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急展開なプロローグ B

教習所いってました

MT免許です、わーい!

 僕は目を覚ます、無機質な空気が部屋を漂う、ベッドから起き上がり目をこすって時間を確認すると、まだ夜中の午後十一時だった。

 リビングに出て、夕飯の残りがないか探す、どうやら桜が全て食べ尽くしてしまったようだ。

 仕方ないのでスーパーにでも行って弁当を買う事にした。

「そろそろ半額タイムだな…」

 最近弁当なんて食ってないがたまにはと思って食べるのはいいかも、冷たい夜風が吹き抜ける。

 そうだ、こんな時間だったかな? 昨日僕が手紙を拾いにいったのは…まだまだなんにも解決してないけど。

 スーパーに入り周りを見渡す、なんてこったしばらく来ないうちに、商品の配置が変わってやがる!

 そんな時だった、僕の右肩に暖かい手が置かれた、振り向くと幸村さんがその場に立っていた…ん? また顔を赤らめているけど具合でも悪いのだろうか?

「熱でもあるんですか?」

「いや、ないけど…あの私まだ、ちゃんと返事してないから…その」

 返事? さて、なんの事だろう? ちょっと分からない、僕は彼女のうつむく顔を覗き込んだ、ますます赤みが増して行く、これはこれでなんだか新鮮だった。

 しかし待てよ、僕は彼女に返事をもらわなければならない様な事をしたのだろうか? 心あたりが…あ、待てよ彼女に守るだかなんだか言った後、責任がどうとか言ってたな。

「あの! 私しっかり返事するから聞いてね、ちゃんと私もあなたが好き!」

 ……………スーパーの入り口付近で大声で告白された、責任? ああ、そういうことか、彼女は僕の言葉をどう受け取ったか分からないが、あのやり方が要するに問題だったみたい。

 しかし、まさか告白と勘違いされるとはな思ってなかったよ! 思ってなかったよー! 畜生! さて彼女にこれから何て言ったらいいんだ?

「スーパーに何か買い物にきたんでしょう? 一緒に行こう」

 喜々とした表情に溢れた幸村さんは僕の腕をぐいぐい引っ張って奥に連れて行く、畜生なかなか、かわいいじゃねぇか…って、ちっがーう! 勘違いされたままじゃヤバいぞ! ヤバい? 何がそんなにヤバいんだ? 特に疚しい事はないし、むしろこんなかわいい女の子に告白されてラッキーなんじゃないか…。

 けど、彼女は確かレズビアンじゃなかったか? 確かめてみるか。

「幸村さん、あの御門さんの事は?」

「ん?晃ちゃんも好きだよ、女の子の方で、男の方は陽君が好き!」

 照れくさそうに、さらっと自分はバイですと宣言しやがった! なるほど彼女はこういう人だったのか、しかし本当にかわいいなぁ…許してしまいそうだ。

 無邪気な笑顔を振り撒く彼女をみてて、本当に好きになっている事気がつく僕、彼女を不幸にしたくない、守りたいと心で強く願った。

「ねぇ、陽君って…何買いにきたの?」

「あ、そうだ! 夕飯! お腹空いたな、早く買って帰らないと」

「夕飯? ならこっちがお弁当コーナーだよ」

 半額タイムまで、残り三分になった所で店員が半額シールを張り出す。

 ん? なんだこの異様な空気は? ふと周りに視界を移すと、中年女性達が弁当コーナーの周りに集まりだしていた、目つきが怖い。

「陽君、頑張って」

「え?」

 店員が半額シールを全て張り終わった瞬間、商品目掛けて全員突進。

 僕はその波に飲まれ地面に倒れた、中年女性達はお構いなしで僕を踏みつけて弁当争奪戦を始める。

 数十分後、僕ただひとり閉店間際のスーパーで傷だらけで倒れていた。

 中年女性達は半額という物に対する執着心が狂気になっているようにも思える。

 スーパーの出入り口では、幸村さんが待っていてくれた。

「お疲れ様、弁当は無理だったみたいだね」

「無理だ、普通に怪我までするとはおもわなかった。」

 幸村さんはクスクスと笑いながら、ご愁傷様と言う、僕はおかげさまで夕飯にありつけ損ねたのだが…。

「仕方ない、私が何か作ってあげよう、ついでにご両親に紹介してもらって、家族公認カップルとか…」

 この人の頭の中はいったいどうなっているんだ…。

 僕は溜め息を深くする。

「幸村さん、僕に両親はいないよ」

「え? あ、ごめんなさい」

「いいよ、謝らないで。」

 歩き出す。先程の幸村さんが聞いた両親の事だが…いや、いまは触れないでおこう、話すと長い。

 歩いてから数分後、僕の家につく、玄関を開けて電気をつける、一応もう深夜が近いのでなるべく音をたてずにゆっくりとやる。桜はもう寝ているだろうし。

 しかしながら、いいのだろうかこの人は…幸村さんはまだあって間もない僕を彼氏と認めたあげく、深夜にその彼氏の家にあがるなんて、だが僕自身それは嫌ではないし、夕飯を作る手間が省ける上に、初彼女のご飯というのを食べてみたい。

 きっと彼女はどこまでも子供の様な純粋な心があるのだろう。

「お邪魔します、けっこう綺麗で広いんだね」

「まぁ、妹と二人暮らしだけどね、台所はそっちだよ…材料は適当に使ってくれ」

 幸村さんは冷蔵庫を物色し、材料を取り出す、カウンター式の台所というよりはキッチンなので、作り手の様子を見ながら会話ができる。

「陽君っていつも家でなにしてるの?」

「そうだな、テレビみたりゲームしたり、本を読んだり、普通の生活だな」

「ちょっと意外」

 彼女は可笑しそうにクスクスと笑う。

「意外?」

「うん、いきなり発狂しながら人を助ける人だから、もっと変わってるかと」

 お前にだけは言われたくない。

「そうだな、じゃ幸村さんはどうなんだ?」

「えっと私は、普段あまり家にはいないかな」

「家にいない?」

「そう、私は家が嫌いでね…両親とは喧嘩が堪えなくて、勢いでいつも夜頃には家を飛び出してるの」

 勢いって怖いなぁ…。

 話してる間に料理が出来上がったようだ、幸村さんが作ってくれたのは、ハンバーグだ。

 ソースはオリジナルだそうで、とても照りがありそれらしくなっている、見た目では合格点という所だ。

 フォークとナイフを使用しハンバーグを切り…口へ運ぶ。

 それなりにうまい、しかし他人の料理なんて初めて食べたが…本当にうまいな。

「どう?」

「ああ、ヤバいくらいうまい」

「そう、材料にまだ余ってるから明日も作ってあげようか?」

「いや、明日は妹に作ってやってくれ」

「妹いるの?」

「ああ、桜って言って頭がすごくいい、自慢の妹だ。」

 不意に階段を下りてくる、足音が聞こえる、足音の主は桜だった。

 幸村さんの視線は桜に桜の視線は幸村さんに。

「お兄ちゃんが…お兄ちゃんが…家に女の子を連れ込んだ~!」

 僕は妹の襟を掴み、逃げる妹を止める。

「まてい、我が妹よ、お客様に会ったらご挨拶をしなさい」

「は~い…」

 しぶしぶ、桜は幸村さんの前で丁寧なお辞儀をしてから名乗った。

「よろしく桜ちゃん、私は鈴木幸村、あなたのお兄ちゃん、つまり陽君の彼女よ」

「は、はじめまして月神桜です……そこのもてなさそーな兄の妹です」

 もてなさそーとか言うな! しかし桜の目がなんだか怖いぞ…もしや兄弟ならではのジェラシーって奴か? まぁ小さい頃から僕にくっついて離れなかったからなぁ、早いとこ頭だけじゃなくて精神も成長してほしいものだ。

「ハンバーグ食べる?」

「ハンバーグ? お腹空いてないけどすこしなら食べる」


 しばらくしてハンバーグが出来上がった、桜は最初の一口で幸村さんのハンバーグを完全に気に入ったようで、機嫌が治った。

 それからしばらく、当たり障りない会話が続き、幸村さんが帰ろうとした頃に僕は重要な事を伝え忘れていたのに気が付いた。

「道を送っていこうか? 話したい事もある。」

「お願いするね」


 夜道。


「御門さんの事だ、話したい事っていうのは」

「晃ちゃんがどうかしたの?」

「そうだな、強いて言うなら彼女は君の気持ちを理解できない立場になっていて、常人じゃとても解決できない状況だよ…遠回りに言うのが嫌いだから率直に言うよ…彼女は呪われてる」

「そう…晃ちゃんやっぱり、そうだったの」

 なんだろう、彼女の口振りからしてまるで以前からそれが分かっていたような言い方だ。

「知ってたの?」

「うん、大分前中学生の頃かな彼女は、あるおまじないをやったの」

「そのおまじないって?」

「なにかをやると必ず成功する、おまじない、それは何かその人の大切な物を犠牲にする事で成功を約束する」

「晃さんは何を犠牲にしたか…大体これで検討はついた…」

「そう心ね、今回は…」

「今回は? 前にも何かを犠牲に?」

「そう彼女は両親を犠牲にしたの」

 一瞬世界がうらがえったような感覚がして耳を疑った…両親だって? 常人じゃできない事だろう普通、常軌を完全に逸してる、間違いないこれは彼女の狂気だ。

 以前スーパーウルトラ物知りで頭のいい桜は怪異であると言った、だが狂気が重なっているとなると怪異どころではない、もはや狂怪異だ。

「心、両親、犠牲、次彼女が大切な物を犠牲にするとしたら、友人かつまりそれは幸村さん、あなただ…」

「そう、私を襲ったあのコートは晃ちゃんだったか…私の気持ち分かってもらえなくて残念だな。」


 しばらくして、幸村さんの家につき彼女が僕にどうするつもりかと、訪ねた。

「もちろん、彼女を成功という狂気から解放して、ふざけた呪いを解く…彼女を僕は…助ける!」

 この瞬間、僕の狂気にもスイッチが入った。

 家に帰宅、時刻は深夜三時を回っていた。

「作戦会議だよ! お兄ちゃん! ついでに正義そのものだよ! お兄ちゃん!」

「わかったわかった、分かったからそのどこかの燃え上がってる姉妹のようなセリフを吐くな」

「飛天御剣流…」

「よせ」

「ヒッテンミツルギスタイル!」

「英語にしたからと言って、問題性が亡くなる訳でもない! よせ! つ~か普通に話せよ、面倒くさい」

「お兄ちゃんノリ悪い…」

「しらんがな…で、作戦は?」

 スーパーウルトラ物知りで頭が良くて、アニメ大好きな妹から大方の説明を聞く。

 とってもシンプルな作戦だ、先ずは怪異の方をぶっ飛ばす、次に御門さんの狂気な心をばっきばきに折る、そして最後幸村さんに説得を頼むと…。

 明日はいわゆる決戦になる、もう休もう。


 夜が明ける…昨日の作戦、狂気、怪異、全て思い返す…いこう今日の放課後が吉と出るか凶と出るか、それは自分にかかってる。


 放課後、夕暮れの廊下に幸村さんと僕は黒いコートを着た怪異と対峙する、深呼吸を一つ…さぁやるか。

「…ない…ない…いらない!」

「何がいらないか言いやがれ! 化物! いくぞ!」

「………」

「うぉぉぉ!」

「………!」

「ガバッ!」

 みぞおちに、ストレートパンチがえぐり込まれる、そのまま腹筋を突き破り、内蔵を引きずり出され、廊下が血の海と化す、自分の腸が引き伸ばされ体外へと出る。

「うがぁぁぁ!あぁっぐぁぁぁぁ!」

「……………」

 化物は幸村さんの方へ歩いて行く、僕は手を伸ばして化物の足を掴む。

「これくらいじゃ……ケヒヒ、死なない!」

 桜からの言葉その一、怪異は狂気で制するべし!

(パンチ)

 桜からの言葉その二、相手の力の源を知るべし!

(キック)

 桜からの言葉その三、背中だけは向けるな!

(コートを剥ぐ)

 桜からの言葉その四、隙をのがすな!

(今までの十倍返し↓\→K)

 桜からの言葉その五、やりすぎるべからず

(決着)


 月神 陽 WIN


 燃えるように照らす夕焼けの空、倒れた御門さんに近づいて、僕は聞く。

「そこまでして成功したいか!」

「……………したい」

「成功したいなら自分の力で勝ち取れ! 友達や家族を巻き込むな! どれだけ幸村さんは、お前を思ったか…どれだけ貴様は周りの人間を巻き込んだか…どれだけ貴様は愚かで醜いか…! 自覚するんだな、狂気患者」

「……………」

 声も無くただ彼女は大粒の涙を流していた、すこし言い過ぎた?

 自分の中の狂気がゆっくりと静まっていった、あとは幸村さんに頼むとして僕は、家に帰る。

 きっと幸村さんなら彼女を説得できる…。

「晃ちゃん…私はあなたが好き!」

 今何か聞こえた…幻聴だ…幻聴…。


 翌日、幸村さんと御門さんは仲良く昼飯をとったり、お互いに最近あった事を話たりしていた…普通の生活に戻りつつある、良い事だ。

 っげっふぅ! みぞおちにパンチが決まる。

「幸村は渡さない!」

「上等! 僕だってその気はない! 欲しければ、勝ち取りにこい! 晃!」

「……なによ…」

キャラクター設定及びプロフィールコーナー


【月神 陽】

性別 男

好き 幸村さん 食べる事 運動 音楽

嫌い 勉強 毛虫 自分の狂気

性格 正義感が強い

悩み 妹より背が低い

身長 163cm

体重 62kg


【月神 桜】

性別 女

好き お兄ちゃん アニメ 寝る事

嫌い わからない事 バーロー 晃

性格 論理的思考と幼さとお兄ちゃん

悩み 歌が下手

身長 168cm

体重 ひみつ


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