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【追跡、こだま317号】  作者: 石田善二郎
第六章 関ヶ原、雪中戦

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39/53

39 すこし港区のラウンジ嬢のようでありながらも





          (4)




 ――ゴゴ、ゴゴゴ……!!


 と、雪の積もる森の中――

 緊張感が、さらに高まる。

 西京太郎と瑠璃光寺玉のふたりであるが、

「「……」」 

 と、無言で、張りつめた表情をしていた。

 それは、まるで、漫画に描かれる、汗がしたたりそうな表情で。

 立ち往生した新幹線からの脱出と、ジェラート大佐らの兵隊および雪・氷でできた軍用動物などとの戦闘。

 多勢に無勢ながらも、何とか持ちこたえていたところ、これまでの兵隊とはレベルの違うムカイが登場し、ふたたび状況は不利になる。

 ゆえに、ふたりがそのような表情をするのも、無理はない。

「るりさん……」

「はい……」

 ふたりは、“それ”だけの言葉をかわる。

 まるで、以心伝心――

 そして、次の瞬間!!


 ――ザザ、ザザザ!!


 と、西京と瑠璃光寺は、スタートダッシュを切るかのように動く!!

 そして、数十メートル先の、木々の間隙から、


 ――ゆ、らッ――!!


 と、軍服を思わせるような運転士姿で、ムカイの姿が現われるなり、

「「――!!」」

 西京と瑠璃光寺の目が開く。

 その時には、もうすでに、

 ――ジャ、キッ――!!

 と、運転士姿のムカイは、ライフルを構えており


 ――パンッ!! パーンッ――!!


 と、こちらに向かって速射を見舞う!!

 熱を奪う、ほぼ絶対零度の弾丸――!!

 その数発が、西京と瑠璃光寺のふたりを正確無比に狙う!!

 それを、ほぼ寸でのところで、

「ッ――!!」

「くっ!!」

 と、ふたりはほとんど超人的な、第六感とでもいうべ反応で!! ギリッ、ギリのところで回避する!!

 だが、避ければ終わりというわけではなく、

「ぐっ――!?」

 と、降り積もった雪やら、元からの地形だったり、隠れた雪の下の障害物のせいか? 西京をもってしても、バランスを崩しそうになる。

「た、太郎さんッ!!」

 瑠璃光寺は、とっさに西京を気にしながらも、

「あッ――!?」

 と、数十メートル先の、動くムカイに気がついた。

 その次の瞬間には、

「――!!」

 と、早撃ちするがごとく!! 銃口をムカイに向け、


 ――ズキューン!! 

 ――ズキューンッ!!


 と、ムカイがこちらに撃つよりも速く!! 先ほどのお返しのように反撃を見まう!!

 この身のこなしも、すこし港区のラウンジ嬢のようでありながらも、流石は特別調査課、西京の相方とでもいうべき能力である。

 しかし、眼前の向こうでは、

「シュッ――!!」

 と、ムカイのほうも鬼神のような身のこなしであり!! それすらも交わしてしまう!!


「す、すまんッ!! るりさん!!」

「い、いえ!!」

 西京が、すこし雪に塗れながらも起き上がり、詫びながら体勢を整える。

 そうして、すぐに戦闘態勢をとりながら、

「おそらく……、また、間を空けて、仕掛けてくるだろう」

「で、ですよね」

 と、ふたりは言葉をかわす。

 森というか山の入り口の、樹々の間隙や、地形の死角――、

 それらの中に潜り込むようにして、次に、どこから仕掛けてくるか分からないようにするのだろう。

 いつ仕掛けてくるかわからないというのが続くことが、緊張感と、その緩みによる油断をもたらすのだろう。


 そうであるから、西京と瑠璃光寺のふたりも、同様に雪の森の中に姿を隠そうと思うも、その暇は無かった――

 そうしようと思うよりも前に、ムカイの登場によって忘れかけていた、雪や氷の雑兵ぞうひょうたちが、

 ――ザザッ……!!

 ――ザザッ!!

 と、姿を現した。

「むぅ――!!」

「あっ――!!」

 西京と瑠璃光寺のふたりは、これには、すぐに反応する。

 とっさに確認できたのは、数人というか数体、10体の兵士たち。

 しかし、その間から、


「「「ハッ――!!」」」


 と、ふたたび!! 操られた乗客乗員たちで編成された、雪合戦部隊が現れ!! 雪玉の投てきを見舞わんとする!!

 そうして、

 ――バ、シュッ――!!

 ――バ、シュッ――!!

 ――バ、シュッ――!!

 と、ややタイミングをずらし!! 追尾するかのような雪玉が襲いかかる!!

「くっ!! 勘弁してほしいね!! これは!!」

「わ、わっ!!」

 ふたりは、わずかに避けれる空間のスペースを瞬時に判断しながら、何とかかわす!!

 そして、

「ふ、んッ――!!」

「はッ――!!」

 と、ふたりは避けつつ同時に!! 銃を構えて、彼らの急所でないところを狙い、


 ――ズキューン!! 

 ――ズキューンッ!!


 と、撃ち返す!!

 すこし離れたところからは、

「ぐわッ!?」

「ぐぉぉ!!」

 などと声が聞こえ、こちらのほうも無力化していく。

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