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屋根裏ダンジョン育ちの無名剣士、配信で正体を隠したまま無双する  作者: 剣竜


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第七話 追放された少女、なで子

 あれから数日後。

 哲人は新しい剣を買うことにした。

 以前持っていた中古の剣は、今回のダンジョンで壊れてしまった。

 武器がなければ当然、ダンジョンに潜ることはできない…


「どれにするかな…」


 彼はスマホを見ながら悩んでいた。

 以前と同じく、ネット通販で剣を購入しようしていた。

 多少高額でも、性能の良いものを購入したい。

 そう考えながらネットというダンジョンを巡る。


「これなんかいいんじゃないか?」


 彼は一つの商品ページを開いた。

 中古の剣、ほぼ未使用の状態で価格は十万円。


「十万か…」


 値段は適正価格だろう。

 しかしネットで見てもいまいちパッとしない。

 以前にネットで購入した中古の剣もそうだった。

 ネットで見た時と実際に手元で確認したときに、多少のギャップを感じた。

 品質が悪いというわけではなく、自分のイメージと実物の違いがあったのだ。

 それはネット通販の限界だろう。


「…街に買いに行くか」


 やはり、自分で手に取って選ぶ必要があるだろう。

 手に馴染むか、重さは、使い勝手は?

 これはネット通販ではわからない。

 彼は出かける準備を始めた。




 街に向かうと、たくさんの人が歩いていた。




 地方のとある政令指定都市。

 その最も栄えている地区。

 休日ということもあり、多くの人が行き交っている。

 平日にも休みを持つ哲人のようなフリーターからすると、この雑踏は見ているだけでもワクワクしてくる。

 そんな光景を見ているとまるで別世界に来たような気分になる。

 ある意味では、ダンジョンよりも。


「さて、どの店がいいか…?」


 最近は、ダンジョン攻略者用の物品が売っている施設がよく開店している。

 安価なものから高価なものまで幅広いラインナップだ。

 いろいろと店をめぐってみるか。

 そう考えていたその時だった。


「ん?」


 とある店の前で言い争いをしている者たちを見かけた。

 ガラの悪そうな男、そして哲人の仲間の少女ユキだ。

 どうやら言い争いをしているようだった。

 若者のことはよくわからない。

 友人ゆえのなれ合いなのか、それとも…?

 彼は少し様子を見ることにした。


「よおユキ、なで子のヤツは元気か?」


「何の用?『黒井龍二』」


「へへへ、ちょっと距離感ある呼び方じゃねえか」


 男は『黒井龍二』というようだ。

 この男がなで子の元仲間だという。

 しかし、なぜユキと揉めているのだろうか。


「(なで子の元仲間…?)」


 念のため確認しておく必要がありそうだ。

 まずは話を聞いてみることにしようか。


「あ、小鳥遊さん」


 彼はユキに話しかけた。

 ユキは彼を見た後、黒井龍二を睨むように見る。

 二人の間に険悪な雰囲気が流れるのがわかった。

 哲人はとりあえず二人を落ち着かせようとする。

 すると突然ユキが口を開き、黒井に対し言い放った。


「で、何の用?私となで子ちゃんに何か用があるの?」


 黒井はニヤリと笑いながら答えた。

 その態度を見て彼は確信した。

 彼は何かを企んでいる。

 そしてそれはおそらくロクでもないことだろうと予想できた。

 ならばここで止めなければ大変なことになる。

 彼は意を決して話しかけた。


「いったい何があったんだ?」


「なんだ、お前は?」


 黒井が彼に問う。

 彼は努めて冷静に答えることにした。

 もしここで取り乱してしまえば、ユキを危険な目に遭わせることになるかもしれないからだ。

 だから落ち着く必要があるのだ。


「俺はユキとなで子の知り合いです、たまたま通りがかって…」


 彼はなるべく平静を装って答える。

 だが内心はかなり焦っていた。

 トラブルには慣れていない。

 しかしここで引き下がるわけにはいかないのだ。

 すると黒井はニヤリと笑いながら答えた。


「へへへ、そうかい」


「…」


「じゃあ伝えておいてくれ、なで子に『黒井が会いたがってた』ってな」


 そうとだけ言い残して、黒井は去っていった。

 ユキは呆然とした表情でその後ろ姿を見送っている。

 彼はユキに話しかけた。

 彼女はハッとした表情を浮かべ、こちらを見る。

 その表情には不安の色が見える気がした。

 どうやらかなり動揺しているようだ。

 そんなユキに対して、彼は優しく声をかけることにした。

 すると彼女は少し安心したような表情を浮かべるのだった…


「世良木さん…!」


「大丈夫か?」


「ありがとうございます」


「いったい何だったんだ、あの人…」


 哲人はホッとして胸をなでおろした。

 その後、彼たちは近くの喫茶店に入った。

 注文を済ませた後、改めてユキに話を聞くことにした。

 彼からしたら、情報が少なすぎる。


「それで何があったんだ?」


 そう尋ねると彼女は少し暗い顔になった。

 そしてゆっくりと話し始めた。


「昔、なで子ちゃんと同じチームだった人なの」


「…あの男が?」


 ユキはこくりとうなずいた。

 どうやら先ほどのガラの悪い男、黒井がそうらしい。

 一体何をしていたのだろうか、哲人は疑問を口にする。

 するとユキはこう答えた。


「あの人、あんまり評判がよくなくて…」


 ダンジョン探索者を目指す女性をチームに入れ、セクハラまがいのことをする。

 それがあの男の常套手段のようだった。

 その対価としてチーム内での扱いがよくなるという。

 大手の会社がスポンサーについていることもあり、表立っては誰も文句が言えないらしい。

 そんな黒井になで子は目をつけられたようだ。


「なで子ちゃんは当然断ったんだけど…」


 それ以降、チーム内での扱いが露骨に悪くなり、ついには追い出されてしまったという。

 哲人は怒りを覚えた。

 しかしここで感情的になるわけにはいかない。

 まずは冷静に状況を整理する必要があるだろう。


「それで?」


「うん…さっきの人、なで子ちゃんに会いたがってて…」


 何か仕掛けてくるつもりなのだろうか。

 その真意はわからないが、警戒しておく必要がありそうだ。

 なで子にも連絡しておこう。


「わかった、なで子にも連絡しておく」


「ううん、私からしておく」


「そうか?」


「うん。私のほうがうまく説明できると思うし…」


 彼女は安心したような表情を浮かべていた。

 やはり不安だったのだろう。

 だがこれで安心だ。

 ユキは会計中になで子に電話した。

 メッセージではなく直接話すことにしたのだ。

 幸いにもすぐに繋がったのでホッとした。


「あ、なで子ちゃん。実は…」


 ユキは早速本題を切り出した。

 あの黒井という男のことを伝えた。

 気を付けたほうがいい、ユキはそう言った。



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