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【追跡、こだま317号】  作者: 石田ヨネ
第五章 激突、ジェラート大佐!!

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28 やっぱり空も飛べるはず



          (6)




 場面は、変わってのこと。

 

 ――キ、ィィ……、ン……!!


 と、少し静かにして、音が“後方”へと流れていく。

 楕円のように湾曲した、“ガラス面のようなナニカ”――。

 車窓のように見える外の様子はというと、吹雪きによってホワイトアウトするところと、その所々(ところどころ)の合間からは、富士山を含め、東海道の山々が“下のほう”で流れていく様が、チラリと覗く。


 すなわち――、特別調査課の室長こと、松本清水子は空中にいた。

 まあ、何が『すなわち』かという話であるのだが、車窓に見立てたキャノピーに、およそ込み合った新幹線並みに窮屈ではあるものの、比べ物にならないほどのい金額の費やされた、最新鋭のグラス・コックピット席――

 そうである――

 ここでふたたび、すなわちのこと、空中は空中でも、松本がいるのは、ジェット戦闘機の操縦席。

 そして、その機種はというと、


「――ったく、何で? F35、だってんだよ?」


 と、やれやれとボヤいたように、まさに最新鋭のステルス単発戦闘機こと、F35戦闘機だった。

 まあ、何ゆえに、こんなF35に乗っているのかはさておき、松本が言ったのに対して、

『ふむ。仕方なかろう。貴様が物理的に、最速かつ、隠密に現場に行くには……、“こいつ”しか無かろうに』

 と、声が、無線を通じて答えてきた。

 松本は、同時にチラッと、横を見た。

 F35から、少しだけ離れたところの空。

 そこには、やっぱり空も飛べるはずの設定の、妖狐こと神楽坂文の姿があった

「まあ、そうだけどよ、」

 松本は、すこし何か言いたそうに返した。


 ちなみに、この松本であるが、万が一の際のためのあらゆる学習や訓練をしており、戦闘機の操縦もできないこともない。

 そうした能力と、VR室の零泉によるサポート、また、妖狐の妖力により、このF35の飛行を可能としている。

 ただ、ここで少し疑問が残る。

 というのは、つい先ほどまでは、東京は丸の内の、特別調査課の建物内にいたはずの松本である。

 そこから、静岡の東側を飛行しているわけであり、あまりにも場面が飛び過ぎている感は否めない。

 ゆえに、その経緯はというと、こうである――



          ******



 すこし、時間は戻って――

 東京、丸の内にある特別調査課の、松本の調査室にて。


 スマホを手にしながら、松本清水子は眉をよせたキレ顔で、その通話を聞いていた。

『さあ、無理ぽよー!! おぉー、手ぇ上げぽよー!! ――と、泣きつくのだ、更年期。あっ? ちなみに、今日で、便秘何日目なのだ?』

 と、ここでも聞こえた声は、妖狐の神楽坂文の声である。

 やや煽りの入ったような声、無いように、

「あぁ”!? ブチ殺すぞ!! こんの、くそポンコツくそダヌキ!!」

 と、松本がデスクを

 ――ド、ンッ――!!

 と叩きかねない勢いで、キレてみせる。

 それを見て、

「「ひッ!? ひぃぃッ!!」」

 と、部下の零泉円子と黒桐廉太郎がビクッ――!! と驚き、ふたりして身を寄せ合うようにして怯える。


 そんな部下たちをよそに、

「てか? 何なんだよ、「ぽよ」って? ふざけてんのか、コラ?」

 松本が、まだキレ顔で言う。

『フハハ、まあ、そういきり立つな』

「いきり立つなじゃねぇよ、死ねよ」

『ふむ? では、どうする? 私の助けは、要らないってことでよいのか? というか、いつも、ちゃっかり私の妖力を少し使っているだろう、貴様たち』

「おめえも、人んとこのVR室、勝手に使ってんだろが、タヌキ」

 と、松本と妖狐は少しやり合いながら、

『それで、どうするのだ? ああ? あと、何日便秘してるのかも、ちゃんと答えるのを忘れずにな』

「それ聞いてどうすんだよ? てか、デリカシーなさすぎだろ、死ねよ」 

 松本は、イラっとしながら答える。

 

 答えつつも、同時に松本は考える――

 まあ、殺意の湧くような妖狐であるが……、とはいえ、このタヌキに頼るしか、恐らくは、打つ手は無い。

 もし、ジェラート大佐ら冷界人たちの動きが急展開をみせ、その能力というのが、自分たちの想像以上のものであるとすれば――

「……」

 と、松本は顎に手をあてながら、頭の中で、シミュレーションしてみる。

 いま、米原‐関ケ原周辺に降る、大量の雪。

 それをもとにして、ジェラート大佐らが、いっきに兵力を増大させるとする。

 そうすると、最悪の場合、半日もしくは数時間内に、中京から関西地区に侵攻する――、すなわち、京都、大阪、名古屋を含めた大都市を凍らせ、甚大な雪をもたらし、機能不全にする。

 そうして、そこまで拡大し、占拠した冷界の兵力が……、もしかすると、次の日か二日後には、東京に迫るのかもしれない。


 そのように想定すると、今回の追跡調査というのは、心底、“甘かった”ことになる。

 すこしでも、“そうする可能性”というものが在るのであれば、強引にでも、先んじてアベックたちを捕まえるべく、動けばよかったのかもしれない。

 まあ、まだ、“コト”は起きてないから何とも言えない。

 それに、そこまでできる人手が、この特別調査課にあるかというと、怪しい。

 ちなみに、刑事ドラマのように、何かコトが起きてから調べるだけでなく、『コトが起きる前に、未然に防ぐ』というのも、この特別調査課の任務である。

 まあ、そんな、アニメ『サイコパス』のようなものを求められても困るのだが、“それ”に通ずるような調査をしなければならない。

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