表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【追跡、こだま317号】  作者: 石田ヨネ
第二章 東京駅、こだま317号

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/53

4 ちなみに、るりさんは、何が好きなんだい? 僕は、ラムレーズンか、チョコレーズン何だけど




          (1)




 正午、すこし過ぎのこと――

 西京太郎と瑠璃光寺玉のふたりは、さっそく、東京駅へと調査に赴いていた。

 特別調査課にある【VR室】――

 大規模なスパコンや量子コンピュータを組み合わせた情報蒐集・分析施設――と、妖狐の【妖力】と連携することで、アベックたちの位置はつかんでいた。

 彼らは、まだ、東京駅にいるとのことである。


「やれやれ……、【東京駅】とは、ね」

 西京が言って、

「はい」

 と、瑠璃光寺が頷づいた。

「まあ、もともと、駅弁を買いに行く予定だったんだけどね」

「ですね」

 と、ふたりは単調に言葉をかわしながらも、アベックがいるであろう、“だいたいの場所”へと向かっていく。

「駅弁、買えますかねえ?」

 瑠璃光寺が、ここで、駅弁の心配をした。

「そうだよね、買えないと、困っちゃうよね。まあ、彼ら、アベックが、どう動くかにもよるかな」

 西京が、答える。

 このふたりは、調査対象の【アベック】よりも、駅弁のほうが気になるのだろう。


 そうして歩いているうちに、

「――ん? あれ……、ですかね?」

 と、まず、瑠璃光寺が気がつき、

「う、ん――?」

 ここで、西京も、【その姿】を見つけた。

 すなわち――

 ふたりの目線の先、15から20メートルほどのところに、例のアベックの姿があった。 

 北欧メルヘンの世界から出てきたような、ややカラフルな白地に、袖や襟まわりには金の装飾。

 そして、やはり同じようにカラフルな、ロシア帽――

「何か、メルヘンの、王子様か、貴公子のみたいな雰囲気ですね」

 瑠璃光寺が言った。

「まあ、そうだねぇ」

 西京が、とりあえず相づちする。

 また、男の隣にいる、女の姿も確認しておく。

 黒の、高級そうな毛皮のコートに、毛皮の帽子。

 ブロンドヘアの男とは違って黒髪だが、その肌も、雪のように白かった。

「何か、連れの女の人も、絵画にでも出てきそう」

 思わず見惚れるように言う瑠璃光寺に、

「う、ん……」

 と、西京が、微妙な相づちをする。


 そのようにして、アベックたちの姿を確認している中、 

「――ん?」

 瑠璃光寺が、ふと、【何か】に気がづいた。

「たろ、さん?」

「うん? どうしたん、だい?」

 そうして、恐る恐ると、

「【あれ】って……、【アイス】、ですよね?」

「アイ、ス……? ッ――!?」

 とここで、ふたりは、ロシア帽の男の手に【アイス】があることを確認する。

 鋭い円錐をひっくり返したような、色とりどりのアイスを3つほど、

「あれ、は……? 【17】アイス、ですよね?」

「うん。みたい、だね……。カプリコじゃ、なければね……」

 ふたりは、互いに確認する。

 まあ、少なくともカプリコではないだろう。

「しかも、【17】アイスを……、3つも、いっぺんにですか……」

「う、む……」

 ふたりは、男がアイスを3つも持っていることに、半ば驚愕する。

「これは、冷気を司る異界人だから、なんだろうか? それとも、単純にアイスが、好きなんだろうか?」

「まあ、【31】でも、3つくらい乗っけますもんね。アイスクリーム好きだと、ありえる範疇……、ですかね……」

「ちなみに、るりさんは、【何が好き】なんだい? 僕は、ラムレーズンか、チョコレーズン何だけど」

「そう、ですねぇ……? 私も、ラムレーズンは好きなほうなんですけど……、抹茶、ですかね。最近だと、抹茶ストロベリーが、良いですよね」

 などと、ふたりはいつの間にか、【アイスクリーム】についての話題に変わる。

 また、ここで、


 ――ヴヴ、ヴ、ヴ……!


 と、西京のスマホが、振動した。

「おっ? 松もっちゃん、からか」

「ああ、」

 と、電話の主が、松本清水子であることを確認する。

 電話に出るなり、

『お~い、どうだぁ? 西京?』

 と、松本が聞いてきた。

「ああ、今ねぇ、いちおう、【彼ら】の姿を捕捉したよ」

 西京は電話でやり取りしながらも、改札口へと入る。

「いま、ちょうど、改札をくぐってさ」

『うい。そのまま、追ってよ』

 と、カップルもとい、アベックのあとを追う。

 電話をつなげたまま、しばらく歩くこと、彼らは新幹線の改札口へと向かっており、

「どうやら、新幹線乗り場に行くみたいだね」

『ほう、』

 と、ここで、

「【新幹線】、ですか?」

 と、隣をついて歩く瑠璃光寺が、西京の言葉に反応した。

「どの新幹線に、乗るんですかね?」

 瑠璃光寺が、西京のほうを向いて聞く。

 その声は、電話の向こうの松本にも聞こえ、

『まあ、どれでもいいよ。うちら、調査目的だったら、どの新幹線にも乗れるじゃん』

「は、はいっ、」

 と、松本が、瑠璃光寺にも聞こえるように答えた。

 まあ、松本の言ったとおり、西京たちの特別調査課であるが、調査・捜査目的であれば、政治家先生がするように、新幹線でも特急でも乗り放題であるという。


「そしたら、さ? 松もっちゃん、僕たち、駅弁買っていいかい?」

『ああ、早く買えよ。それで逃したら、殺すかんな』

「そんな、物騒な、」

 西京が松本と話しつつ、

「瑠璃さん、ちょっと、取り急ぎ、駅弁を頼む」

「琵琶湖の、水止めたろか弁当ですね!!」

「うん。とりあえず、2つ」

 と、瑠璃光寺に駅弁を頼んだ。

 というか、「とりあえず2つ」というが、さすがに3つは買わないだろうに。


 その間も、西京は、アベックの姿を追い続ける。

 そうしてしばらくして、

「――太郎さん! 買ってきました!」

「ああっ、ありがとう」

 と、瑠璃光寺が戻ってきた。

 また、タイミングよく、アベックも動く。

 彼らが、階段でホームへと向かっているのが見える。

 その後を、西京と瑠璃光寺も追う。

 そうして、ホームまで出て、列車を待つアベックの姿を確認するに、

「う、うん……?」

 西京は、怪訝な顔をした。

「【こだま号】、か?」

 と、電光掲示板と併せて確認するに――、このまま待っていて来る列車というのは、のぞみ号でも、ひかり号でもなくて、こだま号であるようで、

「どうやら……、彼らは、【こだま317号】に乗るようだね」

『ああ”? 【こだま】、だって――?』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ