あなたを忘れる日まで
失恋未満。
はじめから、あなたは手に入らない人だった。
いくら手を伸ばしても、何度手を伸ばしても。
あなたは、お姉ちゃんの恋人。
「こんにちは」
いつも向けてくれる優しい笑顔。
それは、妹だから。
優しく話しかけるその声も。
全部、お姉ちゃんのもの。
欲しかった。
ずっとずっと、私のものにしたかった。
でも、見てるしかできなかった。
……あなたは、お姉ちゃんの恋人だから。
初めてあなたの涙を見たとき。
頬を伝う幾筋ものその涙に、触れてみたいと思った。
指を伸ばして、目を見つめて。
頬をなぞって、唇に触れて。
その日から、あなたは誰のものでもなくなった。
応える声も、向けられる瞳も。
私を通り過ぎて、いとしい人の面影をたどる。
私のことを見て欲しかった。
私のものになって欲しかった。
お姉ちゃんの恋人じゃないのだから。
お姉ちゃんは、もうどこにもいないのだから。
言葉にしたこともない、私の想い。
伝えることさえできない、私の想い。
あの人の、心を持っていってしまうなら。
私の想いも、持っていって欲しかった。
ねえ、そんなにも、愛していたの?
ねえ、そんなにも、愛されていたの?
ねえ。
空にいるお姉ちゃん。
あの日、あの人の心を持ってお空に行っちゃった。
あの人の身体は、今こうして目の前にいるけれど。
心は……どこにもいないの。
瞳には……何もうつらないの。
ねえ、お姉ちゃん。
あの人を永遠の中に閉じ込めてしまったの。
私の手が届かないように。
私のものにならないように。
それでも私は抱き続ける。
この気持ちを。
この想いを。
忘れる日まで。
はいつぎいこー




