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デュラ子

マリサ「さっぶ!旦那様!こんな所に人がいるんですか?!」

ベッカー「マリサ、きついなら戻れ!」

いいえ、伴侶ですもの、とマリサは食い下がる。

一面吹雪、遮るものがない。暗く白い平地を北へと進む。野生の、毛がボサボサの牛が身を寄せ合ってる横を通る。

リュプケ「ヘパ、話だと(ザーッ)、見えるザーッが?」

ベッカー『前なんて見えやしないぞ!』

この吹雪じゃ、ネクロイドのフクロウも飛ばせない。

地球のヘソ。そこから出てくる奴らは、寒さに弱い。

なので、氷魔法が使える魔女に助力を求める。

力尽きたマリサをベッカーは背負う、ムニュゥ!

デカい。

ベッカー「いや、今はそれどころではない。」

防寒具、魔女の保温護符をもってしてもこの環境はこたえる。生身の人間だと倒れるのは当たり前か。

リュプケ「エ、ミア、を残して(ザーッ)、正解だったな。」

幽世通信の中継機としてヘパの所にエレミアを残してきた。さすがに、こんなに北は中継機がないと通信ができない。

ついにベッカーも視界が霞んできた。

もうだめかも知れない。

そんな時、前から来る人影が見えた。

女?

そこでベッカーの意識は絶えた。


ベッカーは暖かな布団の感覚と薪の弾ける音で目が覚めた。

ベッカー「ここは?」

横にはマリサが眠っている。

うーん、と言って、頭をベッカーにこすりつける。マーキングか?

ベッカーが辺りを見渡すと、さっきの女性がいた。

赤いローブ

首から黒紫のオーラがでてて、そこにあるはずの顔がない。

デュラハン「あー、起きましたね。」

ベッドの下から頭が転がり出てくる。

ベッカーはその異様さに飛び起きる。

魔女「お前らを運んだのはそいつだ、感謝しな。」

暖炉の前でくつろぐ艷やかな黒髪を腰まで伸ばした女が言う。

魔女「デュラ子、説明してやれ。」

デュラハンは顔を左手に持って話し始めた。

デュラ子「アナタの口を通してアナタの主人から話を聞きました。」

魔女「地球のヘソの奴等をやるって?めんどくさ!」

デュラ子「ということなので、私が同行しましょう。」

魔女「は?断るんじゃないのか?」

よそ者に義理立てするなよ。この魔女は極度に人(?)が嫌いらしい。

デュラ子「アナタの役に立ちたいのです。」

魔女「ははは!そいつに惚れたのか?変な趣味。」

ベッカーは自分を指さす。デュラ子の顔が赤くなる。

厄年の女運とは……

まぁ、デュラハンのプロポーションは整ってて、顔も美人だが……

何かを感じ取ったマリサが目を覚ましてベッカーに抱きつく。

マリサ「この人は渡しません!」

と言ったはいいが、目の前の異様な光景にすぐに気絶した。

デュラ子「どうでしょう?多妻でも大丈夫な方ですか?」

魔女は大笑いしている。

一夫多妻、ネクロイドに信仰とは?

ベッカー「とりあえず、光の剣を作るのに地球のへそに、行かなきゃならない。力を貸してくれ。」

ニヤニヤした魔女と女性デュラハンに頭を下げる。

魔女「そんなに国の存亡が気になるのかね?まあ、いいや。そいつは好きにしろ。」

ベッカー「ありがとうございます。」

デュラ子「行きましょう。また吹雪になる前に。」


市街地擬態、普通の人々に溶け込むため、

この世の理から外れた、魔女とその生産物達の努力。

デュラ子「前は必要じゃなかったですよ?」

うん、お前さんの感想だな。普通の人はデュラハンなんか見たら卒倒するわ。

とりあえず、首の上に頭を乗せて、氷でつないでもらった。

デュラ子「生きづらい世の中になりました。」

生きてんのかソレ?

マリサ「何の話です?」

ベッカー「マリサは俺のツギハギの体を見てなんとも無いのか?」

マリサ「え?そういう部族の慣習があるというくらいで人を差別しませんよ!」

……入れ墨的な?

ベッカー達はヘパのいる街まで戻ってきていた。

この酒場で、エレミアと落ち合うことになってる。

ベッカー『また、迷子か?』

リュプケ「街道沿いのこの酒場を選んだんだが?遅いな。」

マリサはまた大盛りの食事をがっついている。

デュラ子「この方は燃費が……」

マリサ「そうですか?うちの家系では普通です。」

モグモグ、モグモグ

ベッカー「小さいロバートがいるみたいだ。」

巨人と狂人。“う”が入るか入らないかの違いかぁ……

エレミア「あ、いたいた!おーい!」

マリサ「おーい、エレちゃん。こっちこっち。」

エレミアの口元にクリームがついている。

ベッカー「……おい。」

リュプケ「まぁまぁ。」

エレミア「そちらは?」

ベッカー『リュプケから話は聞いてるだろ?』

エレミア「あ、協力者ですね!」

デュラ子「お世話になります。氷の魔女(代理)です。」

マリサ「この方は魔法使いさんですよ!我が旦那さまの宿敵、地球のヘソにいる化け物退治に協力してくれるのです。エレちゃん。」

リュプケ「……そういうことにしとけお前ら。」

ベッカーとエレミアは顔を見合わせた。


マリサ「……その、旦那様?」

ベッカー「なんだい?」

宿屋で宿泊、2人づつに別れて2部屋借りる。

節約のために、ベッドはセミダブル、二人でねるには少々狭い。体の大きいベッカーとデュラハンでは寝れないので自ずとこのペアになる。

資金はリュプケから逐次投入してくれるが。

リュプケ「お前のつけだ。」とのこと。

一体、事が済んだら何をされるんだろう?

マリサはハートにYESの文字をあしらった枕を手に

こちらを見ている。

バタン!何かを察知したデュラ子が部屋に入ってくる。

デュラ子「抜け駆けはダメです。」

どうしよう?

リュプケ「いいじゃないの、帰ってきたら白い汁は出るように改造してやるよ。」

やめてくれ……

リュプケ「なんなら、そいつもネクロイドにするか?」

うーん、この何かのネジが外れた思考よ。

魔女と人間の関係とは?

リュプケ「私たち魔女はお前ら人間より、高位の存在なのさ。はるか昔からね。」

話すと長くなるから、と魔女は切り上げた。

迫る2つの影、北国の夜は長い……

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