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屋根裏ダンジョン育ちの無名剣士、配信で正体を隠したまま無双する  作者: 剣竜


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第九話 ダンジョンで料理してみた

 それから哲人は定期的になで子とユキの二人と組んでダンジョン攻略をしていた。

 たまに配信に出たり、動画には出ずに裏方に徹したりとその時々でスタイルを変えているようだ。

 罠をつかった黄金のスライムの捕獲も中々うまくいっている。

 最近では、なで子たち以外にも他の探索者たちからも声をかけられるようになった。

 界隈でも最低限の知名度が出てきたらしい。

 そんな生活が続いたある日のこと…


「よし、じゃあ今日も配信しますか!」


 なで子が叫ぶ。

 今日、三人が来ているのは、湖の近くにできたダンジョンだ。

 最近発生したばかりらしいが、すでに多数の探索者たちが潜っているようだ。


「今回はどんなモンスターがいるのかな?」


 なで子がワクワクしながら言う。

 一方のユキは少し落ち着きが無いようだった。

 どうしたのかと彼はユキに尋ねる。


「…湖ってあんまり好きじゃない」


「無理しなくてもいいんだぞ?」


「ううん、大丈夫」


 そういいながらカバンを振り回すユキ。

 気合を入れるためだろうか。


「では行きますよ」


 そう言ってなで子はドローンを飛ばし始めた。

 カメラもそれに合わせて動く。

 どうやら今回は、視聴者数はかなり多いようだ。

 新規のダンジョンとも会って、いつもの視聴者層以外の者も来ているのだろう。

『今日も楽しみです』というコメントのほか、『初見』などのコメントも大量に流れている。


「皆さんこんばんはー!なで子でーす!」


 なで子の元気な挨拶と共に配信が始まった。


「今日は湖の新ダンジョンに来ていまーす。こちらでーす!」


 なで子がカメラに向かって手を振ると、視聴者数が急増した。

 コメントも大量に流れている。

 やはり新ダンジョンというだけあり、純粋にダンジョン自体が気になるという新規層も配信を見に来ているのだ。


『かわいい』

『美人すぎる』

『胸でけぇ』

『初見』

『私は、あなたのガチ恋リスナーよ』


 など、コメントは様々だ。


「今回の目的はですね、この湖の新ダンジョンに生息しているモンスターたちの生態をリポートするということです」


 そう言ってなで子は歩き出す。

 哲人もその後に続くことにした。

 もちろん討伐もするが、あくまでメインはモンスターやダンジョンの紹介。

 新たなダンジョンゆえに、こういった情報の共有などは大事らしい。

 映像資料としても価値がある。


「もちろん、今回もセラートさんも一緒です。なんと今回のためにレベルを上げてきてくれました!」


 彼のレベルは70を超えていた。

 例の捕獲罠のおかげだ。

 ホームセンターで買える日用品でこれだけのレベルを上げることができるというのは、やはりすごいと言わざるを得ないだろう。

 副産物としてドロップアイテムも入手できた。

 売ればそこそこの金になる。


「では、セラートさん、今日もよろしくお願いします!」


 なで子が彼に軽く会釈をする。

 彼は頷いて答えた。

 それを見た視聴者がざわつく。


『セラートさん、レベル高いな』

『70超えてるの?』


 などという言葉が飛び交っている。

 特に今回は初見勢が多いからか、いつもよりもそういったコメントが目立った。


「はい、セラートさんのレベルは70を超えています」


 なで子が説明するとさらにコメントが増えた。


「ちなみに私は今9です!セラートさんに追いつくのが目標なんですよ!」


 なで子が笑顔で言う。

 レベル差はあるので低く見えるが、なで子のレベルは平均的なものだ。


『この人たち仲いいな』

『羨ましい』

『彼もなで子ちゃんと会話したい』

『彼はユキちゃん派』


 などとコメントしているのが見える。


「さあ、出発しましょう!」


 なで子が元気よく言う。

 そして新ダンジョンの探索を開始した。

 しばらく進んでいくと、開けた場所に出た。

 水が流れ込み、湖のような状態になっている。

 周囲には水棲のモンスターがいた。

 関東地方のダンジョンではあまり見られない種類のものだという。


「うわ~珍しい~」


 なで子が目を輝かせて言う。


「あれはなんていうモンスターなんですか?」


 ユキがわざとらしくが質問する。

 するとなで子が答える。

 二人の配信ではこのように、モンスターなどを開設するのが鉄板ネタらしい。


「ウォーター・リーパーですね、関東ではなかなか見られない珍しい個体です」


 両生類のような姿をしたそれの名前は、『ウォーター・リーパー』。

 水辺に生息するモンスターで水の中に潜って魚を捕食するらしい。


「近づいてみます…!」


 倒す前に観察したい、そう考えたのだろう。

 なで子は少しずつ近づいていく。

 しかし、すぐに気づかれてしまい逃げられてしまったようだ。


「あちゃー失敗ですね…」


 なで子が残念そうに言う。

 ユキはなで子を慰めるように声をかけた。


「まあ、次があるよ」


「はい…そうですね!」


 なで子が笑顔に戻る。

 それから再び探索を続けたのだった。

 しばらく進むと、大きな洞窟があった。


「外から湖の水が入って来てるのか…」


 どうやらこのダンジョンは外の湖にも繋がっているらしい。

 この階層が最深部らしく、広く、浅いダンジョンだったようだ。

 すると、目の前に巨大な影が現れた。

 それは体長3メートルはあるであろう巨大なエビの魔物だった。

 巨大エビは彼たちの存在に気づくと、こちらに向かって突進してきた!

 怒り狂った様子で暴れ回っている。


「なんだこいつ!?」


 哲人が驚いているとユキが説明してくれた。

 巨大エビの名は『アイアン・シュリンプ』、鋼鉄の鱗を持つ魔物だ。

 非常に凶暴な性格をしており、縄張りに入った者には容赦なく襲いかかる。

 その巨体からは想像できないほど素早く動くことができる。

 逃げ切ることは難しいという厄介な相手だそうだ。


「関東地方のダンジョンで確認されたのってこれが初めてかも…」


 なで子が呟く。

 確かに、こんな魔物がいるなんて聞いたことがない。

 コメント欄も珍しい魔物の登場に盛り上がっている。


『すごい…でかい…』

『これはレアな獲物かも?』

『なで子ちゃん逃げて!』

『ユキちゃーん』

『ガチ恋勢いるー?』


 中には心配している声も見受けられるが、なで子は戦う気満々のようだ。

 なで子をサポートしつつ、いざとなれば前線に出る、それが哲人…いや、セラートの役目だ。

 そしてユキが後方支援をする。


『がんばれー!』


 というコメントが見える。

 すると彼女は笑顔で答える。


「はい!ありがとうございます!!」


 そんなやり取りをしている間もアイアン・シュリンプの猛攻は続いていた。

 巨体に似合わず素早く動き回り、翻弄してくるのだ。


「…っ!」


 哲人が攻撃を受け流しながら、なで子に攻撃チャンスを与える。

 それでもなで子の動きには迷いがなかった。

 的確に攻撃を躱し反撃の機会を伺っているようだ。

 そしてついにその時が来た。

 なで子の放ったボーガンの矢がアイアン・シュリンプの目に命中したのだ。

 アイアン・シュリンプは悲鳴を上げて暴れ回るが、その間にもなで子の攻撃が続く。

 なで子の草刈刀による斬撃とユキの魔法攻撃。

 やがて、とうとうその巨体を地面に横たわり動かなくなった。


「やったー!!」


 なで子は嬉しそうに飛び跳ねている。


『おめでとーー』


 というコメントが大量に流れる中、哲人はアイアン・シュリンプに近づいていく。

 これだけ大きいなら食べごたえもあるだろうなと、ふと思ったのだ。

 鑑定のスキルを使い、詳細を調べることにする。

『アイアン・シュリンプを解析しました』

 その結果は以下の通りだった。


 ・アイアン・シュリンプ:食材

 鋼鉄のような鱗を持つ。

 加熱すると柔らかくなり甘みが出るため、様々な料理に使えます。

 ただし加熱しすぎると硬くなるので注意が必要です。


「美味しそうだな…」


 思わず呟いてしまうほど興味が湧いた。


「セラートさん、どうしたんですか?」


「この魔物は食材としても使えるらしい」


 コメント欄は『どんな料理に使えるんだろう?』という疑問が流れている。

 そんな中、コメント欄にいくつかの料理法や料理名などが書かれ始めた。

 詳しい者が見ていたようだ。


「アイアン・シュリンプは天ぷらとかにもできるみたい」


 ユキが言う。

 コメントによれば、アイアン・シュリンプの肉は脂身が少なくさっぱりとした味わいだという。

 揚げ物にしてもしつこくならず美味しく食べられるらしい。


「それはいいね」


 彼はユキとコメントの言葉に同意した。

 コメント欄では早速料理方法の考察が始まっている。

 どうせこのダンジョンはここが最深部。

 他に魔物の気配もしない、ここで簡単な料理をしていくのも一興か。


「よし、せっかくだしここで少し料理していこう」


 哲人は提案する。

 なで子とユキも賛成してくれたので早速調理に取りかかることにした。

 まずはアイアン・シュリンプの鱗を剥ぐ作業から始めることにする。

 これがなかなか大変な作業だが、彼の70を超えるレベルがあれば多少無理やりにでもはがすことができる。


「ずあっ!」


 片手剣で、鱗を消し飛ばす勢いではがす。

 剥がし終えたところで次の工程に移る。

 次は肉を切り分ける作業だ。

 アイアン・シュリンプは大きいのでかなりの量を切り分ける必要があるだろう。


「セラートさん、手伝いますよ」


 なで子が申し出てくれたので手伝ってもらうことにした。

 二人で協力しながら作業を進めるうちに段々とコツを掴んでくる。

 やがて全ての鱗を取り終えたところでいよいよ肉を切る。

 まずは一口大に切り分けていく。


「はい」


 ユキが流木を削り串を作り、魔法で火をつけて加熱。

 焼けるいい音が響き渡り、食欲を刺激する香りが漂ってきた。


「そろそろ良さそうですね」


 調味料も何も無いので、ただ切り分けて焼くだけのシンプルな料理。

 だが、それでも十分美味しそうだ。


「さあ、召し上がれ!」


 なで子が笑顔で言う。

 彼は串を手に取りアイアン・シュリンプの肉を口へ運んだ。

 口に入れた瞬間広がるジューシーな味わいと柔らかな食感。

 これは美味い、今まで食べたどんな高級な肉よりも美味しいかもしれない。

 コメント欄も大盛り上がりで、賞賛の言葉や称賛の声が飛び交っていた。

 なで子とユキも夢中で食べている。


「美味しいですね!」


 というなで子の言葉に彼は大きく頷き同意を示したのだった。

 そんな彼たちの様子を視聴者たちは羨ましそうに見ていたようだ。

 コメント欄には『羨ましい』『私も食べてみたい』といったものが数多く流れている。

 とはいえ魔物の肉はダンジョン外に出すとすぐに傷んでしまう。

 そのため、ダンジョンの近くでしか食べることができない。

 塩漬けや冷凍といった従来の保管法も無駄。

 それにダンジョン内でしか取れない貴重な資源なので無駄にするわけにもいかない。


「ごちそうさまでした!」


 なで子が笑顔で言う。

 彼も続いて言った。

 アイアン・シュリンプの亡骸から魔石や使えそうな殻などを取り出し回収。

 ダンジョンから出ることにした。

 そんな中でユキがそっと呟いた。


「湖もそんなに悪くないかも」


 彼女たちの笑顔を見ているとこちらまで幸せな気分になってくる。

 そんなやり取りをしているうちにダンジョンの外へと戻ってきた。

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