第04話 巨獣変化
●登場人物紹介
ナリーマ・シホ 女神『ダ』に仕える斎王。118歳。女性。
ホーミ・マヤカナ 三獣巫女戦士のリーダー。
ナキーア・リモカナ 三獣巫女戦士のメンバー。
エミナ・ロアーム 三獣巫女戦士のメンバー。
侵入者 女神『ダ』の神域に侵入した謎の存在。
大広間に映し出された仮想幻影では、巨大土偶兵と"侵入者"との激しい戦いが映し出されていた。
巨大土偶兵の巨大目玉が、激しく輝き中性子妖力光線が、"侵入者"向けて放射される。
中性子妖力光線の影響で、冬でも青々と茂る妖松や妖杉等の針妖樹が、一瞬で枯れ木に変わる。
対人兵器を枠を超える巨大土偶兵と破壊妖力攻撃を"侵入者"は、防御結界を張り巡らして致命的な中世妖力光線を防ぐ。
「対軍団巨大ゴーレム兵ですか、少しは愚禿を楽しませてくれそうですね」
巨大土偶兵の両手が、肘から弾け飛び"侵入者"に襲い掛かる。
瞬時に飛翔拳を避ける"侵入者"だが、取り外された肘からは妖炎火が、魂まで焼き尽くす、妖の炎が墨染めの作務衣を纏う"侵入者"を襲うが防御結界を張り巡らした"侵入者"には、魂迄、焼き尽くす妖の火炎放射が届く事は無い。
頭巾の下の白い翁の面からは、年齢不明のバスの声が朗々と周囲に響き渡る。
「流石に対軍団ゴーレム兵ですね。愚禿も少しは本気を戦った方が良さそうですね」
""侵入者"は右拳に魔力を集中させると素早く動きで跳躍して巨大土偶兵の懐に飛び込むと拳を打ち込む。
右拳から巨大土偶兵に打ち込まれた超破壊振動は巨大土偶の胴体を木端微塵に破壊して、巨大土偶の胴体に捕らわれていた、哀れな戦士の魂魄を開放した。
しかし、頭部と両手腕は無傷で浮遊して"侵入者"に襲い掛かる。
「一筋縄でいきませんね。面倒ですから城門と共に始末しますか、次元刀乱舞」
生き残っていた巨大土偶の頭部、両手腕は浮遊したまま、切り刻まれ妖力を失い落下していく。
城門周囲の広場には、飛翔拳の激突で地面は陥没し、冬季でも青々と茂っていた針妖樹は巨大土偶の目玉から放射された中性子妖力光線の為、無残な枯れ果てている。
閉鎖魔法で固くと閉ざされた城門は次元刀で切り刻まれ閉ざされた扉を開いた。
開錠された城門の向側、神殿の前には乳防具と腰防具を纏う3名の巫女戦士が、"侵入者"を待ち受けていた。
3名の巫女戦士の身長は、小柄な"侵入者"と変わらぬ160センチ前後の身長だが彼女達の武具は、3名の巫女戦士の身長と変わらぬ金砕棒だ。
リーダ格の巫女戦士が"侵入者"に宣戦布告をする。
「自分は三獣巫女戦士のリーダー、不定形のホーミ・マヤカナ」
律儀な事に三獣巫女戦士のメンバー2名が自己紹介を始る。
義理堅い事だ。
「あたくしは、三獣巫女戦士のメンバー、牙のナキーア・リモカナ」
「うちは、鉤爪のエミナ・ロアーム、ここから先は私達、三獣巫女戦士が死守して、斎王様の下に行かせませんよ」
「お嬢さん達は、妖斎王ナリーマ・シホの式神達か、愚禿に貧弱な棍棒の打撃は効果は無いぞ」
「「「問答無用」」」」と3重奏が寒々とした前庭に響く。
女の細腕で巨大な凶器、金砕棒を軽々と振り回すと、"侵入者"に襲い掛かった。
三獣巫女戦士攻撃は、力任せに金砕棒で打ち据え敵を殲滅する、単純明快な線法だが、単純な故に敵に与えるダメージも大きく、彼女達に金砕棒の一撃を食らえば良くて、全身骨折の重傷、悪くすれば一撃で死に至る凶悪な打撃攻撃だ。
鉤牙のナキーアと爪のエミナが振るう金砕棒が、""侵入者"を打て据える。
屈強な戦士、騎士を一撃で葬る事の出来る致命的な打撃だが、"侵入者"は平然と両手で致命的な打撃を受け止める。
「学習能力の無い、お嬢さん達ですね。愚禿には金砕棒の打撃は効果ないと言っているだろうが」
"侵入者"の両手に受け止められた金砕棒は、超振動により木端微塵に砕け散る。
「あたくし達の一撃は挨拶代わり、あたくし達の本気を今からお見せしますわ」
「神域を穢す、異物はウチが排除します」
砕け散った金砕棒の残骸を投げ捨てると、三獣巫女戦士のメンバー2名、ナキーアとエナミの肉体が、変貌を始める。
胸と腰を防御する防具は、質量保存の法則を無視して、膨張する身体で弾け飛び、ナキーアの白い肌は熊の剛毛に覆われ、口は大きく裂け犬歯は長く伸びた。
華奢で色白の美少女ホーミは百獣の王、巨大な剣歯熊に変身した。
秀でた額と大きな目が魅力的な美女、爪のエナミは、恐鳥疾風鷲に変身して黒衣を纏う""侵入者"に襲い掛かる。
戦斧を思わせる鋭い嘴が降りお降ろされ、かぎ爪が生えた逞しい脚が、剣歯熊に変身した牙のナキーアの鋭い剣歯が"侵入者"に襲い掛かる。
疾風鷲の嘴と剣歯熊の牙が確かに、"侵入者"を確かに捕らえられたと、思われた瞬間、"侵入者”は不意に姿を消し、戦斧を思わせる巨大な嘴も、倭刀の様な犬歯も空を切る。
短距離瞬間移動で、危機を回避した"侵入者"の声は何時もと変わらない感情を一切感じさせ無い。
「巨獣変化の術ですか、少しは厄介な相手ですね。次元刀一閃」
2匹の巨獣、剣歯熊、疾風鷲の首が切り降ろされ前庭に引き詰められた石畳み転がり落ちるが、新しい首が生え始める。
「女神『ダ』に仕える巫女戦士、侍女は不老不死の効能があね人魚の肉を食しているわ。例え肢体を切り刻まれても、再生して復活するわ」
新しい首が生えた牙のナキーアと爪のエナミが、鋭い視線を向けると"侵入者"ーの攻撃を再開する。
疾風鷲が役に立た翼を広れ逞しい足に生えた鋭い鉤爪で、""侵入者"を切り裂こうとするが、防御結界に防がれて、恐ろしい爪が、""侵入者"の墨染めの作務衣に届く事は決してない。
「強靭な生命力を誇る巨獣に不老不死の効能がある人魚の肉で、生命力を補強しているとは、愚禿を楽しませてくれますね。強靭な生命力は根底から全て焼き尽くす事が最善の対策ですね」
無言呪文で全てを焼き尽くす核融合の火球、太陽の子を太陽のコロナより5体、召喚。
生きる核融合の炎、太陽の子達は、不死身の巨獣、剣歯熊と疾風鷲に襲い掛かった。
強靭な生命力を不老不死の効能のある人魚の肉で補強されている2匹の巨獣は、この世の全て魂迄燃やし尽くす核融合の炎に成す術も無く焼き尽くされ黒焦げになり、やがては全ての細胞を焼き尽くし後には、一握りの灰塵が残された。
""侵入者"が無言呪文で呼び起こした一陣の旋風により、灰塵は全て吹き飛ばされ、女神『ダ』神殿の前庭には、暫しの静けさが訪れた。
この作品はフィクションであり、実在する、人物・地名・団体とは一切関係ありません。
誤字、脱字だらけの拙い小説ですが、応援宜しくお願いします。
又、誤字・脱字のご指摘とご感想もお待ちしています。