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第26話 ゲーマーのおっさんの『日常風景(お宅紹介)』。

 防衛力の強化の合間合間に生活環境も整え、どうにかこうにか人並みの生活が送れるようになってきたジーナ家。

 メイドさんたちのお宅訪問のついで――というわけでもないが、竪穴式の小屋から変わった部分……変わったどころか原型がないんだけどさ。


 まずは、屋敷の外観というか敷地全体の構造。


 敷地は東西南北、それぞれ30メートル四方。

 高さ3メートル・幅1メートルの防壁で四方を囲み、さらにその外側、10メートルほどの空き地――罠地帯デッドゾーンをはさんで、高さ1.5メートルの木柵が張り巡らされている。

 ……壁も柵も、すでに下部50センチくらいは雪に埋もれてしまっているが。


 村へと続く西側には、目立つように大きな門。

 逆に山へと繋がる東側には、目立たぬように隠し扉を設置してある。

 西門はスロープ付きで若干の高低差をつけてはいるものの、冬場は内側からの雪かきは必須だ。


 門をくぐると、真正面に『ドン!』と鎮座するのは寝殿造りの屋敷。

 見た目としては『屋敷』というより『下側の庇のない大仏殿』といったところか。

 雪を落とすため、急勾配に設えた屋根も相まってなかなかの威圧感の建造物となっている。


 本館から右手に伸びる、短い渡り廊下の先には風呂とトイレを備えた離れ。

 裏手には氷室スペース――食料保存用の雪穴だ。


 本館の『階下(一階?)』部分は、半分が資材倉庫で、残りの半分は俺の作業スペース。

 石材加工台に木工用の机、衣類づくりのための木製足踏みミシン。

 獲物を捌くための食肉加工台に料理のための原始的な竈。

 石鹸を作るために追加させられた『薬品加工台』まで、設備すべてをここに設置。


 俺とジーナさんが寝起きをしているのはもちろん二階にある大部屋だ。

 ……面倒だし、もう『二階』でいいよね?


 部屋の西側にベッド――簀子ベッドならぬ、木枠の中に木の板を並べ、上に数枚のオオカミの毛皮を敷いただけの寝床――が二つ。

 中央には大きめのダイニングテーブル。

 机の大きさに合わせて椅子は八脚あるんだけど……メイドさんたちも使ったし、無駄ではなかったと思いたい。


 とはいえ、家具らしいものといえばあとは木の板というか、簡素な間仕切り板があるだけなんだけどさ。質素ではあるけどそれなりに快適。

 もちろん、年頃のジーナさんのためにもさっさと個室を用意するべきなのはわかってるんだけど……村の連中のせいで、そこまで手が回っていないのが現状で。

 そもそも、家具どうこう以前の話で『物がまったく足りていない』んだよ!!


 風呂の新築はしたんだけどね?

 入浴後に使えるバスタオルなど存在するはずもなく。

 使えるのは薄擦れ、くたびれた手拭いが一枚だけ。


 もちろん下着だって、俺がこの世界(?)に来たときの一組しかない。

 つまり洗濯中は『ジャージでぶらぶら』or『Tシャツにパンツ』。

 このどちらかで過ごさなきゃならないわけだ。


 ジーナさんにしても、小汚い毛皮のチョッキの下は『ゴワゴワした貫頭衣のような何か』が一枚だけ。

 下半身にはパンツ代わりであろう、ふんどしのような布を巻いてたんだけど、上はおっぱ……ありのままの姿だったわけだ。


 というかさ。彼女の巻いていた下布がもう……ね。

 ビックリするくらい……いや、この話はこれくらいで止めておこう。

 さいわいにも大きさというか長さがそれなりにあったので、ドロワースみたいな形のパンツに仕立て直したんだけど……一枚だけでは焼け石に水。



 ……いや、確かに家の中は暖かいけどね?


「えっと、ジーナさん、さすがにその姿は……」


「どうしたのパパ?

 もしかして脱いだほうがいい?」


「違う、そうじゃない」


 風呂上がりにパンイチ姿で首から手拭いをぶら下げた『昭和のおっさんスタイル』でうろうろするのは止めようね?



 変わったものと言えば、部屋の四隅に設置してある焚き火もか?

 さすがにそのままだと家が燃えているようで見た目が悪かったので、箱型の外枠を設置。なんちゃってストーブの完成である。

 とはいえ、素材は木材しか無いので、燃えているように見えるのは変わらない気もするが……。


 大部屋はこれくらいにして(これくらいしかないので?)続いては離れ部分。

 続いてというか、もうそこしか残ってないんだけどな。


 一つ目はトイレ。……といっても、構造はいたってシンプルなモノで。

 四角い木箱の中央に穴を開けて蓋を付けただけ。大人用のおまる。

 それほどの意味合いは無いが。

 ……それほどのっ! 意味合いはっ! 無いがっ! 男女別となっている。


 あと、アレやソレやが溜まったら時は焼却炉に放り込んで焼いてしまう。

 これが本当の焼けく……コホン。

 もちろんトイレットペーパーなどという文明の利器は存在しない。

 というか、ゲーム内でもウォシュ……『温水洗浄便座』はあったけど、紙は無かったんだよなぁ。


 てことで、ソレをコレするために必要なのが『葉っぱ』。

 ……いや、葉っぱってなんだよ……。


 しかも、その葉っぱですらそれほどのストックがあるわけではないので、基本は水を柄杓で……。

 大丈夫、我が家には石鹸がある!

 こまめな手洗いすらしておけばどうということはないのだ!!


 続いてはお風呂。

 いわゆる五右衛門風呂ではなく、レンガを積んで作った釜で湯を沸かすタイプ。

 この風呂釜、どう見ても『水漏れ不可避』って感じの構造をしてるんだけど……そこはゲーム仕様でなんとかなっているらしく。


 というか、湯沸かしより排水のほうが問題だったんだよな……。

 土管ならぬ『木の管』を屋敷――外壁の外、柵の向こうまで伸ばし、『さぁ、森へお帰り……』システムを完成させるのに丸一日を費やしたもん。

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