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女騎士=サン

リュプケ「この街道を西に進めば光の剣を作れる魔女のところに着く。」

ベッカーは地平線の彼方まで続く一本道を呆然と眺めていた。

エレミア「さすがに休ませてくださいよー。」

へたり込む美少女を背負っていけるか?途中で疲労骨折しそうだ。

2人は相談してヒッチハイクをすることにした。

しばらくするとロバのカゴ車が通ったので交渉してみる。

御者「バスの運賃払うなら乗せてやんべ。」

どうやら、村と村の間、街道を往復するワンマンバスらしい。

ベッカー『……拳銃だ』

御者は拳銃を腰から下げていた。

エレミア「なんでもいいから乗りましょうよ!」

2人は運賃を先払いしてカゴ車に乗り込んだ。

助かったー!エレミアがでかい声で言う。のんきなもんだ。カゴ車には何人か乗っていた。行商人?女子供、旅行客だろうか?


ベッカー『地平線の向こうは雑木林か。ここかな?』

ベッカーの悪い予想は当たった。草むらの中にゴブリンの頭がちらほら見える。

アイツラは今でも弓矢だ、拳銃には敵わないだろう。

御者も奴らに気づいて拳銃を抜いて空に一発。

ズドォォン!

辺りに銃声がこだまする。

それで、ひるんで逃げればいいものを、ゴブリンは草むらを抜けて駆け寄ってきた。

御者の拳銃は帝国軍の標準的な六発装填のリボルバーだ。すぐにお役御免になる。

御者はカゴの客に叫んだ。

御者「おい!あんたらも、覚悟決めな!」

エレミア「こちらの戦力を見誤りましたね。」

ベッカー「だな。」

ベッカー「エレミアは左側を片付けてくれ!」

エレミアは背中に背負ったロンパイアに手をかけた。

ゴブリンの一人がカゴ車の後ろ側から中を覗こうと顔を出す。

ビシッ!

眉間に一発。ベッカーのリボルバーが火を吹く。それと同時にエレミアが外に飛び出した。

ベッカー「そっちは右側……」

まぁ、どちらでもいいか。ベッカーも抜刀すると外に出た。

ベッカー「五行の剣、火。」剣が炎をまとう。

剣を受け止めても炎がゴブリンに降りかかる。

ゴブリンは絶命した。それを見た残りはカゴ車を遠巻きに距離を取る。

ベッカー「魔女仕込みの魔法剣だ。他のも試してみるか?」

リュプケ「コイツラ、勇猛さだけは一丁前だからな。」

ゴブリンは被害が甚大でも立ち向かってくる。昔は優秀な戦士だったんだろうが……

エレミア「ベッカー、睨み合いになったよー。」

カゴ車の反対側のエレミアの声がする。

そこへ、進行方向から駆けてくる騎兵が一人。

「とーう!」手にしたメイスをゴブリンの頭に振り下ろす。

二人に出鼻をくじかれ、容赦ない新手が来たとなれば、

もう退却しかない。ゴブリン達はホウホウのテイで逃げ出した。

騎士「むむむ、逃げるか卑怯者め!」

ハハハハハ!声高らかに騎兵は笑う。声からして女か?

短髪にしていたから、男かと思ったがそうではないらしい。

ベッカー「……」

自分も目は細い方だが、その女性も体外、目が細い。

というか、小さい。全体的に。

女騎士「やあやぁ!我こそは、○○村一の騎士!マリサ•キハーノ!貴殿ら、見事な武者働きであったな。」

聞き馴染みのない村の名前を言われましても……

馬が回る。マリサはその度に、頭をクルクルした。

それにエレミアも負けじと答えた。

エレミア「我は、エレミア•アルカデルト!むぐぐ!」

バッカ!生まれを言うな!ベッカーは咄嗟にエレミアの口を塞いだ。

マリサ「むむ!騎士の名乗りを妨害するだけでなく、姫を白昼堂々襲うとは!そこになおれ!成敗してくれる野盗め!」

ベッカー「うわー、なんでそうなる!」

そこに、御者が割って入る。

御者「助かりました、キハーノ殿下!」

マリサ「うむ!貴殿もケガはないようで何よりだ!」

マリサは聞けばこの街道の用心棒として次の村に滞在しているらしい。

御者「見ての通りでさぁ。(ぼそっ)」

皆まで言うな、今のやり取りでこの女騎士がどんな人物か大体わかった。

エレミア「なんです?私に見とれてもだめですよ!」

ベッカーは深い溜息を吐いた。


マリサ「あ、そうだ。」

村についてカゴ車から降りる。エレミアが無事に着いたと、伸びをしていると、女騎士は馬から降りてベッカーに向き直った。

ベッカー「なんでしょうか、騎士様。」

マリサ「野盗。貴様腕が立つようだな?」

まだ、野盗扱いされてるー!?メイスを構えている。

マリサ「私とここで一騎打ちだ!名を聞こう!」

こうなりゃ、黙らすしか無い。

ベッカー「ジョージ•ベッカーだ。」

ベッカーも抜刀する。

エレミア「頑張って騎士様ー!」

いや、そっち応援すんのかい……

リュプケ「……手加減してやれ。」

二三手打ち合う、一撃が重い。このままでは剣が折れる。自分もただでは済まなさそうだ。

こりゃ、魔法剣の出番か?けど、あれは殺傷力が強すぎる。

ベッカー『どうする?』

リュプケ「相手を殺さない程度に出力調整してやる。」

ベッカー『そんなことできるのか?』

リュプケ「私は魔女だぞ?お前等人間とは違う。」

目の前では、マリサがジリジリと間合いを詰めている。

やるしか無い。

ベッカー「五行の剣、金。」剣が超振動して、鈍く光る。

上段からの袈裟斬り。マリサはメイスでそれを受けるが、

スパンッ!

斬鉄。マリサは身につけていた鎧ごと切断された。

女騎士が倒れる。二人の決闘を遠巻きに見ていた誰もがそう思った。

リュプケ「大丈夫だ。生きてる。」

切断された鎧だけが落ちる、ハラッ、そこにはたわわなお山がさらけ出された。

ベッカー「うわー!」

マリサ「きゃー!」

場は騒然となった。

リュプケ「あーぁ、私は知らない。後始末はシッカリしろよな。」

ベッカー「俺のせい!?」

マリサ「もう、お嫁に行けない……」

メソメソする女騎士を急いで滞在しているという宿屋まで連れて行く。

ベッカー「エレミア、替えの服ないか?」

エレミア「えー、後は私がやるから、ベッカーは出てて。」

バタン。

ベッカーは部屋の外に追い出された。バツがすごく悪い。成り行きとは言え、とんでもないことをしたのではないだろうか?

ベッカー「レオナールだったらこんな時はタバコでも吸いに行くんだろうが……」

ベッカーは先の大戦で亡くした旧友のことを思い出した。アイツならこんな時どうしてた?

ベッカーはその足で宿屋の経営してる酒場に降りていってビールを注文した。

ベッカー「……酔えないな。」

リュプケ「脳内麻薬か?ちょっと待ってろ。」

ぐわん。酔った感覚がベッカーを襲う。ちょっと気持ち悪い。

リュプケ「まあ、戦闘補助魔法だからな。」

無いよりマシか?ベッカーは生ぬるいビールを煽った。

横に旧友の巨人の姿が現れる。

ベッカー「ロバート。」

幻影。巨人が体を折りたたんで人間の席に座り、鹿の後ろ足の丸焼きを頬張っている。

ロバートの幻影「なんだよ?食べねーのか?」

隣でお前が食ってると、こっちもお腹いっぱいになる。

ロバートの幻影「へ!ちげーねーぜ!」

ガハハと幻影は豪快に笑う。

ベッカー「この地酒、冷やしたらウマイんだろうな。」

ビールが進んだ。そうこうしてると2階からエレミアとマリサが降りてくる。

二人とも神妙な面持ちである。

エレミア『既婚者だっていったんですけどねぇ?』

ん?小さい声で言われても分からない。

マリサ「貴殿は強い、私も同行させてもらえないだろうか?!」

リュプケ「それくらいなら、いいんじゃないか?」

ベッカーも魔女の言葉を復唱する。

マリサ「それで、その……私の伴侶になってほしい!」

ベッカーはその言葉に酔いが覚めた。

ベッカー「ちょっと待ちなさい、お嬢さん。」

考え直せ。

リュプケ「とりあえず、事が終わるまで好きにさせとけ。それから、私の所まで連れてこい。」

ベッカー『どうするんだ?』

リュプケ「記憶を消して、リリースするだけだよ。」


マリサが仲間に加わった。

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