表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【追跡、こだま317号】  作者: 石田ヨネ
第七章 決着、解決へ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

46/53

46 まあ、いまでも、乗れるなら国鉄時代の車両に、乗りたいよね? 少し、遅くてもいいから




          (3)




 場面は変わって――

 また、雪山の下……ではあるものの、こんどは、森の中のこと。

 ジェラート大佐の兵隊たちと、そして、ムカイと交戦していた西京と瑠璃光寺のふたりへと、場面は変わる。


「む、ぅ……?」


 西京は、次なる襲撃を警戒して眉をひそめながらも、何か、“違和感”を感じていた。

 すなわち――

 先ほどまで、何とか撃退できていた雪と氷の兵隊たちに加え、彼らの精鋭というべきムカイの登場により、苦戦を強いられていたわけである。

 雑兵ぞうひょうたちの攻撃の間を縫って、散発的にこちらを狙ってくるムカイが厄介であったのだが、


 ――シー、ン……


 と、森の中は、いったん静まり返っていた。

 少なくとも、ふたたびムカイが出てくる気配は、無さそうであった。

 そうであるから、 

「た、太郎、さん……?」

「う、ん?」

「あの、軍服の――「――いや、アレは、たぶん……、国鉄時代の、制服だね」

 などと、途中で、西京が喋るのを被せて遮ったものの、「軍服の男の人、は?」と聞こうとしていたように、瑠璃光寺も、ムカイがいなくなったことに気がついていた。

「国鉄、時代――?」

 瑠璃光寺は、【国鉄】との言葉に、一瞬、ハテナマークを浮かべるものの、

「あっ、ああ……!」

 と、いちおう、“それ”が何であるのか、ピン――と来た。

 すると、

「ちょうど……、いや、もう、僕のちっちゃいころから、国鉄じゃなくってたけどね。まあ、ちっちゃい頃に観た、電車や新幹線のビデオなんかには、国鉄時代のものも、結構あった記憶があるね」

 と、西京が、こんなところで思い出す必要があるのか――? 幼いころの記憶とともに、国鉄と、その車両の姿を思い出して喋りはじめた。

「は、はいっ、」

 瑠璃光寺が、いちおう返事する。

 その、返事をしながらも、

(ち、ちっちゃい頃……?)

 と、『ちっちゃい』との言葉が、微妙に気になりつつ……


 また、西京が、

「いやぁ、国鉄とは、やっぱり、懐かしいよね。車両も、無骨だけど、個性的な車両ぞろいでね……、おっと――!!」

 と、懐かしんで話しながらも、

 ――ズキュ――、ズキューンッ……!!

 と、「おっと――!!」とか言いながらも、ほぼオートマチックかつ無感情な動作で、いつの間にか拳銃を撃っているという――!!

 その撃った先、


 ――ザザッ……


 と、残党のように現れた冷界の兵隊たちだったが、それら、2、3体が姿を見せた瞬間に、西京は速射し、殲滅していたわけである。

 その様子を、

「……」

 と、呆気に取られたように見ながらも、瑠璃光寺も、いちおう拳銃をかまえる。


 ――ザザッ、ザザッ――!!


 と、ふたたび、残党たちが現れる中、

「あの、緑とオレンジの、湘南カラーだったり……、キハの、赤い車両だったりが、好きだったね……。あ、あ……? あと、同じキハでもね、ベージュと赤い色のが、急行とか、特急の――」

「たっ? たろ、さん?」

 などと、ふたたび懐かしの鉄道トークをはじめる西京に、瑠璃光寺が、軽く引き気味に動揺し始めるも、

「まあ、いまでも、乗れるなら国鉄時代の車両に、乗りたいよね? 少し、遅くてもいいから」

「いっ、いやっ!? そ、そんなこと喋っている場合じゃ――」

 と、西京は喋り続けながらも、


 ――ズキューンッ!!

 ――ズキューンッ!!

 ――ズキューンッ……!!


 と、こんどは、「おっと――!!」などと、予備動作的な言葉を発することなく、いっさいの無感情で残党たちに速射を見舞っていた。

 登場したばかりの、雪と氷の残党兵たちだが、

 ――サ、ァァッ……

 と、西京の射撃は、ちゃんと命中しており、消滅してしまうという。

 その様子を見ながら、

「……」

 と、瑠璃光寺は、フリーズしたように沈黙した。

(い、いや……、まあ、撃退できているから……、この際、つっこまなくていいだろう)

 と、心の声が云わんかのように、何も言わないことにした。

 ついでに、

「……」

 と、チラリ……と見つつも、喋りながら無感情で射撃していた西京に、どこか、“サイコに近いナニカ”を感じつつ。


 そうして、残党たちの襲撃は止むと、

「こ、これで……、大丈夫ですかね?」

 と、念のため、確認する瑠璃光寺に、

「まあ、油断は、できないけどね……」

 と、西京が答える。

 最後に倒してから、それ以降、確かに残党は現れる気配は無くなっていた。

「その、“国鉄の人”がいなくなってから……、らくになりましたよね?」

 また、瑠璃光寺が、振り返りながら聞いた。

「うん。そうだね」

 西京が、返事をする。

 まあ、文脈を抜きにしてダイレクトに文面だけ受け取ると、『国鉄時代の人間が厄介、老害』みたいな、ナチュラルに毒のある文面だが……

 そのように、言葉を交わしながらも、

「――ってことは、もしかして……? 戦況の、変わり目ってところかな?」

 と、西京は言いながら、いまの状況を把握する。

 すなわち――

 残党が姿を見せなくなったということは、全滅した可能性がある。

 まあ、この関ケ原全体では、まだまだ残っており……、また、大量の雪から、兵力は再生産できるものの……、少なくとも、今この森近辺の、自分たちを追撃しにきた兵力に関しては、残ってはいないと思われる。

 また、ムカイも、どこへ行ったのだろうか――?

 姿を見せなくなったきり、ふたたび現れてくる気配は、無い――

 これは、どういうこと、だろうか――?

 ――と、西京が、そこまで思考していると、


「タヌ――、妖狐の、神楽坂さんが原因、ですかね……?」


 と、瑠璃光寺が、聞いてきた。

「ま、あ……、“それ”は、あるだろうね……」

 西京は、答えながらも、

「ジェラート大佐、だったか――? 僕たちを追撃しようと、あの、“国鉄の男”をつかわしたんだろうけどね? おそらく、タヌ……、キさんが、この現場――、いや、“現場”という言葉には、スケールが大きいけどね」

「まあ、これ、もう……、戦場の、スケールですもんね」

「うん。もし、タヌキさんが“こっち”に――、この関ケ原に、来る可能性があれば、ね? 僕たちの追撃なんかよりも、彼らの大将の――、ジェラート大佐とやらを、守るのが最優先になるだろうね」

「そう、すると……、“国鉄の人”は、新幹線のほうに、戻ったんですかね?」

「たぶん、ね……」

 と、ふたりは、ムカイの行動を推察する。


 また、

「すると? さっきの、狙撃も……?」

 と、瑠璃光寺は、ムカイとの交戦中に、“何者か”がムカイに対して狙撃してきたのを思い出した。

「い、や……? 狙撃、か……?」

 西京が、怪訝な顔をする。

 狙撃といった、妖力的な要素の無い――、むしろ、自分たちと同じく、“人間的な”攻撃である。

 自分たちに対する妖狐の援護であれば、それこそ、新幹線から逃走中に出てきた間欠泉のようなものや……、あるいは、何かオーラが出るとともに、魔法陣的なものが召還されたり、また、魔界植物などが出て来たりといった……、まあ、“魔法モノのようなビジュアル”の攻撃になるはずである。

 しかし、さきほどの狙撃は、そのまんまの狙撃であり……、魔法要素のない、至って通常兵器によるものだった。

 まあ、妖力による、“何らかのサポート的な力”くらいは、かけられているのかもしれないが。

 そのように、考えていたところ、



「――ふむ。“アレ”は、更年期のヤツの、だ」



 と、突然に、斜め頭上から声がした。

「――!?」

 西京が、まず気がつき、

「あっ――!?」

 と、瑠璃光寺も、一瞬遅れて気がついた。

 すなわち、彼らが気がついて、見た先――


「「た、タヌキさんッ――!!」」


 と、そこには、妖狐の神楽坂文の姿があった。

 そうして、妖狐の姿を確認するなり、

「おい、もういい加減にしろ、お前ら。何回も、タヌキでなくてキツネと言っておるだろうが。絶対に、わざとだろ」

 と、確かに、もう何度目の“タヌキ呼ばわり”か――? さすがの妖狐も、怒ってきた。

「「あっ――!?」」

 ふたりは、ハッ――!? としてみせながらも、

「すっ、すみませんッ――!!」

「すみません、キツネさん」

 と、おのおの、妖狐に謝った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ