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第03話 侵入者

●登場人物紹介

ナリーマ・シホ 女神『ダ』に仕える斎王。118歳。女性。

イーユ・イツツ ナリーマの側近。侍女長。

侵入者 女神『ダ』の神域に侵入した謎の存在。

 侍女長イーユが、差し出した紫水晶の杯に、なみなみと注がれた賢人葡萄酒を啜りながらナリーマは、大広間に仮想幻術で映し出された、"侵入者"の姿を仔細に観察した。


 頭巾の付いた墨染めの作務衣(さむい)は、神々に仕える神官、魔法使い、妖術師が好んで、纏う衣装だが、"侵入者"は、頭巾を目深に被り貌は白い翁の面に、隠されている為、""侵入者"の容姿や表情を読取る事は出来ない。


「破邪魔法を使えるから、女神『ダ』に敵対する邪神に仕える魔法使いかしら ?」


「斎王様、わたくしはその可能性は低いと思います。わたくしの考えでは女神『ダ』教団に敵対勢力に雇われた、魔法戦士だと思います」


 女神『ダ』教団は、東渤海王国で強大な権力を振るう女神『ダ』教団だが、強大な権力を誇ろ故に敵対勢力も多数存在している。


「我と女神『ダ』に敵対勢力は、死の沙漠の女神『イ』教団か、大聖洋の島々の女神『ベ』教団しか思い当たらないわね」


 女神『イ』は、豊穣と子孫繁栄、女神『ベ』は大漁と愛を司る為、教義が似ている3つの教団関係者と信者の仲は悪いが、女神『ダ』の斎王であるナリーマ刺客を送る事は無い。


 教団のトップに刺客を送る事より、各教団には成すべき事が沢山ある。


 教義こそ被るが、死の沙漠を拠点として活動している女神『イ』教団、大聖洋の臍と呼ばれる南海のの孤島、ルノーホを拠点に布教している、女神『ベ』教団と、大陸の東端の東渤海王国で布教している女神『ダ』教団とはトラブルが発生した事は無い。


 女神『ダ』教団の公式記録に記されている女神『ベ』教団とのトラブルは、東渤海王国の魚村に漂着した女神『ベ』の信者と漁村の女神『ダ』の信者が、喧嘩をして女神『ダ』の敬虔な信者が鼻血を流したと、記録されているのみである。


「敵対する教団からの刺客の可能性は低いわね」


「わたくしも同意見です。侵入者は何者ですか ?」


「女神『ダ』の供物として我が教団に召し上げられた、生娘達の親が、雇った冒険者かも知れないわね。騎士爵の姫君、大商人の令嬢等を供物と召し上げたから恨みを買っても不思議ではないわ」


「騎士爵達や大商人達も喜んで、自らの実の娘を供物として女神『ダ』とナリーマ様に差し出しました。生娘達を差し出しと事で繁栄が約束された親御達が、教団と斎王様を恨む事は無い筈です」


「女神『ダ』の供物として捧げられた乙女達は、魂は吸魂され身体は抜け殻だが、生きた屍と化した娘達の身体は、式神の器として役立つからな」


「わたくしに、第3騎士爵の姫君の身体を与えて頂き感謝しています」と、イーユ。


 大広間の空間に映し出された仮想幻術には、"侵入者"と埴輪兵団との戦いが映し出されていた。


 土偶兵は妊婦を模して造られたゴーレムだが、埴輪兵は鎧を纏った戦士を模して造られたゴーレムである。


 埴輪兵は、鋭く研ぎ澄まされた剣に電撃を纏わせて、黒衣の"侵入者"に切りかかる。


 埴輪兵の鋭い剣戟を紙一重で交わし、一度は翁の面の顎髭が、埴輪兵の電撃剣が掠めた。


 "侵入者"慌てる事無く破邪魔法を発動させ、墨染めの作務衣を纏った"侵入者"身体から破邪の光が広がり、埴輪兵に中に捕らわれた哀れな亡者の魂魄を開放する筈だが、埴輪兵には何の変化も起こらない。


「破邪魔法は対策済みですか。少し遊びますか。暫く埴輪兵達と遊びますが、次の遊び相手を用意してくださいね。斎王ナリーマ・シホさん」


 監視式神からは映像だけで無く音声も送られてくるので、大迫力で埴輪兵と"侵入者"との剣戟を大迫力で鑑賞する事が出来る。


 黒漆塗りの玉座の腰掛てナリーマは、監視式神からリアルタイムで送られてくる驚愕の映像に眼が離す事が出来なかった。


 埴輪兵の電撃剣を紙一重で交わし続けていた"侵入者"が反撃に転じたのだった。


 墨染めの手袋に手刀にして、埴輪兵の電撃剣と鍔迫り合いを始め、暫くは拮抗したが続いたが、乾いた音を立てて埴輪兵の剣はへし折れた。


 手刀に光刃を纏わせ、一体目の埴輪兵が袈裟懸けに切り裂かれ、二体目には、立て一文字に切り裂かれた。


 残された8体の埴輪兵は、不利を悟り一気呵成に黒衣の"侵入者"に電撃剣で切りかかるが、埴輪兵達の鋭い剣先は"侵入者"を捕らえる事は無く虚しく空を切る。


 剣先が"侵入者"を捕らえた、瞬間に陽炎の様に揺らぎ"侵入者"の姿は消え去り、8体の埴輪兵は木端微塵に砕け散り、埴輪兵に捕らわれた哀れな亡者の魂魄は解放され輪廻の輪に戻っていた。


 "侵入者"は、監視式神を通して女神『ダ』の妖斎王ナリーマ・シホに語り掛ける。


愚禿(ぐとく)を1分も楽しませるとは流石、女神『ダ』斎王ナリーマさんですね。次の趣向は巨大土偶兵ですか。暫くは楽しめそうですね」


 城門を守護する様に城門の左側に聳えたつ巨大土偶が突如動き出し、不遜な"侵入者"を排除する為に襲い掛かる。


 "侵入者"は己の行く手を立塞がった土偶兵、埴輪兵を排除して遂に、閉ざされた神殿の城門に辿り着く。


 荒ぶる女神『ダ』の神殿と神域は、一部の敬虔な信者が、巫女、侍女達との愛の行為と女神を称える儀式に参加する時のみに立入を許される神域なのである。


 神殿と神域に許可なく立ち入った者達は、神域を穢す異物として土偶兵、埴輪兵により問答無用に攻撃を受けて排除される。


 何故、""侵入者""禁断の神域に不法に侵入して迄、生殖と愛欲の女神『ダ』の神殿を目指すか ?


 彼、又は『それ』が荒ぶる女神『ダ』の敬虔な信者とは考えられない。


 大広間の送信される仮想現実で巨大土偶兵と黒衣の"侵入者"一進一退の激しい、戦いの銅鑼は打ち鳴らさた。

この作品はフィクションであり、実在する、人物・地名・団体とは一切関係ありません。

誤字、脱字だらけの拙い小説ですが、応援宜しくお願いします。

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