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第13話 朝食は1日の始まり

 翌朝、時刻は九時。昨日の疲れのせいか健一はまだ布団の中でもぞもぞしていた。


「なんだ、まだ九時か。集合が十時半だからもう少し寝られるな」


 そう言って、再び布団の中でもぞもぞとし始めた。


 と、部屋のドアが開かれた。


「兄サンまだ寝てるの?」


「なんだ、彩芽か」


 健一は面倒くさそうに上半身を起こしながら言った。


「ノックぐらいしろよ」


「別にいいじゃん。兄妹なんだから」


 まったく反省する気がなく、そのまま部屋の中に入っきた。


「それよりなんなんだ。今日は休みなんだからもう少し寝かせて……」


 布団を被り直し、再び夢の中に戻ろうとした。


「もう! 兄サンだらしないよ。ほら、起きて起きて」


 彩芽がカーテンを開けて、健一の布団を無理やり引っぺがした。


 朝の強烈な太陽の光で健一は目がくらんだ。


「どう? 少しは目が覚めた?」


「ああ、覚めたよ。だからもう少し寝かせて……」


 朝の光でも効果が薄かった。


 健一は再び布団を被った。これに彩芽は呆れてため息が出た。


「はあー、せっかく昨日の買い物のお礼にと、朝は兄サンの大好きな甘~い物を用意したのに」


 健一は大の甘党だった。三食甘い物でもいいと断言してるほどだ。店で何か注文する時も必ず最後に甘い物を頼むほどだ。学校ではいつも真悟に購買のカステラクリームパンを頼んで高値で買い取ってる。自分で買いに行かないのは一回も捕れた試しがないからだった。


「本当か!」


 これを聞いた健一は勢いよく飛び起きた。


「本当よ。だから早く下に行ってご飯食べてきなよ」


 健一が居間に行くとテーブルの上にはハチミツがたっぷりとかかったホットケーキとフルーツジュース(もちろん甘め)、そして極め付けにはおしるこがあった。


 このホットケーキにおしるこは普通の人から見れば相性が悪いと思う。しかし、健一には関係がなかった。


「これ彩芽が作ったのか?」


「そうよ、さっき作ったから冷めないうちに早く食べて」


 彩芽がにこやかな笑顔で健一に料理を(すす)めた。


「なあ、彩芽」


 ここで心配そうな顔で健一は聞いた。


「これ食べても大丈夫よな?」


「兄サンどういう意味よ?」


 彩芽が少し膨れた顔をした。


「だって、彩芽が料理している所なんて見たことあんまりないし。見たとしてもなんだか失敗していたような気がするけど」


「失礼ね。お母さんがいない時は私が料理作ってるじゃない。それにあれは失敗じゃなくてちょっと見た目が悪くなっただけよ。味の方はいつも問題ないのに兄サンが食べないだけでしょ。それに今日は見た目の方も上手く出来たんだから」


 そう言われてみると普通の形だった。


「まあ、そこまで言うなら……」


 健一はホットケーキの一切れを口に運んだ。


「どう?」


 彩芽はこの様子を彩芽は心配そうに(うかが)っていた。


 しばらくしてから健一の表情が変わった。


 そして、そのままフルーツジュースを飲んで、おしるこも一口食べた。


「うまい!」


 驚きを隠せなかった。


 この様子に彩芽もほっと息を漏らした。


「このホットケーキの甘さといい、そして逆に甘さを抑えたおしることいい、いつの間にこんなに作れるようになってたんだ」


「だから言ったでしょ。いつもだって美味しくは作れてたんだよ」


 健一は感心しながら食べていた。


「それで兄サン、少しお願いがあるんだけど」


「ああなんだ。なんでも言ってよ」


 上機嫌な健一は何でも来いっていった感じで答えた。


「実はあの店に用事があって行って欲しいんだけど……もちろん今日は私も一緒に行くのだけど……」


「無理!」


 このお願いに健一は即答で断った。


「なんで? 今日やることなんてどうせないんでしょ!」


「それがあるんだな」


 健一はおしるこを飲みながら指をチッチッチと振った。


「今日は真悟達と隣町の遊園地に行くことになってんだ」


「隣町っていったらこの前オープンして今、人気のとこじゃない! いいな~、兄サン行けて」


「だから今日は買い物に付き合ってられないんだ」


「けど、それって何時から?」


「十時半からだけど……」


「なら、それまで一緒に行こうよ」


「だってもう九時五十分なんだけど」


 居間の時計を見ながら言った。


 今からゆっくり歩いて間に合う時間だった。


「大丈夫、間に合うようにすぐ買い物するから。ね、兄サンお願い!」


 彩芽は片手頼みで頼んだ。しかし、健一は首を縦には振らなかった。


 これに彩芽は目をうるうるさせて健一を見つめていた。


 一口、二口、健一はおしるこを飲みながら誤魔化していた。この間も彩芽はうるうるした目で見つめていた。


 そして、飲み終えて彩芽の視線が限界にきた健一は口を開いた。


「わかったよ。けど、時間が来たらすぐ行くからな」


「ほんと? ありがとう」


 彩芽はうるうるの目から一転して、さっきのにこやかな笑顔に戻った。


「じゃあ、すぐ行くから急いで支度して」


 健一は自分の部屋に戻って支度をしながら考えた。


「………もしかして俺って彩芽に上手いこと乗せられた?」


 ここで健一は考えるのをやめた。これ以上考えると自分が嫌になりそうな気がした。


 健一が玄関に行くと彩芽はもういつでも出発できるという感じでだった。


「ほら、あまり時間がないんだから急いでよ兄サン!」


 彩芽は手を引っ張りながら()かした。





自分は朝食は和食か洋食で言うと和食はです。


けど、朝食べることはほとんどありません。しかも食べても大抵は買い置きしているパンになったりします。


これからも朝は食べようと思うけど、食べることは多分ない。

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