第3話 新しいクラスって新鮮だよね
更新遅くなりました
まあ、見てくれている人はいないかな(笑)
教室の中は賑やかだった。
知っている顔もあれば、初めて見る顔もある。
黒板にはそれぞれが座る席の名前が書いていた。健一が座る前には真悟の席が、そして隣にはさっきぶつかった女の子が座っていた。
「あ!」
健一は思わず声が出た。
「あの子と知り合いなのか?」
真悟が意外そうに言ってきた。
「まあ、ちょっとな。それよりあの子誰なんだ?」
「知らないのか。あの子は橘楓。美人でおしとやかで頭も良くてみんなから人気があって、この学校では現代の大和撫子っていうんで有名なんだせ!」
真悟は熱烈と語った。
健一は感心しながら楓を見た。
「へぇ~そうなのか」
「それにしても一緒のクラスだったとはな。やったな健一」
真悟は健一の肩に軽く手を置いた。
二人は席に座り、真悟は楓に早速話しかけた。
「俺、佐藤真悟って言うんだ。こっちは友人の高峰健一よろしく~」
「ども」
健一は軽く頭を下げた。
「橘楓です。こちらこそよろしくお願いします」
いきなりの真悟の話し掛けに嫌な顔一つしないで答えた。
その声はとてもやさしく包み込むようだった。
「あ、あなたはさっきの……」
「さっきはぶつかってほんとゴメン」
「いえ、気にしてませんから」
にこやか笑顔で健一に返した。
「さっきって、二人はどういう知り合いなの?」
真悟が二人を不思議そうに見た。
「小さい頃に約束した女の子なわけでもないし、かといって幼馴染でもないだろ? それとも……」
真悟はぶつぶつと何かを考えながら呟いていた。
「? ? ?」
健一と楓はポカンとした顔をしていた。
「……真悟ナニイッテルンダ? 休みで頭、沸いてるのか?」
病院でも行って来た方がいいんじゃないか、という目で真悟を見た。
楓もにこやかにしているが、首をかしげていた。
「あっ、いや…なんだ今のは聞かなかったことにしてくれ。ちょっと休みボケで頭の中が沸いてたんだ」
「まあ、いいけど。病院ならいつでもいい所を紹介してやるからな」
「あ、ありがとな」
真悟は顔を引きつらせながら答えた。
「私と高峰君は提示版の所でぶつかっただけです。だから名前も今初めて聞いたんですよ」
「なんだそうだったのか」
真悟はなんだか安心したように答えた。
と、そこでチャイムがなり先生が入って来た。
「ほら早く席について」
これにより生徒は席に着き、ホームルームが始まった。
「次は体育館に新入生が来るから各自行くように以上!」
伝えることを伝えたら先生は教室を忙しそうに出て行った。
体育館に入ると校長の辰幻勝正が自由についてなにか語っていたが、まったく頭に入ってこなかった。
『………あー、それでは新入生の入場です。拍手で迎えましょう』
通り過ぎる一年生を見ながら拍手を送っていた。その中で彩芽を見つけた。
(朝一緒に来る時は気が付かなかったけど、うちの制服似合ってるな)
兄妹として少し鼻が高かった。
そして、あっという間に放課後になった。
初日ってこともあって学校は普段よりも早く終わった。
「え~、これからクラスの親睦を深めるという意味でボーリングをするから、ヒマな人集合~」
この真悟の発言でみんな一斉に真悟の方を向いた。
まだクラスの全員が残っていた。
「いいね~」
「行く行く」
「私も私も」
「行きたい! 行きたい!」
「悪い、俺はこれからデートなんだ」
一人なんか違うやつがいたが、みんなで軽くスルーした。
そいつは教室から出て行く時、淋しそうな顔をしていた。というか聞こえなかっただけだよね? 集団でのスルーは結構きついよ。
「もちろん健一も来るよな?」
言われて考えた。
「まあヒマだし。行くよ」
「そうこなくっちゃ」
「橘さんはどうするの?」
クラスの女子が聞いた。
さっきまで騒いでいた男子、そして女子までもが一斉に静まり返った。
「私も参加しようかしら」
その言葉にクラス一同さらに盛り上がった。
「うお――――――――――」
「キタ―――――――」
さっきのワキアイアイとした雰囲気ではなく、コンサートやライブのようなテンションだった。このまま放っておくといつまで経っても出発しそうな雰囲気ではなかったので、真悟は手を叩いて収拾した。
まあ、真悟も顔はにやけきっていたが、
「そうと決まったら、早く行くぜ!」
真悟の発言でようやく教室から出たのだった。
廊下に出ると向こうからこっちに向かって来る人物の姿があった。
「あれ彩芽ちゃんじゃないか?」
真悟の指差す方向をみて見る。
「兄サ~ン、一緒に帰ろ」
やっぱり彩芽だった。
「今日はダメなんだ。この後みんなでボーリングに行くことになったんだ」
「そうなんだ。じゃ私先に家に帰るね。夕方から見たいテレビもあるし」
少し残念そうな顔をしながら来た廊下を引き返した。
「今日夕方から何か面白い番組なんてあったけ?」
真悟が健一に訊いてきた。
「さあ? 忘れた」
健一は知らないふりをしたけど何を見るのか知っていた。間違いなくアニメだ。全財産賭けたっていいと心の中で思った。
彩芽は来た廊下を引き返えしてる時、途中で足が止まった。
「あれ? あの人」
彩芽は振り返り楓の方を見た。
「橘さんがどうかしたのか?」
「あの人どっかで見たような……」
「町かどっかで見たんだろきっと」
「そうかな? なんだかもっと別の場所で見たような……」
彩芽は胸につっかえのある疑問を抱きながら帰って行った。