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第01話 酒池肉林の宴

●登場人物紹介

ナリーマ・シホ 女神『ダ』に仕える斎王。118歳。女性。

カルハ・シマーコ ナリーマの側近。巫女兵長。

イーユ・イツツ ナリーマの側近。侍女長。

侵入者 女神『ダ』の神域に侵入した謎の存在。

※当小説は、最終回まで19時に更新します。

 大陸の東の果て、大地と海が交差する岬の上に、煉瓦と砂岩で建てられた陰鬱な神殿が聳えている。


 窓一つ無い陰鬱の神殿の大広間には、魔法の青白い光に煌々と照らされ、黒檀の卓に大兎、大鼠の丸焼きや不老長寿の効能がある人面魚の刺身等等が、黒檀に精緻な螺鈿細工をされた天板の上に所狭しと並べられている。


 男女が絡みあう図案が描かれた陶製酒器には、度数の高い盗人酒や幻覚椰子酒が、なみなみと注がれている。


 素肌の上半身に法被(はっぴ)を羽織り下半身に腰布以外は身に着けていない虚つな目をした、娘達がドラム、鉄琴、横笛で劣情を激しく刺激する妖しげな旋律を紡ぎ出していた。


 上半身に法被以外は何一つ身に着けていない数名の男達は、度数の高い盗人酒に酔い、妖しい旋律に酔い、室内に漂う催淫効果のあるお香に酔い、そした何よりも酒池肉林の宴に酔いしれていた。


 男達は、金の首輪、腕輪、足輪以外は何一つ身に着けていない、全身を紅で彩られた侍女達が、男女絡みあう淫靡な図柄が描かれた酒器に、なみなみと注がれた盗人酒、幻覚椰子酒を飲み干し、切り分けられた大兎、大鼠の肉塊に噛り付く。


 虚つな目をした、娘達が奏でる妖しげな旋律に酔い、青白い光を照らされた大広間に濃霧の様に漂う酔い、催淫効果のある盗人酒や幻覚椰子酒に酔いしれた男達の眼に血走り激しいく掻き立てられた欲情の為に爛々と輝いている。


 己を縛る柵から己を解放された男達は、浴びる様に盗人酒や幻覚椰子酒を飲み、大兎や大鼠の肉塊を貪り、一糸纏わぬ姿を紅に彩った侍女達と激しく愛を交わしや野獣の様な叫び声をあげている。


 官能と劣情を刺激する蠱惑的で妖しげな旋律を奏でる娘達と同様に全裸を紅で彩った侍女達も虚つな目をしている。


 大広間に様に漂うお香の煙、理性を麻痺させ劣情を際限なく刺激する妖しげな旋律、催淫効果の幻覚椰子酒の酔いで、理性の箍が外れた男達は、法被を脱ぎ捨てると全裸を紅に彩られた侍女達と愛を交わす。


 全裸に法被と腰布を纏た女楽師達は、バチで激しく太鼓を打ち鳴らし、横笛を吹き鳴らす。


 妖しげな旋律と野獣の様な男の叫び声、虚つな眼をした侍女達が絶頂を迎えたのか、紅に彩れた口からは、喘ぎ、呻き、嬌声が催淫効果が、ある香の煙が漂う大広間に響き、妖しげな旋律と3重奏を奏でる。


 楽師により、銅鑼が激しく連打された後、演奏は止み煙が漂う室内には激しい息遣いと、微かな喘ぎ声以外は静寂が訪れた。


 人々を幻夢郷に誘い性欲を際限なく刺激する妖しげな煙が漂う大広間にハスキーな女の声が朗々と響き渡る。


「敬虔な信者の皆様、今宴はお楽しみ頂けましたか ? 宴は豊穣と愛の女神に供物を捧げた後も続きますので、日頃の柵を忘れて心ゆく迄、食欲と性欲を満たしてお楽しみください」



 黒漆塗り金蒔絵、精巧な螺鈿細工の玉座に腰かけた黒い長髪と白い肌、切れ長の目をした清楚で妖しげな美女が、神殿の主、妖斎王ナリーマ・シホだ。


 玉座に腰かけるナリーマは、艶やかな黒髪を複雑な形に結い上げ、髪を纏める簪には、炎金剛石、氷紅玉、海蒼玉等が照明魔石の青白い光の下、魂を迄、魅せる妖しい輝きを放っている。


 細身に身体に牡丹と椿の大輪がデザインされた膝上寸の着物ドレスを纏ったナリーマは紫水晶の杯に、なみなみと満たされた賢人葡萄酒を一気に飲み干すと、声高らかに儀式の開始を宣言する。


「巫女兵長よ、女神『ダ』に捧げる供物の生娘達を連れて来なさい」


「斎王様、かしこまりました」


 白い肌に胸を防御する乳武具と腰を防御する武具と草履を纏った巫女兵長が、脇に控えていた巫女兵に合図すると、数名の巫女兵に連れられ透ける白い布地の貫通衣以外は身に纏ていない、10名の供物の穢れを知らぬ乙女達が、香の煙が漂う大広間に入室してきた。


 16歳~20歳迄の穢れの知らぬ乙女達が、潤年の元日に豊穣と愛の女神『ダ』に捧げるのが、古から続く東渤海王国の習わしだ。


 供物の娘達は媚薬を溶かした薬湯で身を清め、媚薬成分が含まれる幻影椿油で全姿をマッサージされ、既に正気を失い虚つな眼をして呆けた笑みを張り付けている。


 供物の乙女達は、複雑な神聖文字が描かれた魔法陣を導かれた。


「今から、女神『ダ』を降臨させる呪文を唱えます。信者の皆さんも豊穣と子孫繁栄を願い女神ダに祈りを捧げましょう」


 女神『ダ』の斎王ナリーマと信者達が祈りを唱えると、結界に閉ざされた結界内に形容し難い何者かが、降臨した。


 不定形な心霊体で構成された禍々しい黒い光で構成された三面六臂の女体と表現すれば結界内に現れた何者かを表現したら伝わるかも知れない。


 東渤海王国の守護女神『ダ』の和魂(にぎたま)は、愛と豊穣を司る温和な女神だが、荒玉(あらみたま)は穢れ乙女達の魂を生贄として求め、差し出され魂と引き換えに豊穣を約束する荒ぶる女神である。


 魂を荒ぶる女神『ダ』に魂を貪り食われた10名の生娘達は、信者の男達達の宴で乙女を散らした後は、斎王ナリーマ・シホの式神に憑依され若さを保ったまま、巫女戦士や侍女として女神『ダ』と斎王ナリーマ、シホに仕え、女神『ダ』を称える儀式や宴に参加する事に成る。


 女神『ダ』が、供物の生娘達の魂を貪り、生ける屍となった乙女達は、信者の男達に薄絹の貫通衣を乱暴に剥ぎ取られ椿油を塗られた艶めかしく輝く裸体を晒していく。


 激しいドラムが連打され、横笛が吹き鳴らされ劣情を刺激する妖しい旋律が大広間に鳴り響き、媚薬で正気を失った娘達の喘ぎ声と呻き、野獣な様な異様な叫び声、箍が外れた男達の絶叫が、濃霧の思わせる香の煙が漂う大広間に木霊する。


 女神『ダ』は、捧げられた供物に満足したのか、己の住家である神界に引き上げ、斎王ナリーマは荒ぶる女神の眷属である正体を露にして左手に持つ紫水晶のゴブレットから、真紅の賢人葡萄酒を啜り妖艶な笑みを浮べ宴を楽しむ信者達に告げる。


「敬虔な信者の皆さん、女神『ダ』に供物を捧げる儀式は無事に終わりました。今年は我が東渤海王国では、盗人稲は豊作が約束される事は間違いありません。儀式の後は、人面魚の刺身、大兎、大鼠の丸焼きを食べ、お好みの侍女や巫女兵と愛を交わし、日頃の柵から己を解き放ち、思うが侭に欲望を満たし楽しんでください」


 閏年の1月1日に開催される女神『ダ』に供物を捧げる儀式と、女神を称える酒池肉林の宴は日が暮れる迄、続くと思われた。


 巫女兵長のカルハ・シマーコが、報告を斎王ナリーマに伝えた事により、豊穣と愛を司る女神『ダ』を称える狂乱の宴はお開きとなる。


「斎王様、監視式神の報告では我が神域に侵入した何者が、破邪魔法により我が神域を護衛していた土偶兵団を葬り去りました」


 あり得ぬ報告に驚き弓形の眉を顰め側頭部の狐耳がピクピクト動き、玉座から立ち上がったナリーマの着物ドレスの裾からは、臀部から生えた9本の尻尾が意思のある生物の様にのたうち回る。


「女神『ダ』以外は、我の神妖術を打ち破れる筈は無い。我の神妖術を打ち敗れれるとは由々しき事態。カルハよ三獣巫女戦士に武装させ、攻撃式神と強化埴輪兵団全てで侵入者迎え撃て。イーユよ侍女達と共に、信者達を地下壕へ避難させよ」


「「かしこまりました、斎王様」」


 巫女兵長カルハ・シマーコと侍女長のイーユ・イツツは返事をした後、妖斎王ナリーマから与えられた命令を実行する為に、神殿の各部屋に慌ただしく駆けていった。


 生殖と性愛の女神『ダ』を称える酒池肉林の宴の最中に、女神『ダ』に仕える眷属にして妖斎王のナリーマ・シホの最後の1日が幕を開けたのであった。

この作品はフィクションであり、実在する、人物・地名・団体とは一切関係ありません。

誤字、脱字だらけの拙い小説ですが、応援宜しくお願いします。

又、誤字・脱字のご指摘とご感想もお待ちしています。

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