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【追跡、こだま317号】  作者: 石田ヨネ
第七章 決着、解決へ

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42 小型で、折り畳み式の――しかしながら、即席で塹壕や“かまくら”を作ったり、近接戦用の武器にしてもヨシ、あるいは投てきしてもヨシ、しまいには、調理に用いてもヨシ――!! の、まさに万能アイテム




          (1)




 場面は変わって――

 関ケ原にて、立ち往生して雪に埋まる新幹線を見下ろす形で――、2キロメートルほどは離れている、雪山にて――


 先ほどまでF35戦闘機に乗って航行中だった、警察は特別調査課の室長こと、松本清水子の姿があった。

 なお、その松本の装いはというと、いつの間にか白づくめの、いかにも軍用戦闘に適した衣装を身にまとっていた、

「は、ぁ……」

 松本は、ため息をしながら、

「くっ、そぉ……、何で、“こんなこと”、しんといかないわけ」

 と、ボヤいた。

 ぼやきながらも、まるで、雪に潜むシモ・ヘイヘを彷彿とさせる、白づくめの戦闘装束に身を包んだ松本が手にしていたもの――

 白く塗られ、反射光も極限に抑えられたスナイパーライフル。

“それ”によって、“先ほどの狙撃”をやってみせたのは、この松本であった。

 それも、妖力仕込みの弾丸を、ムカイとジェラート大佐に向けて、シモ・ヘイヘもビックリなほどの精密射撃を――


 とはいえ、その先ほどの先ほどくらいの、2、30分くらい前には、『こち亀』並みのカジュアルさで名古屋の上空をF35戦闘機で飛行していた松本である。

 それが、気がついた時には、こんな関ケ原を見下ろす雪山の山腹で、シモ・ヘイヘまがいのことをしているという。

 ゆえに、ここに至るまでを振り返ると、こうである――



          ******




 ――キ、ィィン……!!


 と、360°の白一面、眩惑するような吹雪の中――ジェットエンジンの音がかき消されそうになりながらも、F35を操縦する松本は、関ケ原に近づいていた。

 ホワイトアウトしそうな中、伊吹山の、山頂付近が見えてきた。

 すると、

『――そろそろ、だぞ。更年期』

 と、無線から、妖狐の声がした。

「ああ? てか、だから、更年期やめろっての。殺すぞ」

 松本が、もはやキレ芸のような、デフォルトな反応をする。

 反応しつつ、続けて

「――で、あいつらの近くまで着いたから、どうすんの? このまま、降りろってわけ?」

『ああ』

 と、松本が聞くと、単刀直入すぎる答えが返ってきた。

 すなわち、ここから、降下しろというわけである。


 そうすると、

「いや? じゃあ、“この機体”は、どうするわけ?」

 と、“当たりまえの疑問”を、松本は口にした。

 いちおうは、操縦をしている自分。

 それが、操縦士が“いなくなった”あとは、どうするのか――?

 かつて、操縦士が脱出してしまったソ連の戦闘機が、そのまま真っ直ぐ飛び続け、オランダかどこかの民家に突っ込んだという事件を思い出す。

 もしくは、オート・パイロット機能はあるのだろうが、こんな吹雪の中で最寄りの基地・飛行場まで着陸してくれるまで、AIというか自動運転――、否、自動操縦技術は進歩したのだろうか?

 そのように考えていると、 

『まあ、心配をするな。あとは、我が妖力とで……、近くの、自衛隊の基地にでも着陸させる』

 と、妖狐が言った。

「いや、無人機の着陸て、」

 松本が、つっこみたくも気がかりになる。

 F35機体が、緊急着陸してきたはいいものの、フタを開けてみれば操縦士が乗っていないという。

 ちょっとした、ミステリというか、ホラー感の漂う絵面が想像される。


 そこへ、

『まあ、ちょっとした騒ぎくらいにはなるだろうが……、いまは、そうは言ってる暇はない』

 妖狐が、やむを得ないと言ってきた。

「まあ、な、」

 と、そこは、松本も認めるところである。

『いま現在、西京のヤツらが、冷界人たちに追われておる――』

「……」

 と、妖狐の言葉に、松本も緊迫して、

『ゆえに、早急に、サポートしてやる必要がある』

「ああ……」

 と、頷いた。

 ただ、頷きつつも、

「――てか? そしたら、そもそも、アンタだけでよくね? 何で? 私まで?」

 と、今さらながら、つっこんで聞くと、

『ふむ。いいから、降りるのだ』

 と、妖狐の言葉とともに、


 ――ふ、わっ……


 と、松本の身体が、操縦席から浮いた。

「わ、わっ――!?」

 松本が、思わず驚くと同時に、

 ――パ、カッ――

 と、キャノピーまでも開く。

 そうして、

「お、おい!! タヌキッ!!」

『ふむ。その、“まさか”だ――』

「いや、まさかなんて言ってないし!!」

 と、「まさか」なんて言ってないものの、予感を察した松本が叫ぶ。

 そうして、


 ――ブ、ワンッ――!!


 と、松本は宙へと――、吹雪く伊吹山・関ケ原の上空へと放り出される!!

 ――ヒュゥゥッー――!!

 と、降下しながら、

「うっわッ!! さっむ!!」

 寒さに思わず声を上げつつ、

「――てか、このままどうすんだよ!!」

『ふむ。どこか、ジェラート大佐のヤツらを見下ろせる、山の中腹がよいだろおうな』

「いや、場所じゃなくて!! どう、降りんだよ!!」

『まあ、貴様なら、問題なかろう? 下は、雪だし』

「問題なかろうじゃねぇよ!! 雪だし、じゃねぇよ!!」

 と、さらりと答える妖狐に、松本はキレつっこみをする。

 まあ、この松本清水子も、異能力を使える側の人間であるから、べつに、高所から着地、着雪できなくもない。

 まあ、高度千メートル以上からの雪面への降下など、どんな第二次大戦中の逸話かという話であるが。

 ――とはいえ、あと数百メートルを切った直前のところで、


 ――バァッ、サァァッ――!!


 と、そこはちゃんと、“パラシュートらしきもの”が――、魔界植物の、形状がパラシュートみたいな大きな白い花が、松本の背中から開いた。

「おっ――!?」

 松本は驚く。

 突然の“パラシュート”が開いたことと、人間を疑うような性格の妖狐が、いちおうパラシュートを召還してくれたことの両方に対してであるが。

 すなわち、半分本気で、そのままパラシュート無しで雪面に着雪するつもりでいたのだが。

 それはさておき、

 ――ヒュー……

 と、敵に察知されない充分な低空から、ゆっくり降下し、


 ――ス、トンッ……


 と、松本は着雪した。

 その着地着雪のさまは、さながら戦闘のプロの空挺隊員と比べても見事である。 

 ふだんは、半ばキレ芸のようにデスク仕事しているのがデフォなものの、行動力と戦闘力も相応に高いことが見て取れる。

 それはさておき、

「ふぅ……」

 と、松本は体勢を整えつつ、降下後の一服のように、ため息した。

 同時に、

 ――フ、ァァン……

 と、松本の身に、“白いオーラ”が、まるでスキャンするように足元から頭まで“走った”。

「ん――?」

 松本が、ハテナマークを浮かべると同時に気がつく。 

 白いオーラのスキャンとともに、松本の身にまとう上下の衣装が――、白一色の、雪中戦用の装備ともいえるものへと変化していく。

 それに伴って、

「あれ? 寒く、なくなった……?」

 と、先ほどまで感じていた寒さが、一切合切、感じなくなっていた。

 また、衣装とともに、

 ――ジャ、カッ――

 と、松本の手元には、スナイパー・ライフル。

「あ、ん……? ライ、フル、と……、これは?」

 そして、小型で、折り畳み式の――しかしながら、即席で塹壕や“かまくら”を作ったり、近接戦用の武器にしてもヨシ、あるいは投てきしてもヨシ、しまいには、調理に用いてもヨシ――!! の、まさに万能アイテム。

 すなわち、白く塗られた、軍用スコップ、あるいは軍用シャベルであった。

 それらを、手に取って確認しつつ、

「ん、だよ? これで、戦えってことかよ?」

 松本が、顔をしかめて聞くと、

『もち、』

 との答えが、返ってきた。

「もち、じゃねぇっての、クソが、」

 松本が、露骨に「クソが、」と吐き捨てながら、

『とりあえず、いま、あのパパ活コンビがピンチだろう。それで、援護射撃ならぬ、援護の狙撃でもしてやるのだ』

「はぁ、」

 と、ダルそうに返事をしつつ、

『そのあとは、ヤツらの頭――、ジェラート大佐とやらを狙え』

「あ、ぁ? そんで、お前はどうすんだよ?」

『ふむ。それで攪乱したうえで、私が、ジェラートのヤツを制圧しにかかろう』

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