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シャドーブレイド

起きろ。

何かにそう呼ばれてベッカーは目を覚ました。まだ、夜中だ、時間的に就寝してからそんなにたってない。

部屋には窓から月明かりが差し込んでいるが真っ暗だ。

リュプケ「おいおい、誰だよ、あれ。」

部屋の中に誰かいる。

かしゃ。

そいつは一歩前に出る。

シャドーブレイド「俺はシャドーブレイド。あの巨人をやったのはお前だな?」

シャドーブレイドは月明かりの中に進み出た。フルプレートのアーマーの男が立っている。兜の奥の赤い目がギラギラ光っている。

リュプケ「ありゃ、さまよう鎧だぜ。」

ベッカーは裸で丸腰だ。横にマリサも(裸で)寝ている。

シャドーブレイド「俺は丸腰の奴は切らない。女も切らない。用意しろ。待ってやる。」

律儀なやつで助かった。少しは話せるのか?

ベッカー「お前の目的は?」

ベッカーは急いで身支度をした。

シャドーブレイド「●×○✩だ。」

ベッカー「何?」

リュプケ「アイツ、古いぞ。」

どこかに操ってる魔女がいる?

リュプケ「そんな風じゃなさそうな?」

ベッカーがしたくが済むとシャドーブレイドは外に出た。ベッカーもそれに続く。

誰も居ない石畳の広場。月明かりがさまよう鎧を鈍く照らす。

シャドーブレイド「ここなら、よかろう。」

シャドーブレイドは剣を抜いた。その刀身は黒い瘴気をまとっている。

ベッカー「……」

ビシュン!

シャドーブレイド「ほお、それか?お前の得物は、イイネ。」

シャドーブレイドはそう言うと、踏み込んで袈裟斬りを放ってきた。ベッカーは半身で避けると光の剣でシャドーブレイドに切りかかったが、シャドーブレイドはそれを剣で受け止めた。

バチぃ!

ベッカー「光の剣を受けた!?」

リュプケ「奴の持ってるのはデスブリンガーだ!」

鉄も魔法も切り裂く光の剣をデスブリンガーなら受け止められる。ベッカーはそんな物があるのかと驚愕した。

シャドーブレイド「俺の初手を受けて倒れてないのは、お前が初めてだ。ますます、いいねぇ。」

狂人の魂。ベッカーはそう感じた。

ベッカー「五行の剣、木。」

光の剣に特に変わったとこはないが、たしかにコレも魔法剣の一つだった。

シャドーブレイド「ほお、魔法剣の使い手か。ならばこちらも本気を出さんとな。」

今度はベッカーから一閃。

シャドーブレイドは後に飛んで剣をかわした。

シャドーブレイド「危ない、危ない。接触発動系だろ?それ。」

知ってやがる、一筋縄ではいかないぞ。

リュプケ「奴は私に気づいてない。そこが狙い目だ。左手をまた貸してもらうぞ?ベッカー。」

ベッカー『今度はふっとばさないでくれよ?』

リュプケ「うまく、調整してやるよ。」

シャドーブレイドが迫ってくる。

ベッカーは左手をシャドーブレイドに掲げた。

ズバッ!

時空ごと切断する魔女の戦略魔法。シャドーブレイドは真っ二つになった。

リュプケ「ザマァ見ろ!」

ベッカーの左腕に麻痺が来る、反動がある。

前は反動で吹き飛んだんだから今回のはマシな方か。

さまよう鎧は地面に音を立てて崩れ落ちた。

ベッカーが光の剣をしまって、広場を後にした。

ベッカー「こりゃ悪夢だな。」


ベッカーは何日ぶりかの母国の土を踏んだ。

エレミア「やっと着きましたぁ。」

北の小国から検問所を抜けて母国に入り、

ベッカー達はベッカーの故郷を目指した。

マリサ「我が伴侶、息子さんがいるんですか?!」

ベッカー「マリサを会わせようと思って。」

ベッカーは久しぶりに自宅の扉を開けた。

ベッカー「ただいまぁ。」

リビングにいた、片目がメカクレの青年が本から玄関を見やる。

ベッカーの息子「おかえり、父さん。今回は長く居られるのかい?」

ベッカー「ジョン、お前に紹介したい人がいるんだ。再婚相手のマリサだ。」

マリサ「お初にお目にかかる……。マリサ、です。」

あれ?かわいい。急にしおらしい。

ジョン「父さん、再婚したのか、おめでとう!」

素直な子だ。マリサもなんだかモジモジしている。

ジョン「母さんにも報告しなきゃ。」

墓参りか。

ベッカー「よぅし、3人で報告に行こう。」

エレミアは手持ち無沙汰なので、街道のパフェの出店に向かった。

息子は大学2年、かわいい後妻も出来て言う事無しだ。

ベッカー「マリサは家で息子の世話を頼むよ。」

マリサ「また置いてくのですか?」

ベッカー「帝国とドンパチやってるとこに行くんだ。マリサも母国の奴らと戦いたくはなかろう?」

マリサ「そりゃ、そうですけども……」

マリサはベッカーに頭を擦り付ける。

ジョン『マーキングだ。』

ベッカー「明日、出発だ。今夜はお祝いと行こう!」


リュプケ「おいおい、まじかよ。ベッカー起きろ。」

なんだよ、まだ夜じゃないか、寝かせてくれよ。

体は疲れなくても、気は疲れるんだから。

シャドーブレイド「こんな所に居たのか。表にでろ。」

ベッカーもその声に飛び起きた。なぜ奴がココに?

ベッカー『やったはずじゃ?!』

リュプケ「知るか。今調べてるところだ。時間を稼げ。」

マリサ「ムニャムニャ、かわいい奥さん、グヘヘ。」

シャドーブレイド「なんだ、寝言か。急げ。決着をつけよう。」

夜空に月が高く、明るく夜の村を照らす。

シャドーブレイド「ここは狭い道しか無いな。まぁいい、抜け。そして名を聞こう。」

ベッカー「ジョージ•ベッカーだ。」

シャドーブレイドはデスブリンガーを掲げた。

シャドーブレイド「俺に手傷を与えた敵に、そんな奴に出会えた事を神に感謝しよう。」

リュプケ「やろう、神前試合のつもりか?」

抜刀と共に斬りかかる。

シャドーブレイドはその斬撃をデスブリンガーでいなす。

シャドーブレイド「居合?そんな事もできるのか。いいねぇ。」

ゾン!

ベッカーの今まで居た地面が割れる。

リュプケ「時空割断魔法!?私のをコピーしてやがる!」

シャドーブレイド「フハハ、わかる、わかるぞ。魔女の声がする。」

リュプケ「くそう!バレた!どうする?」

ベッカー『どうするって、奴について何かわかったことは?!』

リュプケ「奴の鎧の何処かに印があって、ソレを斬るしか無い!」

シャドーブレイド「教えないぞ?」

そこにエレミアが割って入る。

ベッカー「エレミア!」

エレミア「騒がしいと思ってきてみれば、なんです?コイツ?」

シャドーブレイド「ほぉ……お前も中々の使い手のようだな。」

ベッカー「あれはさまよう鎧だ。」

エレミアにリュプケが圧縮言語で今までの経緯を説明する。

エレミア『なるほど、印ですか。』

リュプケ「ここはエレミアにかけよう。」

シャドーブレイドが新手に目標を切り替えてジリジリと間合いを詰める。なるほど、ロンパイアの間合い、長物相手は慣れてないのか。

モーニングスター付きだから尚更わからないだろう。

エレミア「フッ!」ロンパイアから繰り出す斬撃。シャドーブレイドはデスブリンガーで受ける。

エレミア「お前は次に“覚えた”と言う。」

シャドーブレイド「確かにその得物の間合いは覚えた。」

エレミアはくるくる周りながらロンパイアを放った。

ブオン!

シャドーブレイドの右の手甲を切断する。

シャドーブレイド「うぅ、なんだその剣は……なぜ俺の印の……。」ガシャァ!

シャドーブレイドは倒された。

モーニングスターを器用に持ってロンパイアの刀身を普段の間合いより先の相手に当てた。

エレミア「アルカデルト流は一子相伝、門外不出。敵は必ず仕留める。です。」

リュプケ「アンチインビジブル•アイ。幽世の匂いを感知する目だ。コイツの家系しか持ってない。」

エレミア「貸しですよ?ベッカー。私にパフェをおごりなさい。」

ベッカー「エレミアはすごい少女だ。」

エレミア「美少女ですよ?」(エッヘン!)

美少女はぺったんこの胸を張った。



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