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ガダルカナル〜密林に消えていく星〜  作者: kazu
第二章 「激闘篇」
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9/15

「太陽」

こんにちは!

今回はかなり中村と小嶋の中の「太陽」というものにフォーカスを当てております。

それではどうぞ。

1942年8月7日 ガダルカナル島 飛行場の壕


意識をなくした俺は深い眠りへ… 



いやだめだ楽するな…



まだ艦砲は続いてるはず…


意識なくしたら死ぬ…死ぬ…死ぬ…


そう思った小嶋はすべての力を出してまぶたを開ける。

その瞬間全ての五感が戻って来る。

自然と混ざり合う血や死体の腐った匂い…


キーンと鳴り響く幻聴…


口のなかにある唾の味…


手に触れている土の感触…


そして、視覚が戻る…


中村「おい!起きろ小嶋!」

小嶋は飛び起きる。

そして急いで外に向かう。 

そして外に出る。

艦砲射撃は止んだようだ。

周りはまだ煙に覆われている。

見えないのに死体の匂いがあちらこちらからする。


ひどい匂いだ…

きっとみんなたくさん死んでる…

一体何発撃ち込まれたんだ…

まさか…米軍が来るなんて…


皆が思ってもいなかった「米軍来襲」ということに困惑し、動揺する。


小嶋「な、なぁ…中村…艦砲射撃が止んでから誰くらいたった…」

小嶋はそう疑問に思い聞く。

中村「あぁ…まだ2、3分だろうな…煙もまだあまり晴れてねぇ…あちらこちらで燃えてる。」

そう聞きもっと視界を広げ、見渡す。


よく見れば隊舎も、戦闘機もない…



人も…いない…



小嶋「あのときと…同じ…」

中村「まったく…ではないが…確かに似てんな…」

あの先月の初めてのB17による空襲のときとにていた。

人もいない。

地面は穴だらけ。

隊舎や建物は吹き飛ばされる。

人も…同じように…


小嶋「仲間は!」

中村「ばーか…奥の方にいるよ…」

そう言われ壕の奥に行ってみる。

するとたしかにたくさんの隊員がいる。

軽傷な負傷兵もいた。


自力できたのならたとえ軽傷でもすごいことだ…


そう少し絶望の中で感心する。


でも匂いがひどい…

さらに奥に行くと誰かが手を合わせている…

気になり、奥に歩いていく。

トンットンッと足音を立てて…


小嶋「どうか…したんですか…?」

そして手を合わせている隊員に聞く…

しかしただお経を唱えている…

南無阿弥陀仏と…


小嶋は不思議に思い、その合わせている方向を見る。

するとそこにあったのは…


小嶋「し、死体…」

その死体は下半身ではなく、おへそのところから舌がなかった。

目に破片も突き刺さっている…

その瞬間小嶋に激しい鳥肌とトラウマが蘇る。


また死んだ… 


なんで…あの時と同じなんだよ…


なんで幸せなことは起きないんだよ…


なんで不幸せなことだけ…こんなに…


「か、母ちゃん…」


俺だって…会いたいんだよ…


家族に会わせて…


そして激しい死体の臭いとトラウマに襲われる。

小嶋「お、おぇぇぇ…」


胃が絞られるような痛み…


口から出る朝に食べたご飯…


喉が胃酸で焼けそう…


そして出し切ったころ、後ろから誰かが近づいてくる。

トンットンッと足音を立てて来る。

そして口を開く。


中村「見ちまったのか…小嶋…」

すると後ろに中村がいた。

小嶋「見ちまったって…どういうことだよ…」

中村「いや…お前にはなるべく見せたくなかったんだ…あの時、ここに来る時に見たお前の足を掴んでいた兵士のことを思い出させたくなくて…」

中村は小嶋のことを心配し、見せたくなかったと発言した。




でも、おかしいだろ。




小嶋「でも、おかしいだろ。なんで、「見せたくなかった」て言う必要があるんだよ…」


そう小嶋が疑問をありのままにぶつける。

中村は、罪悪感に満ちあふれた顔をした。

そして、訳を話す。


中村「そいつは、艦砲に吹き飛ばされていたが、生きていた兵士だった。」

中村はすでに短い命ではあったが生きてはいたと話す。

そしてさらに話す。

中村「でもずっと殺してくれと懇願してきていたんだ…俺の足を掴んで…だから…」

そして、罪悪感に満ちあふれた顔の訳を話す。



中村「俺が…「介錯」したんだ…」



小嶋「かい、しゃく…?」

中村「わかるだろ…?かわりに、「殺して」やるって…ことだよ…」

中村の顔はさらに暗くなる。


え?殺して…?


中村が…?


どういうことなんだ…?


ここにいたくない。

早く出たい。


臭いんだ。

たまらなく。


見たくないんだ。

この可哀想な死体を。


そんな顔をしないでくれ。




中村、お前の元気な顔が見たかったんだ。



小嶋「外に出よう。」

中村「え…?」

いきなりの誘いに中村は困惑する。

中村「い、いや外に出ても何もないんだぞ…?」

小嶋「それでいいんだ。」

中村は何もないからと言う。

しかし小嶋はそれでもいいという。


一刻も、彼の目から死体を放してやりたい。

そして中村は言う。


中村「いいぜ…行くか…」


そして、壕から出る。

すると煙が晴れていた。


すごく見やすい…

死体も…

壊れた建物も…

燃えている木も…



悲しそうに見つめている…中村の顔も。


小嶋「なぁ、中村。」

中村「…どうした。」

小嶋は、すべての疑問を一つの質問にしてぶつける。


これこそが、今持っている疑問のすべてだろう。


今こそ、解決する時な気がしてしまった。


でも、正解な気もした。


だから覚悟して聞く。




小嶋「お前は死にたくないんだろ。中村。」



中村「え…?」

いきなりかなりのでかい質問に中村は困惑する。

小嶋「お前はさ、ここに来たばっかりの時「俺は家族のために死にたいって」言ったよな?」

小嶋はガダルカナル島に来たばっかりの時の中村の発言を掘り返す。

中村「あ、当たり前だろ!国のためだぞ!?天皇のためだぞ!?家族のためでもあるんだ!そんな大義名分のために死ねるなんて本望だ!」


小嶋「本心を偽ってんじゃねぇよ!!」


そう、さっき中村に怒鳴られたように小嶋も怒鳴り返す。


中村…お前は…


お前の本心は…


小嶋「お前は…生きたいんだろ…?帰りたいん…だろ?」


小嶋は涙を流さず、勇ましい顔でそう聞く。


中村「い、いやだぞ!俺は死ぬんだ!生きたいわけないだろぉ!?お前も!俺も!お国のためにとここに来たんだろ!?今更…今更違うなんて言わせねぇぞ!!!!」


中村はそう怒鳴る。

今更お国のためになんて死ぬなと言うような小嶋に…

でも小嶋は続ける。


小嶋「「お国のために。」そう言って空襲で死んでいった奴を俺は見てきた。みんな最後は…最後は…」


そして話す。


小嶋「母ちゃんとか家族の名前を…言うんだぜ…?そんなやつらが…本当に本心でお国のためにと…死にたいと思っていたのかな…」


そう疑問と質問を混ぜた言葉を、中村に話す。


中村「…!」


中村の心にその言葉は響いた。


本心なのか…


偽りなのか…


わからないけど…


小嶋「俺も、お前も。同じだよ。」

中村「同じ…?」





小嶋「俺も、お前も。生きたいんだよ。それが絶対に、お前の本心だ。」


小嶋は中村が言いたかった言葉を言う。


「生きたい。」


ただその言葉を…


中村「俺…生きたいんだよ…!!!」

そう言って、中村は初めて涙を流す。

あのとき支えてくれた中村に変わって今度は、自分が支える。


そっと、手を差し出す。


小嶋「立てよ。手、貸してやるから。」


中村「背中…押してくれないのか…?」


小嶋「押してやるよ。俺のお前を支えてやりたいという気持ちでよ。」


中村「ハハッ…いいぜ…俺のこと…支えてみろや…大人しく傷舐め合おうぜ…」


そして、中村は小嶋の手を取る。


死体もある。


周りには何もない。


でも、自分たちを照らしてくれる太陽はある。


俺が、その中村にとっての太陽になりたい。

小嶋「俺は舐めるつもりはないぜ。ただ支えるだけだ。自分で、立て。」


そして、中村は立つ。


2人の間を、風が通り抜ける。


2人の軍服や、帽子を揺らす。


そして…


2人の背中には、「太陽」があった。


第八話 「太陽」



















今回はかなり「心」に繋がる話にしてみました!

さぁ…次回

「米軍来襲。」

ご期待ください。

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