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【追跡、こだま317号】  作者: 石田ヨネ
第七章 決着、解決へ

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49 「はぁ~い❤」とは、また違ったイントネーションで

 人間どうしであれば、間違いなく両者ともに爆発に巻き込まれ、タダでは済まないだろう!!

 自爆して、自分を巻き込むつもりなのか――!?

 あるいは、単純なハッタリ――、驚かして隙をつくり出すための、偽物の可能性はないか――!?

 というよりも、この黒づくめの女は“人間ではない”。

 ゆえに、この【手りゅう弾】によってダメージを負うのは、この自分だけであり、黒づくめの女のほうは、何のダメージを負わないという代物なのではないか――!?

 松本は、“これらのこと”を一瞬で判断する。

 そして、


 ――カチ、カチッ――!!


 と、まさに炸裂しようとする中!!

「ちぃぃッ――!!」

 と、松本は後ろに大きく跳躍しながらも、急所を護りつつ防御態勢をとろうとする。

 だが、ユキノが“それ”を見逃すはずもなく、

 ――ジャ、カッ――!!

 と、向けた砲口から、


 ――ド、ォォォンッ――!!!!!


 と、無慈悲にも!! 松本に砲撃を撃つ!!

「てっめ――!!」

 松本が苛立ちながらも、シャベルに妖力を込める!!

 その砲弾だけは、

 ――カッ、キィィン――!!

 と、何とか弾くものの、手りゅう弾のほうへの注意がおろそかになってしまうという!!

「しまっ――!?」

 松本が言いかけながらも


 ――カッ――!!


 と、ゼロのコンマ10桁秒の刹那――!!


 ――バ、ァァンッ――!!!!


 と、手りゅう弾は炸裂してしまう!!

 やはり、極低温の、氷の花火のような爆発が巻き起こる――!!

 松本は巻き込まれ、そのまま、“凍り漬け”になってしまったと思われる。

 いっぽう、

「……」

 と、ユキノは、

 ――ファ、サァァッ……

 と、爆発地点から雪煙が晴れていくのを、ジッ……と見て、確認していた。

 まあ、確認するまでもないが、念のため、敵の――、松本の生死判定をしておくためである。

 しかし、


「――?」


 と、ユキノが“次に”感じたのは、違和感だった。

“そこ”に無い、2、30メートル先の、“凍り漬けなっているべき”である松本の姿――

 だが、眼前の――

 それも、ちょうど嫌な距離に!!


 ――スッ――


 と、何とあろうことか――!? イリュージョンでも使ったのか!? 

 松本が、その姿を現したのだ!!

「なッ――!?」

 ユキノが思わず声を出した。

 松本は、そもそも回避などしてなかった――!!

 松本を彩る、デジタル山茶花のような、美しい魔界植物――

 妖狐の妖具を以って、手りゅう弾を防ぐなり、幻術のようにして、一瞬――、その姿を消したのである!!

 さらには、手りゅう弾の爆発地点にあったのは、まるで陰陽師が使うような“藁と紙人形”――

 それを以って、手りゅう弾に抗う松本の分身の姿を見せさせ……、その間に本物の松本のほうは、シレッと、ユキノの眼前にしのび寄っていたのである!!

 そして、


 ――ジャ、キッ――!!


 と、近接した松本はシャベルを構えるや、否や!!

「ふん、ぬッ――!!」

 と、容赦なくユキノに向かって“それ”を振るう!!


 ――ブンッ――!!


 と、クリーンヒットする瞬間――!!

「くっ――!!」

 ユキノが、思わず少し顔を歪めそうになりながら、瞬時に重火器を構える!!

 防御しようとするも、若干間に合わず、


 ――カーンッ――!!


「ッ――!!」 

 と、ユキノがダメージを受けながら圧される!!

 ただ、圧されながらも後ろへ跳び、その衝撃を逃がす!!

 そうして、吹き飛ばされた格好になりながらも、


 ――ズ、ザザァァッ――!!!


 と、足から着雪しながらも、吹き飛んだ勢いから10メートルほど雪上を滑って、その勢いを殺す。

 さらにそこへ、


 ――ブッ、シャァァ――!!!!


 と、追い打ちかけるように、ユキノの周りに間欠泉がトラップが噴き出す!!

「――!!」

 ユキノが、目を見開いて驚く!!

 ――ジュ、ワァァッ!!

 と、浴びてしまい、

「ぐっ――!!」

 と、すこし声が漏れながらも、これも彼女の能力か――!?

 ――キ、ィィン――!!

 と、噴き出る間欠泉を、一瞬で凍りつかせ!!

 続けざま、


 ――パ、リィィンッ――!!


 と、砕け散らせながら、“それ”を無効化してみせる!!

 そうして、

「……」

 と、ユキノは平静な顔で、それほどダメージを負わず、

 ――ジャ、カッ……

 と、また重火器を構え、松本の前に立ちはだかる。

 それを見ながらも、

「ああ、もう……、きっつ……!!」

 と、松本は、吐き捨てるように言った。

「早く、こっちも何とかしろっての!! あの、タヌキ――!!」



          ******



 場面は変わる。

 ふたたび、雪山の上から下へ――

 

「やります、ねぇ……♪」


 と言ったのは、“双眼鏡を持った”ジェラート大佐であった。

 もう、ほとんど雪に埋もれた新幹線の上で、ジェラート大佐とムカイは、ユキノと松本清水子との戦闘の経過を見守っていた。

 横から、

「いや、何で? わざわざ、【双眼鏡】で見る必要があんだよ」

 と、ムカイがつっこんできた。

 まあ、傍から見ても、つっこみたいところだろう。

 ホワイトアウトするような吹雪の中、さらに、雪山の中腹での戦闘であるから、普通に考えると双眼鏡などで、その様子は見えるはずもない。

「うん♪ これは、雰囲気づけだよ」

「あ、あん? 雰囲気だと?」

 答えるジェラート大佐に、軍用のタブレットデバイスらしきものを手にしたムカイが、怪訝な顔して言った。

 戦闘の様子は、ドローンと、ユキノが身に着けてあるウェアラブル・カメラで捉えており、軍用デバイスに反映させていた。

 それと同じ情報を、わざわざ双眼鏡にも映るようにするという、まったく必要のない小細工をしていたわけである。

「いや、雰囲気は、ムードは大事だよ? 何でも。たがら、女の子にモテないんだよ、ムカイは」

「フン、何を言ってんだ」 

 ジェラート大佐に、「やれやれ」とムカイは呆れる。


 それはさておき、

「ふぅ……、さすが、ユキノと言いたいところ、だけど――」

 と、前置きするように言ったジェラート大佐に、

「あの、人間も、な……」

 と、ゆるり……と、ムカイが言葉を続けた。

 戦闘の経過を観察する中――、当初は、自分たちと同じく冷界人のユキノが、人間に過ぎない松本清水子を圧倒し、早々に凍り漬けにしてしまうかと思いきや、善戦をしているわけである。

「まあ、妖狐の、“何か道具か力”でも使っているんだろうけど……、よく、隙をついたね」

 ジェラート大佐が、感心するように言う。

 そこへ、

「加勢しなくて……、いいのか?」

 と、ムカイが聞いてきた。

 ユキノが負けることはないと思いながらも、思った以上の人間・松本の力と、妖狐の妖具・妖力というポテンシャルの見えなさから、念のためにであろう。

「そう、だねぇ……?」

 ジェラート大佐は、考える仕草をしながら、

「ちょうど、“彼女”の注意は……、いま、ユキノだけに向いているだろうからねぇ……?」

 と、ドローンや砲撃なりで、松本に不意打ちをしてユキノを援護しようと考えるも、

「いや、でも……、“自動的に迎撃するって妖具”――、っていうのかな? 何か、“そんなガジェット”が、あるんだろうな」

 との、推察に至る。

「まあ、それでも、何かしとけば、援護にはなるだろう」

 ムカイも、ジェラート大佐と同じく、“それ”を察して言う。

「まあ、ね……」

 ジェラート大佐が相づちしながら、

「もうすこし……、様子見を、しようかな……?」

「ふ、ん……」

 と、ムカイが頷いた。

 それと、タイミングを同じくして、



「それに……? そろそろ、“来る”んじゃないかな――?」



 と、ジェラート大佐が、“ナニカ”を察したように、振り向かずに言った。

「ああ……」

 ムカイも、“それ”は同じであった。

 ひと呼吸おいて、

「むぅ――?」

 と、ムカイが、【気配】に反応した。

 その、ムカイとジェラート大佐の背後から、 



「コーン、コン♪」



 と、【キツネ】を真似る声がした。

「……!」

 ムカイと、

「……」

 と、ジェラート大佐が無言ながらも、

 ――くる、り……

 と、振り向く。


 ――スッ――


 そこにあった、姿――

 黒のアサシンドレス……ではなくて、流石に雪山の今回は、白の友禅の着物を羽織った、麗しい黒髪に狐耳の、女の【なり】をした者――

 すなわち、【妖狐】の神楽坂文の姿であった。

「ちっ――!! 妖狐かッ!!」

 ムカイが思わず、警戒に声をあげるも 

「あっ――!! キツネさぁーん!!」

「ああ”?」

 と、ヘラヘラした顔で喜んだように言うジェラート大佐に、「何言ってんだ、こいつ」との、拍子抜けをした顔をする。

 すると、

「はぁ~、い」

 と、妖狐が、ジェラート大佐の呼びかけに答えた。

 なお、「はぁ~い❤」とは、また違ったイントネーションで。

 さらにいえば、お決まりのように、【タヌキ】と言い間違えることなく。

 その妖狐に、

「ねえねえ♪ キツネ、さぁ~ん♪ 何が、好きィ~?」

 と、ふたたび、ジェラート大佐が聞いた。

「ふむ? 何が、とは――?」

 妖狐が聞き返すと、


「アイスだよ♪ 【17】の――♪」


 と、ニッコリと答えるジェラート大佐の手には、【17】のアイスがあった。

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