第二十話 屋根裏ダンジョンでスキル確認してみた
あのテトラとのコラボ配信から数日。
あれ以降、なで子とユキの人気はさらに上がっていた。
コメント欄は、テトラとコラボしたことについての感想。
そして二人に対する賞賛の言葉ばかりが並んでいた。
レベル40超えのドラゴンを倒したことが話題を呼んだのだろう。
視聴者たちの反応も概ね好評。
また、今回の一件で哲人ことセラートに対するファンもさらに多くなっていった。
『なで子ちゃん可愛い!』
『セラートさんかっこよかったです!』
『すげぇ戦いだったよなぁ』
『確かに!』
『あれはやばかったw』
『ユキちゃんすき』
『俺たちも応援しているぞ!』
そんな視聴者たちの反応を見て哲人は少し嬉しくなった。
自分の参加した配信が誰かを楽しませることができたという事実。
それを知ることができたからだ。
そんな哲人も、最近はちょっとした動画の企画などをなで子に提案するようになっていた。
大半はダンジョン配信以外の、通常の配信のネタを提案する程度だ。
それに、哲人自身もネタを考えることが密かな楽しみになっている。
「ふふふ…」
最近はなで子とユキの昔の雑談配信を作業用のBGMにしている。
そして、例の屋根裏ダンジョンでレベル上げをしていた。
仕掛けた罠にかかった黄金のスライムを狩る。
「これで10体目。だいぶ溜まったな」
哲人はステータス画面を見ながら呟いた。
レベルも順調に上昇しており、今では92まで上がっていた。
『おめでとうございます、レベルが上がりました』
例の天の声にももう慣れたものだ。
さすがにレベル92になるとレベルもだんだんと上がらなくなってきた。
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名前:世良木哲人
レベル:92
スキル:鑑定3、地図3、自動マッピング、身体強化3、探知2
料理2、剣術2、格闘術1、回復魔法3、雷魔法1
水の恩恵、達人の妙技、帝王のオーラ…
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よくわからないスキルが増えてきたのだ。
『水の恩恵』、『達人の妙技』、といった聞いたこともないスキル。
それがレベル85を超えたあたりから現れだしたのだ。
鑑定を使っても抽象的な言葉しかでてこない。
ほかにこのスキルを持っている者がいるのかもわからない。
つまり、具体的な効果もわからない。
まあ、あって悪いものではない。
いいものなのだろう。
『おめでとうございます』
天の声が祝福してくれる。哲人はそれに軽く会釈をする。
この声が一体何者なのか
それは未だに謎である。
しかし、考えても仕方がないことだと割り切ることにした。
そういえば、以前ドラゴンを倒した時にもレベルが上がったが、この声はしなかった。
天の声はこのダンジョン固有の物なのだろうか。
まるでレベル上げのために、意図的に作られたようなダンジョン…
「あなたは何者なんですか?」
天の声に話しかけてみるも、何も答えは返ってこない。
まあ、それはそうかと思いながらも哲人は屋根裏のダンジョンから出る。
そして手を洗い、台所に向かう。
時刻は十二時を指していた。
昼食の準備をすることに。
普段はフリーターとして働いているが、最近は配信で稼いだお金のお陰で生活に余裕が出てきた。
繁忙期では無いということもあり、少しバイトの頻度を落としているのだ。
「さて、今日は何を食べようかな」
冷蔵庫を開けながら考える哲人。
なで子とユキの雑談の動画をBGMにしながら、哲人は昼食の準備を始めるのだった。
冷蔵庫の中にあった食材を使って、適当に料理を作ることにした。
あまりものを適当に炒めたりするだけの簡単なものだ。
しかし味はそれなりに美味しいと思う。
そして出来上がった料理をテーブルの上に並べると哲人は椅子に座った。
あまりものと麺を炒めた簡単な焼きそばだ。
「いただきます」
手を合わせて言うと、哲人は食事を始めた。
すると画面からなで子の声が聞こえてくる。
どうやら今日の配信は雑談のようだ。
「皆さんこんにちはー」
『こんにちわー!』
『待ってたぞ!!』
コメント欄では早速なで子への反応が続々と寄せられている。
やはり視聴者たちは彼女のことを待っているようだ。
そんな様子を見ながら哲人もまた食事を進めることにした。
今日のメニューは焼きそばとインスタントの味噌汁といったシンプルなものだ。
味付けもシンプルだがその分素材の味を楽しめる。
『ユキちゃん可愛い!』
「ッ…!?あ、ありがとうございます…」
コメント欄で褒められて照れる様子を見せるユキ。
そういった言葉には慣れないのか、少し困惑の表情を浮かべる。
そんな雪をフォローするためか、なで子がすぐに話題を変えたようだ。
「ところで皆さんはどんな休日を過ごしてましたか?」
『私は家でゲームしてたかな〜』
『俺は一日中寝てました』
「なるほど〜皆さん、ゆっくり休めたみたいですね!」
なで子は視聴者たちのコメントに反応しながら楽しそうに話を続ける。
哲人はそんな彼女の姿を微笑ましく思いながら見ていた。
「私は久しぶりにクレーンゲームをプレイしてきました。景品、全然取れなかったです」
『ダンジョン攻略はできるのにww』
『頑張れ!』
『応援してるぞ!!』
「はい!頑張ります!」
なで子は元気よく答えた。
その様子を見て、視聴者たちは微笑ましそうにしていた。
コメント欄でもなで子を応援するコメントが流れており、見ているだけで心が温まるような気がした。
その後もいろいろと雑談をしていたが…
「さて、そろそろ終わりの時間ですねー」
なで子が残念そうに言うとコメント欄には残念そうな声が流れた。
三十分ほどの短い配信だった。
『えぇ〜!』
「また次回お会いしましょう!」
「じゃあね」
なで子とユキが手を振ると同時に配信が終わった。
哲人はそれを確認してから食器を片付けることにする。
動画が終了し、別の動画が自動再生された。
どうやらなで子の動画では無い、別の配信者の動画のようだ。
変えようかとも思ったが、面倒なのでそのままにする。
画面の中の配信者は、どうやらダンジョン配信者のようだ。
なで子のように雑談をしているらしい。
哲人は興味本位でその配信者の動画を見ることにした。
『さいはて島ダンジョンは大変でしたね~』
体格のいい男の配信者だ。
他愛も無い雑談が続いていく。
しかし…
『今度の『叢雲ダンジョンの大会』は皆さんの期待に応えられるよう、頑張りたいと思います』
ダンジョンの大会?
なんのことだろう。
彼の言葉が気になった哲人は、そのまま画面を注視した。
大会とやらの断片的な情報が入る。
どうやら『叢雲ダンジョン』とやらで、大規模な大会が開かれるというらしい。
『参加条件のレベルも当然クリアしてますからね』
参加資格は『一定以上のレベルを持つこと』であるらしい。
大手の探索者チームや個人がこぞって参加するようだ。
叢雲ダンジョンとは、この関東地方の5大ダンジョンの1つであり、『初心者から上級者まで多くの探索者に愛されている』とのことだ。
この配信者もまた叢雲ダンジョンに挑戦するらしく、その意気込みを語ると共に視聴者たちに呼びかけているようだ。
『ぜひ皆さんも参加してみてください!応援しています!』
興味深い内容だった。
叢雲ダンジョン、あまり詳しく無いダンジョンだ。
そんなことを考えているうちに動画の時間が終わったようだ。
次の配信が始まったのだが哲人はそれを見ずにそのままパソコンの電源を落とした。
「叢雲ダンジョンか…」
叢雲ダンジョン、そして大会。
大会と言っても一体何をするのだろうか。
ダンジョン内でスポーツでもするのか、バラエティ番組のような鬼ごっこか。
ネットで調べてみようかとも思ったが、もしかしたらなで子の方が詳しいかもしれない。
そう考え、なで子に連絡しようとしたその時だった。
「ん?」
哲人のスマホに連絡が入っていた。
どうやらなで子からのようだ。
「もしもし?なで子?」
『あ、世良木さん!今ちょっと時間ある?』
焦ったような様子の彼女に少し驚いたが、一体どうしたのだろうか。
哲人は疑問を抱きながら問いかけることにした。
すると彼女は慌てたように話し出した。
どうやら何か急ぎの用事があるらしい。
『実はですね、あの、叢雲ダンジョンって知ってる?』
なで子からの電話により、哲人はそれらの情報を得ることになった。
叢雲ダンジョンについて、そして大会のことについてだ。
『ですよね!それでその大会なんだけど…』
「なるほど…」
『それでですね…あの…良かったら参加しないかなって?』
なで子は少し申し訳なさそうに言った。
哲人は一瞬戸惑ってしまったがすぐに理解することが出来た。
彼女は哲人を誘ってくれたのだ、叢雲ダンジョンで行われるという大会に。
「もちろん、大丈夫!」
哲人は快諾した。
ダンジョンで他者と競い合う、そういったこともできるのか。
哲人は新しい世界に興味と関心を隠せなかった。
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