第五話 少女たちとのミーティング
ダンジョン探索初心者の哲人が出会った少女ユキ。
そしてその仲間の少女のなで子。
彼女たちはダンジョン配信者としてそこそこ有名な人物だった。
二人から手を組むことを提案され、彼はそれを了承した。
人のあまりいない、街の郊外の公園。
なで子の提案で日を改め、会うことにした。
彼は緊張した面持ちで待っていると、しばらくして二人が現れた。
「おー、こっちだこっち」
彼が声をかけるとなで子は嬉しそうな笑顔を見せた。
ユキは感情の読めぬ、なんとも言えぬ表情をしている。
「こんにちは世良木さん。今日はよろしく」
「よろしく…」
なで子とユキが言う。
そう言ってぺこりとお辞儀をする二人。
「それで今日は何を…?」
彼が聞くとユキは答える。
軽い打ち合わせ、とは聞いていたが具体的に何をするかは知らなかった。
「まずはお互いのことを知ることから始めたいかな」
「お互いを知る…」
確かにそうだと彼は思った。
彼はダンジョン探索を始めたばかりで右も左もわからない状態だ。
そんな状態で協力し合うのは無理があるだろう…
「わかった。じゃあまず彼から自己紹介をさせてもらうよ」
こうして彼たちはお互いに、改めて自己紹介をすることになった。
前回は簡単な紹介しかできなかった。
まず最初は彼からだ。
「名前は世良木哲人、年齢は二十八歳だ。これまでずっとソロでやって来た」
彼は自分のプロフィールを話した。
すると二人は興味深そうに聞いていたのである。
特にユキはソロ、という点に反応を示した。
次に彼女たちの番だ。
なで子は笑顔で言ったのだった。
「ウチの名前は『なで子』、年齢は17歳で高校二年生。今はダンジョン配信者として活動中!趣味は動画編集とネタを考えること」
次はユキの紹介だ。
口数は少ないが、引っ込み思案というわけではない。
言いたいことははっきりと言うタイプのようだ。
「私は『小鳥遊 雪花』、みんなはユキって呼んでる。なで子ちゃんとは同級生。よろしく」
そう言って頭を下げるユキ。
その様子を見て彼は少しだけ驚いた。
ユキは、彼が思っていたよりも感情の見える子だったのだ。
表情こそあまり変わらなかったが、目を見ればわかるのだ。
「よろしく」
彼がそう言うと、彼女は少しだけ微笑んだように感じた。
さて、ここから本題に入ろうか。
彼たちはお互いを知り合うために自己紹介をした。
ここからは本題、ダンジョン探索についての話をすることになる。
なで子は早速話し始めた。
彼女曰く、ダンジョン探索というのは情報を集めることが何より大切だというのだ。
情報を仕入れて、その情報をもとに準備をする。
それが基本的な流れらしい。
「世良木さんは、ダンジョン探索に何を求めてる?」
なで子は真剣な表情で聞いてきた。
彼は正直に答えた。
「彼は金だ。ダンジョンで稼げるって聞いたから始めたんだ」
「なるほど、まあ普通ね」
今度はユキの番だ。
彼女はゆっくりと話し始めた。
彼女曰く、ダンジョン探索には危険がつきものだという。
そのため、常に警戒を怠ってはならないそうだ。
また、ダンジョン内には罠や仕掛けがあることも多いらしい。
そんな時のために、罠解除の技術を身につける必要があるという。
「一人で全部を習得するのは現実的では無いけど…」
ユキはそう付け加えた。
だからこそ、ダンジョン攻略はパーティを組んでする必要がある。
「世良木さんのステータスについても詳しく知りたい」
以前も聞かれたが、その時は適当に流していた質問だ。
まさか二人と手を組むことになるとは思わなかったからだ。
ユキが聞いてきたので、正直に答えることにする。
「俺のスキルは回復魔法と鑑定だ。他にも何個かあるが、よく使うのはこの二つだな」
「回復魔法と鑑定…他というのは?」
「地図、自動マッピング、身体強化、自動回復…」
「身体強化と他のスキルを両立できているのね。すごい…」
「いや、それほどでもないと思うが…」
「本当に凄いわ。身体強化だけでも十分第一線で活躍できるポテンシャルはあるし」
彼は驚いた。
まさか自分のスキルがこんなにも褒められるとは思わなかったからだ。
なんだか照れ臭くなり頬が熱くなるのを感じた。
そこでレベルの方も改めて言うことにした。
現在のレベルは…
「今はレベルは52。これからもっとあげようと考えている」
彼のレベルは以前よりもあがっていた。
屋根裏ダンジョンでさらに黄金のスライムを倒しレベルを上げたのだ。
そして新たに獲得したスキルは…
・自動回復:毎分HPが1%回復する。
このスキルのおかげで彼は怪我をしても時間さえ立てば回復することができるのだ。
と、改めてレベルを言った途端、なで子がおどろいたような顔を見せた。
ユキも、表情は変わらないが似たような反応を示した。
「こんな短時間でさらにレベルを…!?」
「12も上げたの…ッ!」
なで子は信じられないものを見たような顔をしていた。
ユキも驚きを隠せていないようだ。
「あ、あぁ…まあな」
さすがに上げすぎたか、そう考える哲人。
普通ならこんな短期間に上げるのはかなり難しい、
事実、彼女たちの反応を見るに彼のレベル上げはかなり異常だったようだ。
「ま、まぁ彼もいろいろと気合入れてやってたからな。ハハハ…」
彼は愛想笑いをした。
彼のレベル上げの異常な速度に彼女たちは驚いている。
だが、それは無理もないことだと思う。
なにせ彼のレベル上げ方法は少し普通じゃないのだから。
それからしばらくお互いのことを話し合った後、三人はダンジョンへと向かうことになったのだった。
そもそもこの公園を待ち合わせ場所に選んだのも、近くにあるダンジョンに向かうためだ。
とにかく実践あるのみ、という考えだ。
いくらレベルが高いとはいえ、やはり不安はぬぐえない。
「やっぱり高いレベルの人でも緊張するのね」
「どんなダンジョンでも油断してはいけないからな。いつもダンジョン攻略前は緊張と不安でいっぱいだ」
せめてプロっぽいことを言ってみることにした。
昔テレビで見たスポーツ選手が似たようなことを言っていた気がする。
それを聞いたなで子が黙って頷く。
「なるほど…」
「二人はどうだ?攻略前は」
彼は思わず聞いてしまったのである。
すると彼女たちは微笑みながら答えてくれたのだ。
「怖くないと言えば嘘になるけど、それよりも楽しみという気持ちの方が強いわね」
なで子の目は輝いていた。
本当にダンジョン探索が好きなのだということがよく分かる表情だった。
「私は不安。けど、なで子ちゃんがいるから安心する」
ユキはそう言った。
そして哲人たちは目的地に到着した。
ダンジョンの入り口は洞窟のような場所にあった。
中は薄暗く不気味な雰囲気を漂わせている。
受付と用意をさっと済ませ、準備をする。
「ユキ、世良木さん、行こう!」
なで子が元気よく言ったのだ。
彼とユキも中へと入ることにしたのだった…
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