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屋根裏ダンジョン育ちの無名剣士、配信で正体を隠したまま無双する  作者: 剣竜


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第六話 初配信!

 ダンジョンの中に入った哲人たち。

 中の環境はまるで鍾乳洞のような場所だった。

 地面は起伏が強く歩き辛い。

 天井には大きな岩がぶら下がっている。

 コウモリのようなモンスターが飛んでいるのが見える。


「…」


 ユキはダンジョン内部を観察している。

 そしてなで子は…


「よっと」


 なで子は頑丈そうなケースから何かを取り出した。

 それはダンジョン配信に使うAI搭載型の小型撮影ドローンだ。

 これを使い配信を行うらしい。

 電波を魔力に乗せて飛ばすため、よほど深い階層のダンジョンでもない限り余裕で配信が可能だという。

 余談だが、このドローンはダンジョン探索の必需品であり、様々な種類が存在する。

 中には戦闘用の物もあるらしいが、なで子は持ってないようだ。


「じゃあ世良木さん、打ち合わせ通りに」


「あ、ああ…」


 そう言って少し離れる哲人。

 彼女の配信に写りこまないように。

 そして、彼女の動画配信が始まった。


『みなさん、こんにちは!なで子です!』


『ユキです』


『今日も楽しくダンジョン探索していきますよー!』


「(本名そのままで活動してるのか…)」


 名前と顔を堂々と出す行為に、若者の文化はわからないな、と思う哲人。

 なで子の元気な声とは対称的に、ユキの方は少しダウナー気味だ。

 軽い雑談をした後、本題に移る。


『今日は特別ゲストをお呼びしています!ベテラン探索者のセラート氏です』


 そう言ってなで子は彼の方に手を向けてきた。

 画面の向こうでは視聴者たちがざわついていた。

 それもそのはずだろう、いきなり知らない謎の人物が配信に現れたのだから。

 しかも全身黒づくめのローブと不気味な仮面をつけた男である。


『どうも…』


 彼が軽く会釈をするとコメント欄には驚きの声が上がる。

 どうやらみんな驚いているようだ。

 本当にベテランなのか、というコメントも流れてくる。

 当然の疑問だろう。

 そんな視聴者たちに対し、なで子が言った。


『セラート氏はなんとレベル50を超える大ベテランなんです!』


 すると、さらにコメント欄が盛り上がるのがわかった。

 ドローンの機能で彼のステータスを数値化して表示している。

 それを見た視聴者は驚きの声をあげた。


『レベル50ってすごくね?』


『いや、でもセラートって人怪しいし…』


『確かに胡散臭いよな』


『ダンジョン配信が流行る前に活躍してた人なのかなぁ』


『どうなんだろう』


 コメント欄には様々な意見が飛び交っている。

 そんな様子を見たなで子は笑顔になりながら言ったのだ。


『セラートさんはかつて活躍していたベテランなんですよ』


『そうそう』


『そんな彼をスカウトすることに成功したんです!』


 なで子の声にユキが便乗しながら頷く。

 帰ってきたベテラン探索者セラート。

 配信をするにあたり、ユキとなで子が考えた設定だ。

 ただ強いだけの人物では動画受けしない。

 何より、いきなり現れた男を視聴者も受け入れがたいだろう。

 彼も身元は隠したいし、利害が一致したということだ。


『では、ダンジョン探索を始めましょうか!』


 彼は今、ダンジョンの中を進んでいるところだ。

 もちろん一人ではない。隣にはなで子がいる。

 背後を警戒するのはユキ。

 そして配信用のドローンだ。


「世良…セラートさん、大丈夫でしょうか?」


 なで子が心配そうに言った。


「ああ…」


 彼は緊張しながら返事をする。

『帰ってきたベテラン探索者セラート』を演じるために。

 なで子のフォローを受けながら、彼はモンスターたちと戦っていた。

 鍾乳洞のようなこのダンジョン、出現する魔物はスライムとコウモリの2種類だ。

 どちらもさほど強くはないのだが、数が多いため厄介ではある。

 時間もとられるし、何より集中力を削がれる。


「…ッ」


 彼が剣を軽く振ると、魔物たちは魔石を残し次々と消滅していく。

 低レベルの魔物は一撃で倒せるくらいの力はある。

 どこに剣を振れば、最低限の動きで魔物を倒せるかを考える。

 そんなときなで子はドローンを飛ばす。

 そしてカメラをこちらに向けてきたのだった!


『セラートさん、強いです!』


 なで子が叫ぶ。

 すると視聴者たちもそれに反応して盛り上がった。


『すげえ』


『かっこいいな』


『強すぎだろw』


 そんな声が次々と流れる中、彼は内心ドキドキしていた。

 もし正体がばれたら面倒なことになるからだ。

 とはいえ、全てをそつなくこなしていく。

 それからもなで子の指示に従い、戦闘をこなしていった。


「セラートさん、次が最後の部屋ですよ!」


 そう言ってなで子はドローンを飛ばす。

 画面に映し出された映像には大きな扉があった。

 ここまでは彼だけが低級モンスターを倒してきた。

 それはユキとなで子の体力をボス戦のために温存しておくためだ。


『この先にボスがいるはずです!』


 なで子が言う。

 そして彼女はカメラをこちらに向けてきた。


『ユキちゃん、セラートさん、準備はいいですか?』


 彼とユキは無言で頷く。

 すると彼女は言ったのだ。


『では、行きましょう!』


 その言葉と共に扉が開かれた。

 彼たちはボス部屋の中へと進んでいく。


『セラートさん!気をつけてください!』


 なで子の心配そうな声が流れた。

 彼たちの前に現れたのは大きなゴーレムだった。

 全長3メートルはある巨体で手には岩を持っている。

 その姿はまるで鬼のような姿であった。

 ゴーレムはゆっくりとこちらに近づいてくる。

 どうやら三人を敵と認識しているようだ。

 なで子は視聴者にもわかりやすいように説明する。

 ドローンの機能でゴーレムのステータスが即座に言語、数値化され表示されている。


『レベルは12です!』


 なで子の焦ったような声があたりに響き渡る。

 今までのなで子とユキならば、十分に警戒しながら戦わないといけない相手だろう。

 しかし、今は違う。

 ゴーレムが襲いかかってきた。

 哲人は咄嵯に剣で防ごうとしたのだが…


「おおっ!?」


 ネットで購入した剣がボロボロだ。

 次にゴーレムの攻撃が来ればまずいかもしれない。

 買い替えたほうがいいな。


「…すぐに決めるか」


 短期決戦で

 勝負を決めないとまずいと直感的にそう思った。

 彼は剣を構えゴーレムに向かって走り出す。


『セラートさん!』


「はあっ!」


 彼は勢いよく剣を振り下ろす。

 しかし、ゴーレムの腕によって防がれてしまう。

 だが、それでいい、そのまま押し込み、相手のバランスを崩した。


 そして…


「これでどうだ!」


 彼は渾身の力を込めて剣を振った。


『凄いっ!ボスを一撃で倒しちゃった!』


 コメント欄には驚きの声が上がる。

 なで子も驚いているようだ。

 彼はホッと胸を撫で下ろした後、ゴーレムの魔石を回収したのだった…


「中古の剣、壊れちゃったな…」



 ----------



「本当に凄かったわね!」


 となで子が言う。

 結局、正体がばれることなくダンジョンから出てくることができた。

 今は家に向かっている最中だ。

 その道中でなで子は興奮気味に話していた。

 レベル12と言えば、平均以上の魔物だ。

 それを軽々と倒したのだから驚くのも無理はないと思う。


「あんなものでよかったのか?」


「ええ、最高よ」


「ははは、それはありがたいな」


「世良木さんがいれば安心してダンジョン探索ができるわね」


 なで子は嬉しそうに言った。

 一方、哲人は壊した中古の剣に対して少し罪悪感を感じていた。

 まだ買ってからそんなに時間もたっていないのだ。

 とはいえ、素直に喜んでおくことにしたのである…



 帰宅後、寝室にて。

 彼はスマホを手に取り、ユキとなで子のSNSを開くと早速コメントが届いていた。


『セラートさん!最高でした!!』

『かっこよかったです!』

『今度一緒にダンジョン探索しましょうよ!』


 様々な感想が書かれていた。

 どうやら満足してくれたようだ。

 彼は嬉しく思いながら眠りについた…

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