だし朝からラピュタでも見るか」
「何故土曜日だからと言ってラピュタをみるんだ?」
「なんとなく、それとムスカ大佐がお兄ちゃんみたいだから」
「どこがだ! お前の兄のどこがムスカ大佐に見えるんだ! 兄の見た目をお前はどう捉えてるんだよ! 言ってみろ!」
「えーと、お兄ちゃんは髪型はアシンメトリーで若干赤毛、アホ毛が一本、顔は若干女顔で、色白で目の色は栗色」
「なんだ、ちゃんと捉えてるじゃないか」
「うん、ムスカ大佐そっくりだね」
「どう見ても違うだろうが…」
「バルス!」
「う、うわぁぁぁ…目がぁぁぁ私の目がぁぁぁ!」
しまった、バルスというキーワードに体が反射的に!
「ほーら、そっくりだ」
「ち、畜生…」
妹の手口にまんまとハマってしまった僕は朝食を取り終えた後、部屋にもどり中間考察に向けての勉強をはじめた。
「ここは、どこだ? ああ、コンスタンティノープルか…次は、わからない」
『アレクサンドロス大王だぜ』
「そう! それだ」
待てよ、なんだ? 今のやたら綺麗な女性の声は…誰だ?
「お前はだれだよ」
『ひどい奴だな、昨日私とやったばかりじゃないか、だぜ』
やったばかりだとぉ!? やった…なにをやった? 思い出せ昨日、僕は御門さん達のごたごたを止めたり、エクスタシーな戦闘をした事しか覚えてない…いったい誰なんだ。
『探しても見つからない、だぜ、だがどうしても見つけたいなら布団に痕跡があるんだぜ。』
布団…女の声…痕跡…もしかして僕は大人の階段を上ったのか…くっそぅ、何故貴重な初体験を僕は覚えてないんだぁ! ぐぬぉぉ! いや、僕には幸村さんと言う、かなり変わった素敵な彼女がいるじゃないか、アハハハ…ごめんなさい幸村さん。
『何を考えてるんだぜ? 言っておくが、貴様が期待してるようなピンクなシーンはなかったぜ』
「…なんだまだセーフか、とりあえず布団を…ん、これは」
僕が見つけたのは黒い布、その布に見覚えがあった。
『戦闘中貴様がコートを剥いだ時に、貴様の服に紛れたおかげで、私はまだ存在を保ってられるんだぜ、まぁ既に貴様が寝てる間にその布から、貴様の魂に転移済みだぜ、つまり貴様と私は一心同体と言う事だぜ』
「……お前は、何者なんだ?」
『魔神だぜ、以前は御門とか言う少女の願いを叶えてやる、存在だったぜ…今は存在が消えぬよう貴様の魂に定着してるがな、だぜ…そうだ貴様願いはないのか、たぜ?』
「ないな、あるとしたら貴様を完全に消し去りたいって事くらいだ。」
『それは、不可能だぜ私とて消えたくはないのだぜ、まぁいい貴様の魂に住まわせて貰ってる礼くらいはしてやろう…そうだな貴様の狂気、私が預かろう、狂気の状態の能力を使いたくなったら私に言え、だぜ』
「………そうかい、お前名前は?」
『ないのだぜ、貴様がつけてもいいのだぜ、月神 陽』
「そうだな…魔神なのに名無しなのか…うーん」
『まぁ一応、私にも古い名前があるんだが、それは長くてな、確か…』
「言わなくていい、その長い名前に付け足しって感じになるが、月神 新月ってのはどうだ?」
『悪くないぜ陽に新月か、まるで対象的だぜ…』
「太陽の光無しでは月は輝けない、だが太陽の光が届かない時、新月となる月、姿は見えずとも必ずそこに存在する」
『なかなか詩人みたいな発想だぜ』
「ほっとけ、嫌じゃないんだろ?」
『まぁな、だぜ』
僕の魂に住まう魔神との会話の後、僕は街に出掛けていた、勉強の参考書を探しに図書館を探していた。
「あった、ここだ…えーと苦手科目の世界史Bの資料になりそうな物は…」
探している時だった、貸出カウンターの方で御門さんを見かけた。
しばらく声をかけるか否か迷う、奴は間違いなく、僕をみつけたら、みぞおちに容赦なく、えぐり込むようなパンチをするだろう。
だが良く考えろ、月神陽、お前はあいつを魔神から助けた恩人でもある訳だ、そんな恩人を奴は殴るだろうか? 否だな、だが念には念を入れておこう、彼女に近づいたら両手をまず使用不能にする。
「御門さぁ~ん!」
「……………あ? 月神か、手を話せ…気持ち悪い」
「否だ! 離せば僕を殴るだろうから、一時拘束だ…もし離して欲しければ二度と僕を殴らないと誓うんだな」
「………わかった、誓う」
彼女の手を離す………あっがぁはぁ!
「殴らないとは誓ったわ、だが蹴らないとは言ってないわ」
「な、なるほど、そりゃミスった」
「…………あなたも勉強かしら?」
「そうさ、御門さんは勉強とかするの?」
「そうね、あなたが魔神を私から引き剥がしたせいで、勉強しなきゃ点数取れないじゃない……」
「自分で努力することはいい事だ、魔神なんかに頼るな…」
「……絶対に…負けない」
「こっちも、負けてられないな…」
「私、幸村も好きだけど………」
「ん?」
「なんでも……ない……」
しばらくして、勉強に適した資料をみつけたので御門さんと一緒に勉強をすることに。
「……ところで、兄弟とか…いるのかしら?」
「いるよ妹が一人、桜って言ってね、中学生の癖してやたらと頭が良くて、お前を魔神から引き剥がす時も、知恵をかしてくれた」
「……ところで、私が攻撃した時、内蔵おもいっきり飛び出たけど…平気なのかしら?」
「ああ、僕は普通の人間とはちょっと違うんだ、狂気になって脳のリミッターが外れると、怪力を出したり出来る、この回復力も同じ…というか、相手の体を心配するのか…」
「……なにか……不満でも?」
「いやぁ、さっき会った時におもいっきり蹴ったじゃないか、普通体を気遣う人はそんなことしないのに。」
「……かった」
「へ? なんて言った?」
「……悪かったわよ…迷惑かけて」
「いや、もう過ぎたことだから いいよ、僕はしつこくはないからね」
「………そう」
御門さんとの勉強を一時間程度で済ませて、図書館の中を散策した…すごく大きいです。
ふと目に止まったのは貸し出しカウンターのすぐ隣の部屋、部屋のドアには閲覧禁止と書かれたプレートが張られていた。
「閲覧禁止?」
「君、閲覧禁止に興味あるの?」
見知らぬ長身の男性役員が話しかけてきた。
「あ、いや…ただ気になっただけと言うか…閲覧禁止の本なんて管理する図書館って珍しいと思っただけで…」
「それ、興味あるってことだよ君…」
「そうですねぇ…閲覧禁止ってどんな本ですか?」
「簡単に言えば、著作違反の本や間違えた情報が記録された、つまらない本だよ…」
「へぇー」
「ちなみにこれらの本は、いずれ処分されるが、引き取っちまった図書館側としては、処分するのに結構費用がかかるんだ、そこでこの俺様から提案だ、少年」
「なんです?」
「閲覧禁止の本…好きな物を少年に進呈しよう、著作違反や情報が間違った物でも、全てがそういう類って訳じゃない、どうだ?」
「そうですね…見せて貰えますかいくつか?」
「どうぞ、ご自由に」
閲覧禁止のプレートのドアの奥に入って当たりを見渡す。
「……あら、奇遇ね」
「御門さん!? なぜ!」
「忍び込んだのよ、魔導書とかあったら役に立つと思って…」
「そんな物に頼らないで下さい! また魔神の時みたいになっても知らないですよ!」
「………冗談よ半分」
「半分って…」
一通り閲覧禁止を漁るってみる、興味を惹かれた本は数冊だけだった。
閲覧禁止の扉からでる。
「……マキヨ、おもしろいのない」
御門さんと長身の男性役員は知り合いのようだ。
「名前マキヨっていうんですか、僕は月神 陽っていいます」
「なる程、それが少年の名前か…覚えておこう」
しばらくした後、日が暮れたので家に帰ることにした、帰る途中に御門さんが、僕の家に寄りたいといったので家まで付いて来て貰った。
「…意外にいい家だ」
「適当にくつろいでくれればいい、僕は持ち帰った本の内容をみたいから」
「あ、あ、あー! お兄ちゃんがまた家に女の子を連れ込んだ~! しかも元凶!」
「……あなたが桜ね」
「いきなり呼び捨てにすんなぁ!」
「こら! 桜、挨拶をちゃんとしろ」
「私は月神 桜です、そこのモテなさそうな兄の妹です…」
あれ? なんかすごいデジャヴ。
「……御門 晃、前回の元凶…以上よ」
まずい…二人の雰囲気が何故か一触即発状態だ、前に幸村さんが来た時は幸村さんがハンバーグで桜の好感を掴んだが今回ばかりはヤバい、なんとかしないと。
「お、そうだ図書館で珍しい本を手に入れたんだが、読まないか?」
とっさに手にした本を見ると、表紙には【クトゥルフ】っと書いてあった。
その文字以外は黒塗りの表紙でやたら分厚い…勝手に開かないように鍵まで掛かっている。
「お兄ちゃん、それなに?」
「本だな」
「どういう本?」
「さぁ?」
「……あけてみればいい」
「御門さんの言う通りだな、あけるぞ桜」
「うん」
何故かこの本から嫌な気配が部屋中に漂っているような気がする…鍵をこじ開ける、鈍い金属音の後…最初のページをゆっくりめくると、文字を桜がよみあげだした。
「この本はTRPGのルールブックです。シナリオは皆様の状況に合わせ随時変動いたします、ご用意して頂く物は、十面体サイコロを二つ、プレイヤーを四人、GMを一人です、ご用意出来ましたら次のページへお進み下さい………なにこれ」
「懐かしいなTRPGかどこの出版か載ってるか? 桜」
「いや、載ってないね表紙もみた通りだし」
「……興味ある」
御門さんが食い付いた! よしこのTRPGを通じて桜と御門さんの距離を縮めよう、でもプレイヤーは四人だ…幸村さんを今から呼んで始めてもGMがいないとなぁ…
「……四人は揃う……マキヨにGMを頼もう」
「いいの? あの人役員だし忙しいんじゃ?」
「……大丈夫、あいつ家が図書館だから」
え? 家が図書館だって?
「……幸村とマキヨを呼んでくる……」
「あ、うん気をつけて」
御門さん、そこまでしてこのTRPGをやりたいか、ちなみにTRPGについては、ググったりして調べてください。
「なにこれ」
桜が動揺してる、何があったんだ。
「お兄ちゃん、この本…最初と最後以外…真っ白だよ」
「そんな、まさか…嘘だろ」
ルールブックの最初と最後以外は真っ白だ、最後のページに書いてある文には奇妙な事がかかれている…。
「使用キャラクターは皆様の性格や容姿や能力を正確に数値化し、皆様の脳へ転送致します、プレイヤーの使用キャラクターが死亡した場合、プレイヤーも死亡いたします。決して安易な気持ちでプレイしないでください」
こういう事って普通さ、最初に描いておくものだろう…てかそれ以前に奇妙すぎる…。
そんな事を考えたり、この本をどうするかとかエキサイティングしていたら、御門さんと幸村さんとマキヨさんが家にやってきた。
「お呼びかな少年?」
「私も陽君と遊ぶ!」
「……はじめる」
全員が揃った、揃ってしまったと言うべきか? ここまでの状況を全員に話す。
「まて、少年それはイタズラかなにかでは? 大体有り得ないだろう」
「有り得ないよ、陽君」
「……ありえない」
マキヨさんはまだわかるよ、御門さんと幸村さんがそれを有り得ないって言うんかい! それが一番有り得ないよ!
「まぁ、やって見ればわかるよ、お兄ちゃん、私がついてるんだからさ!」
確かに桜が居れば如何に難解な問題でも解決できない訳ではない、ええいここまできたら、腹くくってやるしかない!
ページをめくる、先程まで白紙だったであろうページに何故か僕達のステータスがすでに用意されていた。
月神 陽
職業 刑事
筋力11 知性11 外見16
体力10 精神16 教養12
体格15 敏捷17 正気80
技能
拳銃80 勘75 説得70
耳65 回避64 心理学60
ライブラリー 65
御門 晃
職業 探偵
筋力17 知性10 外見10
体力16 精神14 教養15
体格16 敏捷7 正気44
技能
組みつき99 武術95 回避94
追跡80 自動車80 応急手当て70
クトゥルフ神話16
鈴木 幸村
職業 女子高生
筋力5 知性12 外見17
体力8 精神10 教養7
体格7 敏捷3 正気50
技能
忍び歩き60 かかと落とし45 回避31
隠れる35 マウンテンバイク40
動物飼育50
月神 桜
職業 詐欺師
筋力12 知性18 外見13
体力6 精神14 教養14
体格12 敏捷11 正気70
技量
言いくるめ90 目星90 心理学90
回避72 精神分析66 キック60
隠れる60
GM
マキヨ
「ダイスを振るかGMの任意の合図でゲームが開始されます……お兄ちゃん」
桜が不安そうに声をかけてくる。
「なぁ、みんなやっぱり…やめないか? 真面目に…」
「…なぜ?」
「えー、やろうよ」
「覚悟を決めたようにさっき見えたが?」
みんな、やる気だ。
桜は少なくともやる気はない、いや僕の判断まかせになってるな。
「みんなTRPGの経験は?」
「……興味はあったが、やるのは…初めて」
「私もだよ」
「ああ、確か私もだな」
ほぼ初心者か…桜と僕だけが経験者、やるにしてもクトゥルフ神話物は生存率が低い故に初心者には過酷すぎる内容だったはずだ。
そう考えてた時だった。
「ゲーム開始。」
一瞬頭の中が真っ白になった…マキヨさんが開始を宣言してしまった、興味本位なのだろう…だが開始してしまった以上、おそらく中断は不可能だろう。
本のページがひとりでにめくれて、文字が浮かび上がる。
また桜がよみあげる。
「ロールプレイの基本順序を決めて下さい…」
「分かった、まずは僕がやろう、次は桜その次は…御門さん、幸村さんで」
プレイヤーの三人は頷いた。
不意に劇的で強いめまいが自分を襲う意識が遠のき、気がついたら見知らぬ場所にいた…ここは、どこだろう。
「陽刑事、これはすごい現場ですね」
見知らぬ鑑識の服を着た人に話しかけられる。まさかこれがあの本のTRPGのやり方なのか。
始まった以上はロールプレイするのがルールだ。
「本当にすごい現場だ、なんだこの爪後のような、なんて言うか…」
「奇妙だね」
「うわ桜! いたのか」
「うん、いたよここは極道の事務所みたいだね…最近のTRPGはすごいね」
「言ってる場合かよ…鑑識、目撃者は?」
「一人います、おーい連れてきてくれ」
鑑識の人の呼びかけで、目撃者と思わしき極道風で強面の腕を三角巾で吊った男が来た。
「おい、もういいだろう、いい加減にしやがれ!」
「あなたが目撃者の人ですか?」
「そうだ、さっきから質問攻めで、うんざりしてるんだ!」
男の話によると、怪物らしき何かに襲われ、腕をへし折られ二階にいた組長を連れ去り、窓から飛び降り去って行ったらしい。
「ここは私の出番ですよ陽刑事、うーん」
「やめろ…詐欺の容疑でいまは拘束中なんだから、あまり現場をうろちょろするな、桜」
情報が少な過ぎる、おそらく怪物が
今回のストーリーでかなり重要になってくるだろう、気は進まないが目撃者であり被害者でもある、極道風の男に話しを聞くか。
「あなたは怪物が現れた時、どういう行動をしましたか?」
「そりゃもちろんチャカを使って応戦したさ、だがすごい速さで当たらなかった、あっという間に腕をへし折られて二階に行った、二階には親父がいて、怪物は親父を抱えて窓からどこかへ行っちまった。」
「陽さん、面倒だしこの人蹴っちゃいましょう」
「え? なんで?」
「だってここ怪物なんて来ていませんから。」
桜の手元に十面体のダイス二つがある。
キック 40以下で成功
クリティカル 2
「それっ!」
「うわっ!」
「桜、なんて事を!」
「さぁて下っ端さん、怪物に本当に攻撃されてたら悲鳴をあげるよね、私に蹴られた瞬間にね」
「…はっ!」
桜が蹴った場所は男のギブスだった、ギブスは破壊され無傷の腕が露わになる。
「怪我をしてないだと」
「しかも怪物は的確にあなたの上司を連れ去っている、これは現れた怪物が知性が高いか、誰かに操られてる可能性があります、ですが上司を連れ去る為にここまで部屋を荒らす必要がありますか? これは明らかに第三者にここに怪物が来たとアピールする為でしょう…そして念入りに爪後まで残してますが、かえって怪しすぎます、しかも上司さんは一回で怪物が破壊行為に及んでいるにも関わらずに、二階のベランダから逃げようとしないのはおかしいですよね、床にある血は上司さんが自ら自分で血を抜き、まいたものです」
「つまりは極道の自作自演って訳か」
さすが桜だ…そういや職業は詐欺師だったか?
「聞こえるかい少年…」
マキヨさんの声が周り一帯に響き渡る。
「マキヨさん! どこに?」
「いや探しても無駄さ、どうやら君達の精神とやらがいまこの本の中に入ってるみたいなんだ、何か出来ることはないか?」
「ゲームの中断方法を探してみて下さい、最優先で」
「分かった、どうやらGMは探索者のサポートが役目みたいだな…」
「幸村さんと御門さんは?」
「二人共まだ精神はこっちの世界さ、意識もはっきりしてるし変化もない、簡潔に言えば変化なしだ」
「多分僕達の探索パートが終われば、彼女たちのパートになります、心の準備をしておくよう伝えて下さい」
「了解だ、探索が進むと本に記録が残されて行くみたいだな」
「そうだマキヨさん、各探索者の経歴や詳細、ステータス以外になにか記されてませんか?」
「ふむ、ちょうど見ていたところだ…少年の職業は刑事…殺人や誘拐等の重罪のみを担当する、いわゆる一課の有能刑事って設定だな」
「御門さんは?」
「職業は探偵で、どんな汚い仕事でも金さえ貰えれば、法に触れる事でもなんでもやる人間みたいだな、クトゥルフ神話って技能が付いてる理由は、神話生物を倒した事があるからみたいだな」
「幸村さんは?」
「職業…女子高生…動物好きな活発な少女、ある事件に巻き込まれた事がキッカケで、探索者となった」
「桜は?」
「妹ちゃんか…職業、詐欺師で…元々は占い師をしてたみたいだな、だが占いで当てた事全てが驚異的な洞察力等による物だとある日、とある組織によってバレてしまい、世間一般に広められたくなければ、総理大臣の秘密を暴けと言われ、実行…国際連盟会議中に総理大臣のカツラを奪い取り日本の国家的信頼を失墜させた、彼女は、傷害未遂及び国家機密漏洩の罪で警察に拘束されてる身だ。」
「最後の方かなり、おかしくないですか? まぁいいです、桜が居る事は常に心強い限りですから。」
話しが終わると瞬間的にまた意識が遠のき、目を覚ますと自分の家の一室、みんながTRPGをやろうとした部屋にいた。
全員ちゃんと居る事を確認した上で、マキヨさんがページをめくると幸村さんと御門さんが意識を失った。
二人の行動が本に記録されていく。
「ここはどこ? 誰か!誰か!」
「無駄さ、ここには誰も来やしないんだ、静かにしてな」
「そんな、私に何するの?」
「ちょっと薬を飲んで貰うだけさ」
「や、やめ、むぐぐんー!」
「気絶しちまったな、効果が強過ぎたか…」
幸村の声がする、おそらくここは本の世界だ…さっき、月神兄弟が眠っていた理由はこれだな。
目の前に小さな小屋がある、声はここから聞こえた。
「……ここに幸村が」
桜「いまさら、なんだけど探偵本業の私のステータスが詐欺師って…」
陽「…でもTRPGだからね? 落ち込むなよ」
幸村「私は普通なのに能力的に不利」
陽「学生探索者は基本的に低いんだ、仕方ないね」
晃「…探偵なのに筋肉ムキムキじゃないの、コマンドーになった覚えはないわ」
陽「でも、戦闘では有利かもです…期待してます」
陽「僕と刑事の接点がみつからない」
マキヨ「つまんね」