第20話 料理は作るより食べる専門
今回この話を書いて改めて自分のネーミングセンスのなさに
絶望した!
「二人とも遅かったですね」
「そうなのよ。ちょっと手伝いに行ったら健一がなかなか放してくれなくて」
「なんでだよ。そっちがいろいっ!?」
言葉が止まった。別に持病の発作とかではなく、まして急に口が聞けなくなったわけでもなく、足に痛みが走ったからだった。
原因は鏡子に足を踏まれていたからだ。さらに周りに気付かれないように踵でグリグリしていた。
「いろい?」
三人は首を傾げた。
「まったく健一には困ったよ」
そう言いながら足を踏んでいる方の足首を回しながらみんなにコップを配った。
(困ったのはお前だ!)
健一は心の中で叫びをあげた。
「どうしたの。兄サン?」
痛みで顔を歪めていたのを不思議そうに彩芽は見ていた。
健一の横では鏡子が目線を送っていた。
「いや、……別に」
そう言って座るとまたそこそこにこれからの予定などを雑談していたら料理が運ばれてきた。いっぺんに全員の料理がきたので、急いでテーブルの上に広げていたパンフレットをしまった。
真悟はミックスピザ、彩芽はハンバーグセット、鏡子はナポリタン、楓はサンドイッチ、健一は和食だった。
テーブルの上は料理で埋め尽くされた。
「いただっきまーす」
彩芽は待ってましたとばかり料理に手をつけた。健一たちもそれぞれ料理に手を伸ばした。
「なかなか美味いな」
真悟が料理を頬張りながら言う。
「確かに美味しいわね」
鏡子も納得の言葉だった。それに同意するかのように健一と楓も頷いた。彩芽は食べるのに夢中だった。
こういうところの料理は普通のレストランと比べると味が少し落ちるものだが、ここのはそんなことはなく充分に美味かった。厨房を一度覗いてみたいと……までは思わなかった。
料理は作るより食べてる方が良いという考えだからだ。
「それでこれからの予定はどうするんだ?」
横にいた彩芽が答えた。
「ほえはもんはふぇど」
メインのハンバーグを食べている途中だったから解読不可能な言葉だった。
「こら、高校生にもなって下品だぞ」
健一に注意をされ飲み込もうとするが、口のいっぱいにあるハンバーグはなかなか無くならなかった。
彩芽が苦戦しているので真悟が代弁した。
「それだけど、今日なんかイベントがあるらしんだ」
そのイベントの部分が見えるようにパンフレットを小さく畳んで見せた。
それによると他の日付にもイベントがあるらしいが、そこは無視して今日の日付の部分に目を落とした。『今日、午後二時から中央会場にて乗物にのって!のって!ハイ、チーズ! 参加者大募集! 豪華な賞品があなたを待っている!』と、なんだかスタッフのアルバイト募集の広告みたいだった。
正直言って感想は微妙だった。
「……これに参加するのか?」
「う~ん。まだ判らんけど、見に行っておもしろそうだったら考える」
「二時って言ったら後…三十分ぐらいか」
時計を見ながら言うと、再び料理を食べ始めた。
途中再び水を淹れに立つと、店の中は入った頃よりだいぶ客の数が減っていて一息ついた感じだった。
紙ナプキンで口の周りを拭いた。
「ごちそうさまでした」
五人の顔には満足と表われていた。
「ではそろそろ行きましょうか」
楓がそう言うと五人は席を立った。
「これ全員参加者なのか」
真悟が辺りを見渡した。
中央会場には健一たちみたいな野次馬や家族連れがいてざっと四、五十人はいた。
「それより豪華賞品ってなんだろう」
彩芽が首を伸ばして会場を見ていた。
「きっと、ここの一日貸し切り券よ。かえっちはどう思う?」
「私は貰って役に立つのがいいですね」
「例えば?」
「そうですね。私はお米とかお醤油がいいですね」
役には立つが実に家庭的というか主婦臭かった。
「な、なるほど。それは役に立つわね」
「あまり期待しすぎるのはどうかと思うぞ。どうせ帰りの電車賃ぐらいの価値だって」
「あんたに聞いてないわよ。それになんでそんなに夢がないこと言うのよ」
「だってこういうのって大体そうだろ」
「はあー、これだから健一は」
そう言いながら、鏡子が肩を上げながら首を振った。
これにムッとした。何か言い返そうとしたが、健一が言う前に楓が先に言った。
「あ、始まるみたいですよ」
会場の周りがざわつき始めた。
ひとまず鏡子に言い返すのは保留にしておいた。
ハァー
やっぱりネーミングセンスって文字通りセンスが必要なのかな?
逆にみんながどうやって考えてるのか知りたい……
もしなんか良い方法があれば教えてほしいです(後、感想の方もしてくださるとうれc-)
こんな作品でも見捨てないでくださると幸いです。