第十四話 ダンジョンの戦利品を換金してみた
ある日のこと。
哲人はなで子にあることを相談した。
それはダンジョンで手に入れた物品の換金についてだ。
屋根裏のダンジョンをはじめ、なで子と共に攻略した海の新ダンジョンや日本海の新ダンジョン。
今まで攻略したダンジョンで手に入れたアイテム類をどうするか。
スマホなどで調べても『換金する』、『売却』など曖昧な言葉しか書いていなかった。
なので専門家の意見を聞いてみようと思ったのだ。
「それならウチと一緒に換金しに行きませんか」
というアドバイスを受けたのであった。
なで子のよく行く店を紹介して貰うことにした。
会って今後のことについて打ち合わせをしたい、ということもあった。
待ち合わせの場所は、駅の近くにある古いカフェだ。
雰囲気がゲームに出てくる酒場に似ている、ということでダンジョン関係者がよく利用するらしい。
「たまにいい情報もらえたりするんだよね」
なで子はそう言っていた。
駅前という賑わっている場所にあるにもかかわらず、あまり人が居ない。
そんな場所で待つこと五分くらい経った頃だろうか、なで子が姿を現したのである。
「あ、待ちましたか?」
「全然待ってないよ」
それから席についた哲人達は早速本題に入ることにした。
なで子の知り合いに、素材やアイテム類を買い取る専門の業者がいるらしい。
そこでなら高値がつくかもしれないという話だったので紹介してもらうことにした。
「で、どんなアイテムがあるんですか?」
「えっと…これなんだけど」
そう言って哲人はスマホを取り出して写真を見せた。
そこには哲人が持っているアイテムの数々が表示されている。
いままでなで子と共に攻略したダンジョンで手に入れた物品。
そして屋根裏ダンジョンで手に入れた純金の粒。
「こ、これって純金?」
「哲人の鑑定スキルでは純金と表示されていた」
「おお!?」
それを聞き驚くなで子。
それなら高額で買い取ってもらえるかもしれないぞ。
哲人は期待しつつ、換金をしに行くことにした。
向かった先は裏路地にある小さな店だった。
一見するとただの古い民家にしか見えない外観をしている。
「はい、ここ!」
「普通の家にしか見えないけど…」
「ほらこれ、看板も出てますよ」
古い民家を改装した店なのだろうか。
狭そうだが大丈夫か?
そう思いながら入る哲人。
だが、中に入ると意外と広い空間が広がっていた。
店内には様々な商品が置かれていた。
「いらっしゃいませ」
言い出迎えてくれたのは60歳くらいの男性だった。
どうやらこの人が店主らしい。
早速用件を伝える。
大体の物ならここで買い取ってくれるとのことなので、まずは屋根裏ダンジョンのアイテム類を見せることにした。
瓶に詰めた純金の粒だ。
すると店主さんは驚いた表情を浮かべた後でこう言った。
「これ、どこで手に入れたんですか?」
「…秘密です」
「まあ、そうだわな」
さすがにそのままいう訳には行かないので適当に流しておくことにする。
店主も詮索はしなかった。
純金の粒は一個十数万円ほどで買い取ってくれるらしい。
ダンジョン産の高純度の金なので付加価値がつくらしい。
それが複数個あるのでかなりの額になった。
「それと、これです」
次になで子と共に攻略したダンジョンで手に入れたアイテム類。
こちらは特に珍しい物は無く、まとめて数万円で買い取ってくれることになったんだ。
まあ、ほとんど日本海の小ダンジョンの首長竜の落としたアイテムの値段だったのだが。
店から出た後、なで子が言った。
「ダンジョン産の純金の粒って初めて見た。すごいですね…」
目を輝かせながら言う彼女に思わず苦笑してしまう哲人であった。
根掘り葉掘り聞かれるよりはずっといい。
純粋に貴重なアイテムを持っているということに対して尊敬の念を抱いているだけだと思うので良しとしよう。
かなり高額な値段がついたのでホクホク顔の哲人。
これでしばらくはお金に困らなくて済みそうだ。
今、手元には五十万ほどある。
残りは後日、口座に振り込んでくれるということだ。
なで子の知り合いなので信頼もできる。
「ふふふ」
軽い笑みをこぼす哲人。
普段、哲人はアルバイトをして生計を立てている。
頻繁にしているわけでは無く、貯金が少なくなってきたら適当なバイトをして稼ぐ。
といった感じだ。
少し前まではこんな生活など長く続けることは出来ない。
そう考えていた。
しかし今は違う。
ダンジョン攻略で大金を稼ぐことが出来るようになったからだ。
「…世良木さん」
「へ?」
「換金できたのはいいけど、浮かれすぎ」
なで子が苦笑交じりに言った。
哲人はハッとなって我に帰った。
「は、危ない危ない…」
換金できた嬉しさでつい浮かれてしまっていたらしい。
しかし、こうして大金を手にした後は、金の使い方をどうするかを考えてしまうものだ。
換金したお金の使い道について考えてみようじゃないか。
まずは貯金。
これは当たり前だろう。
次に生活費。
食費とか光熱費などだな。
後は生活必需品を買うためのお金も必要になるな。
服や家具、家電製品などだ。
それと趣味に使う分も確保しておきたいところだな。
まあこれはまだ先の話になりそうだ。
とりあえず今あるお金は銀行に預けておくことにしよう。
「さて、次は…」
「ウチが行きたいところがあるんだけど、付き合って貰ってもいいですか?」
「ああ」
彼女が行きたい場所とは一体なんなのだろう。
そんな疑問を抱きつつも了承した哲人であった。
しばらく街を歩いた後、到着した場所は多数の店が入った雑居ビルだった。
なで子は何の躊躇もなく中に入って行く。
慌てて哲人も彼女の後を追いかけた。
エレベーターに乗って上の階へ上がると、そこには様々な店舗が並んでいる場所に出た。
その中で彼女が足を止めたのは小さな本屋であった。
「本?」
「そう、ここ意外だとなかなか売ってなくて…」
そう聞くと彼女は頷いて答える。
何を買うのか哲人が尋ねる。
最近発売されたばかりのダンジョン関連雑誌のようだ。
どうやらこの本屋はダンジョン関係の本の身を扱う専門店らしい。
なるほど、情報収集を欠かさないなで子らしい。
「実は次に攻略しようと思うダンジョンがあって…」
「ほう」
「最近話題になっててね。場所も近いし…」
雑誌のページをめくり、なで子が哲人に見せてきた。
そこには、哲人たちの住む県の地図が描かれていて、その上に印がついている。
どうやらここがなで子が言うダンジョンの場所なのだという。
それにしても近い場所にあるものだ。
ここから電車で少し行けば到着する位置である。
ここに出現するのは爬虫類、両生類系の魔物が多く、素材も高額取引されるものばかりだという話だ。
そんな場所をみすみす逃すとはもったいない。
なで子はすでに行く気満々のようだ。
「県西にある湖のダンジョン!ここ!」
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